【改修工事の施工管理とは?】②施工管理の工程管理完全ガイド

- 第1回:施工管理における安全管理
- 第2回:施工管理における工程管理(本記事)
- 施工管理の工程管理とは何か – 基本的な定義と重要性
- 外装改修工事における効率的な工程管理の実務手法
- 商業施設のリニューアル工程計画と外装工事の最適化
- マンション外装改修でのバルコニー解放を重視した工程組み
- 天候・作業員数・オープンタイム考慮の実践的スケジューリング
- 工区分割による大規模外装工事の効率的管理手法
施工管理における工程管理とは?外装改修での重要性
施工管理とは、建設工事の現場技術者を指揮監督し、工事全体を管理すること。その中でも工程管理は、建設工事の進行を計画どおりに進めるための管理活動で、施工管理の4大業務の中核を成しています。
工程管理は、詳細な工程表の作成と、都度の修正を行うことがメインと考えます。工程表の作成については、各作業の開始日と終了日、所要時間、依存関係などを含むスケジュールを策定するんです。そして、工程表にもとづいて、資材や労働力の手配、機材の準備などを計画。プロジェクトの進行中には、実際の進捗状況を常に監視し、計画の修正と共有を随時行います。
外装改修工事における工程管理は、施工管理業務の中でも特に複雑で大事な要素。私は改修工事の施工管理を6年以上経験し、特に商業施設やマンションの外装工事を数多く手がけてきました。
ショッピングモール外装リニューアルの工程管理実務
私は商業施設での外装リニューアル工事の施工管理業務が多いため、まずは商業施設の工程管理についての説明です。
商業施設の外装リニューアル工事では、リニューアルオープン日が決まっているケースが多い。この絶対的な期限に向けて、逆算で工程を組む必要があります。営業への影響を最小限に抑えながら効率的に作業を進めることが最優先です。
リニューアルオープン日からの逆算工程計画
商業施設では、広告宣伝の関係でリニューアルオープン日の変更が困難。確実に間に合わせる工程計画が欠かせません。
- オープン日を確定(絶対的な完成期限)
- バッファー期間を設定(予備日7-14日を確保)
- 検査・修正期間(品質確認と手直し用に3-5日)
- 各工程の所要日数を算出(過去実績を基に)
- 天候リスクを考慮(季節に応じた予備日を上積み)
バッファー期間がないと、少しの遅れで大パニックになります。この予備日の確保が、工程管理の生命線です。
外装工事における作業時間の最適化
| 時間帯 | 作業内容 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 日中 (9:00-17:00) | 足場組立・材料搬入 下地処理(騒音少) | 作業効率が良い 追加費用なし | 営業への影響大 |
| 夜間 (22:00-6:00) | 臭気を伴う作業 お客様動線に絡む作業 | 営業への影響なし | 作業効率20-30%減 人件費30-50%増 |
| 早朝 (6:00-9:00) | お客様動線に絡む作業 | 営業開始前に完了 | 技能者確保が困難 |
- 照明不足で作業効率が20-30%低下
- 夜勤手当で人件費が30-50%増加
- 夜間対応可能な職人が限定的
マンション外装改修における居住者配慮型工程管理
マンションの外装改修工事では、居住者の生活への影響を最小限に抑えることが最優先。特にバルコニーの使用制限は日常生活に直結するため、工程計画の重要なポイントです。
バルコニー解放を重視した工程計画
マンション改修工事の基本は、バルコニーの早期解放を最優先に工程を組むこと。築25年、80戸のマンションでの実例をお話しします。
| 工事段階 | バルコニー状態 | 期間 | 居住者への影響 | 対策 |
|---|---|---|---|---|
| 足場組立 | 使用不可 | 3日間 | 洗濯物干し場なし | 共用部に臨時干し場を設置 |
| 防水工事 | 完全立入禁止 | 5日間/階 | 避難経路が制限 | 代替避難経路を説明 |
| 塗装工事 | 制限付きで使用可 | 3日間/階 | 洗濯物取込みに注意 | 作業時間を事前通知 |
| 仕上げ工事 | 通常使用可能 | 1日間/階 | 軽微な制限のみ | 特別な対応不要 |
従来方式:バルコニー使用不可期間 60日間
改善後:バルコニー使用不可期間 20日間
→ 67%の短縮に成功!
