【改修工事の施工管理とは?】④施工管理の原価管理完全ガイド

この記事を書いた人

建築施工管理技士/宅地建物取引士/Webエンジニア
・2級建築施工管理技士(取得年:2024年)
・宅地建物取引士(取得年:2020年)
・改修工事施工管理歴:6年(2018年〜現在)
・商業施設改修・修繕200件、マンション大規模修繕15棟
・不動産業務経験:買取再販・売買仲介 3年
・Mac活用13年

改修工事施工管理 原価管理についてのイラスト
施工管理4大業務シリーズ
この記事でわかること
  • 施工管理の原価管理とは何か – 基本的な定義と計算方法
  • 改修工事で赤字を出さないための資金繰りテクニック
  • 変更工事が発生した時の適切な対応と交渉術
  • 材料価格の変動に負けないコスト管理のコツ
  • 協力業者との長期的な関係を築く原価配分の考え方

200万円の赤字を出した日

施工管理3年目の冬、築35年のマンション外壁改修工事(契約金額4,500万円)で大きな失敗をしました。当初の見積もりでは原価3,900万円、利益600万円(利益率13%)。順調に進めば良い実績になるはずでした。

工事開始から2ヶ月目、足場を組んで外壁を詳しく調べたら想定以上にタイルの浮きが広範囲に広がっていたんです。「これは全部補修しないと危ない」。判断自体は正しかったと今でも思っています。

でも、追加工事の費用を施主と交渉する前に、先に補修を始めてしまった。本来なら現地調査報告書を作って、追加費用の見積書を提出して、承認を得てから作業に入るべきでした。追加作業の費用は約300万円。施主との交渉では「事前承認がないから全額は払えない」と言われ、結局100万円しか認めてもらえませんでした。

この工事は最終的に利益600万円の予定が400万円に。利益率も13%から9%に下がりました。自分のミスで会社に損失を与えてしまったという罪悪感は、今でも忘れられません。

それ以降、変更工事が発生したら必ず事前に現地調査報告書と見積書を作成し、承認を得てから作業に入る。この基本を絶対に守っています。


施工管理における原価管理とは

原価管理は、工事にかかる全ての費用を計算して予算内に収める管理活動のこと。国土交通省の建設業法でも適正な原価管理の実施が求められており、建設工事プロジェクトの経済的成功を左右する本当に大事な業務です。

私は改修工事の施工管理を6年以上経験し、数千万円から億円規模のプロジェクトの原価管理を数多く担当してきました。正直なところ、最初は単なる「お金の計算」だと思っていましたが、実際は全然違う。工事の収益性を確保しながら協力業者への適正な支払いを管理し、プロジェクト全体の資金繰りを円滑にする、かなり複雑な仕事なんです。

原価の基本構成

項目構成比主な内容管理のポイント
材料費40-50%主材料・副材料・消耗品調達タイミングの最適化
労務費30-35%直接工・専門工の人件費作業効率の向上
外注費10-15%専門工事業者への外注適正な業者選定
経費8-12%機械損料・仮設費・管理費効率的な現場運営
利益5-15%会社の利益・リスク対応全項目の総合管理

正直、最近は職人さんの確保が本当に大変で、労務費が上昇傾向にあります。

ぱんたロイド
最初は材料費だけに注目していましたが、実際は労務費や経費の管理も同じくらい大事。特に改修工事では予期しない追加作業で労務費が膨らみがちなので、常に注意しています。

原価管理の基本計算式

日本建設会計協会が定める建設業会計基準に基づき、原価管理では以下の計算式を使用します:

  • 粗利益 = 契約金額 – 原価
  • 粗利益率 = (契約金額 – 原価) ÷ 契約金額 × 100
  • 原価率 = 原価 ÷ 契約金額 × 100
実例(8,000万円の改修工事の場合)
  • 契約金額:8,000万円
  • 実行予算原価:7,200万円(原価率90%)
  • 目標粗利益:800万円(粗利益率10%)
  • 管理限界原価:7,400万円(粗利益率7.5%)
※管理限界を超えたら緊急対策を打つというルール

