2025年の建設工事が遅れる理由とは?職人不足と資材高騰の影響

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建築施工管理技士/宅地建物取引士/Webエンジニア
・2級建築施工管理技士(取得年:2024年)
・宅地建物取引士(取得年:2020年)
・改修工事施工管理歴:6年(2018年〜現在)
・商業施設改修・修繕200件、マンション大規模修繕15棟
・不動産業務経験:買取再販・売買仲介 3年
・Mac活用13年

2025年の建設工事が遅れる理由とは?職人不足と資材高騰の影響
この記事でわかること
  • 2025年建設業界で工事遅延が多発している真の原因
  • 談合問題が現場に与えている具体的な影響
  • 職人不足・高齢化の実態と今後の見通し
  • 工事遅延を避けるための発注者側の実践的対策
  • 信頼できる業者を見分けるための具体的指標

まことしやかに噂されていた、「2025年問題」。
団塊の世代が後期高齢者である75歳を迎えることを言うのですが、建設業界には大きな影響が出ると言われていました。

テレビや新聞では「職人不足」「資材高騰」といった表面的な理由ばかりが取り上げられがちですが、現場で働く私たちが感じているのは、もっと根深い構造的な問題です。
改修工事施工管理として5年以上現場に携わってきた中で、少しずつ業界全体が大きく変わってきていると実感しています。

2025年、特に大きな影響を与えたのが談合問題です。
信頼していた大手企業の不祥事により、業界全体の信頼が揺らぎ、仕事の流れそのものが変化しています。そして何より深刻なのが、技術を持った職人さんの高齢化と後継者不足です。

この記事では、現場で実際に起きていることをお伝えしながら、お客様が安心して工事を依頼するために知っておくべきことを、具体的な事例とともに詳しく解説します。


70歳の親方が現場に出続ける理由

高齢化する建設現場のイラスト

先日、お世話になっている左官屋さんの親方と話す機会がありました。
その方は今年で70歳。本来ならとっくに引退してもおかしくない年齢です。

「正直、もう体がきついんだよ」と言いながら、それでも現場に出続けている。
理由を聞いたら、「後継ぎがいないから。うちの技術を受け継げる若い子がいないんだ」と寂しそうに笑っていました。

その親方のコテさばきは本当に芸術的。
壁を撫でるように仕上げていく手つきは、何十年もの経験がないとできない技術。

でも、その技術を教える相手がいない。
若い人は建設業に入ってこないし、入ってきても左官みたいな「きつい・汚い・危険」な仕事は敬遠される。

「あと何年続けられるかな」という親方の言葉が、今でも耳に残っています。
この親方が引退したら、その技術は永遠に失われてしまう。それが日本中の現場で起きているんです。

建設業界の高齢化は想像以上に深刻です。国土交通省の建設業就業者数の推移を見ると、建設技能者のうち55歳以上が約35%、29歳以下はわずか11%(2023年時点)となっています。

特に専門技術が必要な塗装・防水・左官工事では、60代、70代の職人さんに頼っているのが現状。
彼らが持っている技術や経験は本当に貴重で、「日本の財産」と言っても過言ではありません。

私も手先は器用な方なのですが、絶妙なコテの角度や力加減、手先の感覚、気温や湿度を見ながらの粘度調整など、左官工事一つ見ても、見よう見まねでできるような単純な作業ではないことが分かります。

左官・塗装工事は高齢化が最も進行していて、新規参入が極めて困難。
防水・屋根工事は専門技術の習得に長期間要して、後継者不足。
タイル・石工事は熟練技術者の引退により技術継承が困難になっています。
電気・管工事は資格取得者不足と技術革新への対応遅れ。
大工・建築工事は若手の参入減少と技術レベルの格差が広がっています。

実際の現場では、「この技術を知っているのはこの人だけ」という状況がよくあります。
その職人さんが体調を崩されたり、引退されたりすると、同レベルの技術を持つ代替の方を見つけるのは本当に困難です。

ぱんたロイドのイラスト
ベテランの職人さんの技術を見ていると、本当に芸術的です。でも後継者がいないのが一番の心配事なんです。

談合問題で元請けが消えた日

談合問題で元請けとなる大手業者が手を引いた時期

2024年後半から表面化した大規模修繕工事の談合問題は、業界に大きな衝撃を与えました。多くの大手建設会社が新規案件の受注を見送る状況が続いています。

私たちの現場でも、いつも仕事をいただいていた大手の元請け会社から「しばらく新しい仕事は受けていません」と連絡を受けました。急遽別の元請け業者を探さなければならないケースが複数回ありました。

これは困りました。

長年一緒に仕事をしてきた元請けとは、お互いのやり方や基準が分かっている。
でも新しい元請けだと、イチから関係を築かないといけない。品質基準も違うし、提出書類のフォーマットも違う。現場のルールも違う。