「洗濯物をどこに干せばいいんだ」という苦情が必ず来るので、事前の準備が欠かせません。「火事になったらどうするんだ」という質問には、必ず答えられるように準備しておきます。「洗濯物に塗料がついた」というトラブルを避けるため、作業前に必ず声をかけています。
居住者の方々からは「思ったより早くバルコニーが使えるようになって助かった」と喜んでいただけました。
天候・作業員数・オープンタイムを考慮した実践的工程計画
外装工事の工程管理では、理論的な計画だけでなく、現実的な制約要因を考慮した実践的なアプローチが欠かせません。
天候予測と代替工程の準備
外装工事では天候の影響を受けない工程は皆無といってよく、常に代替案を準備しておく必要があります。
| 天候条件 | 判断基準 | 作業不可内容 | 代替作業 |
|---|---|---|---|
| 降雨 | 降水量1mm/h以上 | 塗装・シーリング・洗浄 | 材料準備・足場内作業 |
| 強風 | 風速10m/s以上 | 高所作業全般 | 地上での準備作業 |
| 低温 | 気温5℃以下 | 塗装・塗膜防水 | 下地処理・養生作業 |
| 高温 | 気温35℃以上 | 塗装(早期乾燥) | 下地処理・洗浄作業 |
以前、強風の中で作業を続けようとして、職人さんから「こんな風の中では危なくて作業できない」と言われたことがあります。
安全第一。無理な作業は絶対にしない。
作業員数の最適化計算
工程を守るためには、適切な作業員数の配置が大事。工程管理の基本は、下記の計算式を利用します。
必要人数 = 作業量(㎡) ÷ 日当たり作業能力(㎡/人・日) ÷ 工期(日)
- 塗装面積: 2,000㎡
- 1人1日の塗装能力: 40㎡
- 予定工期: 10日間
この計算はあくまで理論値です。実際には以下を考慮して、少し多めに確保しておく方が安全です。
- 天候による作業できない日
- 職人の人数確保ができない、急な体調不良や通勤中の事故
- 外壁の形状が複雑/看板造作などがついている
- 予期せぬトラブル
オープンタイム(作業可能時間)の確保
外装工事では塗料の乾燥時間や硬化時間を考慮した「オープンタイム」の管理が大事。これを間違えると、品質に直結します。
- 下塗り〜中塗り間隔: 4-16時間(材料により異なる)
- 中塗り〜上塗り間隔: 4-24時間(気温・湿度により変動)
- 最終養生時間: 24-48時間(完全硬化まで)
工程表作成時に、使用材料のオープンタイムを頭に入れて、次工程との調整を確実に行っています。
大規模外装工事における効率的な工区分割管理
大規模な外装工事では、建物を複数の工区に分けて効率的に工事を進めることが大事。私が管理した事例を基に、実践的な工区分割手法をお話しします。
実際の工区分割事例:12階建てマンション
築30年、12階建て120戸のマンション大規模修繕での工区分割実例をご紹介します。
| 工区 | 対象階 | 工期 | 対象戸数 | 特記事項 |
|---|---|---|---|---|
| A工区 | 1-4階 | 2ヶ月 | 40戸 | 低層部・搬入しやすい |
| B工区 | 5-8階 | 2ヶ月 | 40戸 | 中層部・標準工程 |
| C工区 | 9-12階 | 2ヶ月 | 40戸 | 高層部・揚重に注意 |
| 共用部工区 | エントランス・廊下 | 1ヶ月 | 全体 | 全期間並行で実施 |
- 各工区の作業完了次第、順次居住者に快適な環境を返却
- 天候による遅延の影響を工区単位で吸収
- 小規模単位での品質管理が向上
- トラブル発生時の影響範囲を限定
この分割により、「まだ全部終わってないけど、うちのバルコニーはもう使えるようになった」と喜んでいただけたのが、本当に嬉しかったです。
工程遅延時のリカバリー対策
外装工事では天候等による遅延は避けられません。遅延が発生した場合の効果的なリカバリー手法について、実際の経験を基にお話しします。
遅延の早期発見システム
遅延を最小限に抑えるため、早期発見システムを構築しています。
| 遅延レベル | 判断基準 | 警告 | 対応 |
|---|---|---|---|
| 日次遅延 | 計画比90%以下 | 黄色警告 | 原因分析・翌日で挽回 |
| 週次遅延 | 計画比85%以下 | 赤色警告 | 対策会議・工程見直し |
| 連続遅延 | 3日連続で計画未達成 | 緊急警告 | 緊急対策開始 |
| クリティカル遅延 | 全体工期に影響(2日以上) | 最高警告 | リカバリー計画策定 |
具体的なリカバリー手法
| 手法 | 適用場面 | 効果 | 追加コスト | 実施難易度 |
|---|---|---|---|---|
| 作業時間延長 | 1-3日程度の軽微遅延 | ★★★ | 人件費20-30%増 | ★☆☆ |
| 作業員増員 | 人海戦術が有効な作業 | ★★☆ | 人件費50-70%増 | ★★☆ |
| 工程の並行化 | 従来順次実施していた作業 | ★★★ | 調整費用のみ | ★★★ |
| 工法変更 | 大幅な工期短縮が必要 | ★★★ | 材料費・技術費増 | ★★★ |
商業施設の台風による1週間の遅延に対し、工程の並行化と作業時間延長を組み合わせて対応。
各業種の作業について理解・把握を行い、施工順序に影響のないものを先行実施。
→ 予定より2日早く完成!
まとめ:外装改修工事の工程管理成功の鍵
外装改修工事の工程管理は、新築工事とは違った、複雑で高度な管理技術が要求されます。私の6年以上の現場経験を通じて学んだことは、技術的な計画力だけでなく、関係者との円滑なコミュニケーションと柔軟な対応力が成功の鍵だということ。
特に天候という制御不可能な要因がある中で、いかに品質を保ちながら工期を守るか。これが施工管理者の腕の見せ所です。
- 現実的な工程計画: 過去実績と現場条件を考慮
- 天候リスク管理: 季節特性を考慮した予備日を確保
- 居住者・利用者配慮: 生活・営業への影響を最小限に
- 柔軟な工程調整: 遅延発生時の迅速なリカバリー
- 品質との両立: 工期優先でも品質を犠牲にしない
- 効率的な資源配分: 人材・材料・設備を最適活用
今後も技術の進歩とともに工程管理手法は進化していきますが、「決められた品質を、決められた工期で、安全に完成させる」という基本的な使命は変わりません。常に学び続け、現場に最適な管理手法を選択していくことが大切です。