長期工事の資金繰り管理

改修工事は数ヶ月から数年にわたる長期プロジェクトが多く、適切な資金繰り管理が事業継続の鍵になります。長期工事で一番大変なのが最初の1〜2ヶ月。お金が出ていくばかりで入ってこない期間をどう乗り切るかが資金繰りの腕の見せ所なんです。

工事出来高請求金額入金予定支払予定資金収支
1ヶ月目500万円500万円0円400万円▲400万円
2ヶ月目1,200万円1,200万円500万円1,000万円▲500万円
3ヶ月目1,800万円1,800万円1,200万円1,500万円▲300万円
4ヶ月目2,200万円2,200万円1,800万円1,800万円0万円

4ヶ月目になってやっと収支がゼロになります。ここまで来れば資金繰りは安定してきます。

資金繰り悪化のサイン
  • 協力業者への支払いが契約より遅れる
  • 材料調達で現金払いを要求される(信用が落ちている証拠)
  • 銀行口座残高が想定より急激に減る
これらの兆候が出たらすぐに対策を打たないと、工事が止まってしまいます。

変更工事の適切な管理

改修工事では既存建物の状況により当初契約から変更が生じることが頻繁にあります。変更工事の適切な管理は収益確保のポイントで、私の失敗談でもお話ししたように、ここを間違えると大きな損失につながります。

変更工事の発生パターン

原因発生頻度金額影響対応方法
既存状況相違40-50%+3-10%現地調査結果を報告、写真等の証拠資料を確保
設計変更20-30%±5-15%設計者との協議、承認手続きを確実に実施
仕様変更要求15-25%±2-8%施主との協議、品質・工期への影響を評価
法令・規制変更5-10%+1-5%関係機関との協議、適用時期を明確化

壁を開けてみたら想定と違っていた、なんてことは本当によくあります。

変更工事の原価計算例

外壁タイル補修の追加(200㎡)
項目金額
材料費(タイル代)150万円
材料費(接着材等)30万円
労務費(専門工5人×10日×2.5万円)125万円
機械費(足場追加・工具損料)20万円
諸経費(現場管理費)25万円
小計350万円
利益(10%)35万円
変更請負金額385万円

承認を得るための根拠資料

  • 変更理由書(なぜ変更が必要か)
  • 現地調査報告書(既存状況の写真と図面)
  • 見積明細書(材料・労務・機械・諸経費の詳細内訳)
  • 工程影響評価書(変更による工期への影響)
  • 品質保証書(変更後の品質基準)
  • 関係者承認書(設計者・施主の承認)

これらの資料を揃えてから交渉すれば承認率は格段に上がります。

ChatGPT活用
変更工事の交渉で大事なのはしっかりとした根拠資料。「なんとなく高そう」ではなく「なぜこの金額になるのか」を数字で説明できることが信頼関係の構築にもつながります。

材料価格変動への対応

建設材料の価格は市況や為替の影響で変動が大きく、特に長期工事では価格変動リスクの管理が欠かせません。建設物価調査会の価格指数データによると、材料価格は年間で大きく変動することがわかります。

材料変動率(2023-2024年)変動要因対策削減効果
鋼材+15-20%原油価格上昇・円安早期調達・代替材検討5-8%削減
塗料+8-12%原材料費上昇メーカー直接取引3-5%削減
セメント+5-8%エネルギーコスト増大口調達契約2-3%削減
木材+10-25%ウッドショック継続代替材料への変更8-12%削減

ウッドショックの影響は本当に大きくて、計画通りの材料が使えないこともありました。

材料費削減の調達戦略

  • 複数社見積もりの徹底(最低3社から相見積もり)
  • 主要材料の年間使用量契約による価格固定
  • 他現場との合算発注によるスケールメリット活用
  • 性能を維持しながら低価格材料へ変更
  • 市況を見極めた戦略的な調達タイミングの最適化

