修繕積立金だけじゃない!購入前に見るべき「長期修繕計画」の落とし穴
2025年7月11日

中古マンションを選ぶとき、「修繕積立金が月1万円以下ならラッキー」と思っていませんか?
しかしその感覚、実はかなり危険です。
積立金の金額そのものよりも、その裏にある“長期修繕計画”の実態こそが重要。計画が甘ければ、数年後に一括徴収や修繕中止といったトラブルに直面することもあります。
長期修繕計画とは?──マンション維持のための“設計図”
長期修繕計画とは、共用部分(外壁・屋上・給排水管など)の修繕スケジュールと費用を見積もり、将来の工事に備える“資金設計図”のようなものです。
国土交通省も10〜30年先までの計画策定を推奨していますが、実際は「放置されたまま」「内容が古い」ケースも少なくありません。
よくある落とし穴①:過小な修繕費の見積もり
たとえば、10年後の修繕費が「5,000万円」と見積もられていても、資材高騰や人手不足を考えると、実際は1億円かかる可能性があります。
にもかかわらず、積立額は据え置き──その結果、一時金徴収や借り入れが発生し、住民間トラブルに発展することも。
よくある落とし穴②:古いまま更新されていない計画
長期修繕計画は、原則として5年ごとに見直すことが望ましいとされています。
しかし、築20年以上にもかかわらず、10年以上前の計画がそのままになっているマンションも存在します。実際の工事履歴と照らし合わせ、整合性を確認しましょう。
よくある落とし穴③:計画と実績の乖離
「15年目に大規模修繕予定」と書いてあるのに、実際は何も行われていない──そんな場合は、資金不足や管理体制の問題が疑われます。
過去の総会議事録や修繕履歴、会計報告書を見れば、どの程度実行されてきたかがわかります。
購入前にチェックすべき3つのポイント
- 最新の長期修繕計画があるか(5年以内に更新)
- 積立金の将来推移が明記されているか
- 過去の工事履歴と計画に齟齬がないか
これらは重要事項調査報告書や総会議事録、修繕履歴から確認可能です。購入前にプロ(宅建士や建築士)にチェックしてもらうのが理想です。購入後は理事会からのお知らせなどにもよく目を通しておきましょう。
まとめ:積立金の「安さ」より「計画性」を見極めよう
「修繕積立金が安い=優良物件」とは限りません。
むしろ、しっかりとした長期修繕計画に基づいて、段階的に値上げされているマンションこそが、“将来安心して住める”健全な物件です。
目先の金額にとらわれず、資料と実績を照らし合わせながら、中長期的な視点で物件を選ぶことが大切です。