デジタルツールの活用

建設業界のDX化に伴い、原価管理業務も大幅な効率化が可能になっています。従来のExcelベース管理からクラウドシステムへの移行による効果は本当に大きい。

業務従来の方法クラウドシステム効果
原価入力手作業でExcel入力スマホ・タブレットで直接入力入力時間70%削減
集計・分析月末に手動集計リアルタイム自動集計集計時間90%削減
情報共有メール・紙での共有クラウド上でリアルタイム共有情報伝達速度10倍向上
承認プロセス紙書類の回覧電子承認ワークフロー承認時間80%短縮

以前は月末に徹夜で集計作業をしていましたが、今はボタン一つで終わります。回覧で1週間かかっていた承認が1日で終わるようになりました。

現場あるある
デジタル化の導入は最初は作業員の方々に戸惑いもありましたが、慣れてくると「前より楽になった」という声が多く聞かれます。特に計算ミスがなくなったのは大きな効果ですね。

協力業者との関係構築

建設工事の品質と工程は協力業者の協力なしには実現できません。適正な原価配分により長期的なパートナーシップを構築することが大切です。

業者選定の評価項目

評価項目評価基準配点
価格競争力相場に対する競争力30点
技術力施工実績・技術者の資格25点
品質管理体制ISO取得・品質管理システム20点
安全管理体制労災実績・安全管理体制15点
財務安定性財務諸表・与信情報10点

単に安いだけの業者を選ぶと、後で品質や安全面で問題が起きることが多いんです。

長期的な関係構築の仕組み

  • 基本利益保証:工事金額の8-12%の利益を保証
  • 品質ボーナス:無事故・無クレーム完成時に追加報酬
  • 工期短縮インセンティブ:予定より早期完成時の成功報酬
  • 技術提案報酬:コスト削減・品質向上提案の採用報酬
  • 継続契約優遇:複数年契約による価格優遇措置

こういう仕組みがあると協力業者も一生懸命やってくれます。建設業振興基金などの支援制度も活用しながら、協力業者の技術力向上を支援していくことで、協力業者が成長すれば自分たちの仕事の質も上がるんです。

プロフィール用
協力業者さんとの関係は本当に大事。適正な利益を確保してもらうことで良い職人さんを確保でき、結果的に品質の高い工事ができます。短期的な利益追求より長期的なパートナーシップが大切ですね。

まとめ:原価管理は経営の根幹

改修工事における原価管理は単なる「お金の計算」を超えて、事業の持続可能性を決定する極めて大事な業務。私の6年以上の現場経験を通じて学んだことは、原価管理の成功には細部への注意と全体最適化の両方が欠かせないということです。

原価管理成功のポイント
  • 過去実績に基づく現実的な予算設定
  • 日次・週次での原価状況把握と迅速な対応
  • 予期しない変更への柔軟な判断
  • 適正利益配分による長期パートナーシップ構築
  • デジタルツールによる業務効率化と精度向上
  • 短期利益より長期競争力向上への投資を優先

特に改修工事では予期しない変更が多発するため、柔軟性と的確な判断力が求められます。デジタル技術の活用により効率化は進んでいますが、最終的には現場の状況を正確に把握し関係者との信頼関係を築くことが最も大切です。全国建設業協会などの業界団体も、原価管理の高度化に向けた支援を行っています。

現場あるある
原価管理は数字との格闘ですが、その背後には多くの人の努力があります。職人さん、協力業者さん、そしてお客様、みんなが納得できる適正な原価管理を心がけています。これで施工管理4大業務の解説は完了です。皆さんの現場管理に少しでも役立てば嬉しいです!

本記事の一部画像はAIによる自動生成(ChatGPT・DALL·E)を使用しています。著作権上問題のない範囲で掲載しています。
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