ある現場では、新しい元請けの品質基準が甘すぎて、「これで本当にいいんですか?」と何度も確認したことがあります。
逆に、別の現場では基準が厳しすぎて、必要のない書類作成に時間を取られたこともありました。

この業界では「信用」が何より大切です。
長年培ってきた信頼関係が一度崩れると、元に戻すのに何年もかかります。

だからこそ、大手各社も慎重にならざるを得ないのが現状です。

大手ゼネコンは、改修部門の受注停止・縮小。私の主観ではありますが、影響期間は1〜2年と予想しています。
コンプライアンス体制強化が進められている状況。
中堅業者は受注機会が増加したけど、体制が不足。私の所属する会社も施工管理分野は人手不足で、人員・設備の拡張を検討中です。

私の所属する会社の下請けさん(専門工事業者)は、発注元の変更・工程変更が継続中で、新規取引先開拓が課題と言っていました。
施主・発注者は工期遅延・業者選択が困難になっているようです。
1〜3年の影響期間が予想され、発注戦略の見直しをしているのかな、という印象です。

現場あるあるで困るぱんたロイド
大手が動けないと、その影響は必ず現場の職人さんたちにも及びます。会社の存続や自分の生活のため、元請け会社の切り替えをした結果、いつもより技術レベルの低い現場で働くことになると、無駄な労力がかかってしまう。これは本当に社会全体の損失だと思います。

デジタル化しても「人の手」は消えない

ChatGPTを活用して報告書・作業日誌・工程表などの書類を作成する

最近、BIMやドローン、AIを使った自動化技術の導入が進んでいます。国土交通省のi-Construction政策により、確かに測量や設計の効率は上がりました。

でも現場では今でも、職人さんの「手の技術」と「経験による判断」が欠かせません。
特に改修工事では、建物ごとに状況が全く違うため、マニュアル通りにはいかないことばかりです。

先日、築30年のマンションの外壁改修で、図面通りに工事を進めようとしたら、実際の壁の状況が図面と全く違っていました。
図面では「コンクリート壁」となっていたのに、実際には「ALC壁」だったんです。

こんな時に頼りになるのは、長年の経験を持つ職人さんの判断力。
その場で壁を叩いて音を聞き、「ここはALCだな。じゃあこの材料じゃダメだ、こっちを使おう」と即座に判断してくれました。
AIにはこんな臨機応変な対応はできません。

設計・図面作成はデジタル化が進んでいますが、外壁塗装・左官、防水処理、内装仕上げなどの実際に身体を動かして行う作業は、今でも人材依存度が非常に高い。
技術継承の難易度も高く、デジタル化だけでは解決できない分野なんです。

AIが普及する時代だからこそ、逆に「人にしかできないこと」の価値が高まっていると感じています。
どんなに良い材料や機械があっても、最終的にそれを使いこなすのは人間だからです。

AI技術の最先端をいくアメリカでは、「ブルーカラービリオネア」という言葉もあり、成り手のいない職人技術職が今後稼げる仕事として注目されていくのは間違いないと私は思います。

技術継承の危機:熟練職人の引退により、数十年かけて培われた技術が失われるリスクが高まっています。この「経験知」の消失は、業界全体の品質低下につながる深刻な問題です。

材料は届いても工事が始まらない理由

「材料は届いているのに、なぜ工事が始まらないんですか?」──お客様からこんな質問をいただくこともあります。

確かに、建設物価調査会のデータを見ると、資材価格は高騰しています。でも、問題はその材料を使って工事をする「人」の確保なんです。

ある現場では、外壁塗装の材料が予定通り届きました。でも、信頼できる塗装職人の空きがなくて2週間待ち。その職人が前の現場で予定外のトラブルが発生して、さらに1週間遅延。やっと工事が始まったと思ったら、天候不良で追加の遅延発生。結果として、当初予定より1〜2ヶ月の工期延長になってしまいました。

一般建材は1〜2週間で調達できますが、専門職人は2〜8週間かかります。
特殊建材は3〜4週間ですが、専門職人は4〜12週間もかかることがある。しかも、専門職人は代替がほとんど効かないんです。

特に専門性の高い防水工事や塗装工事では、「この人でないとお任せできない」というケースが多く、その職人さんの都合で工程が決まってしまうことも珍しくありません。

私のような施工管理職は、会社ごと・工種ごとにある程度お抱えの施工業者の日程調整をお願いしつつ、お客様との交渉を行っています。お客様・職人さんそれぞれの希望を聞き出し、落とし所を見つけて調整するのが我々の仕事です。


「職人を抱えているか」が業者選びの鍵

工事が遅れないように対策するユーザーのイラスト

今の時代、業者選びで最も重要なのは「どんな職人さんと組んで仕事をしているか」です。
価格や会社の規模よりも、実際に工事をする人たちの技術力と確保状況を重視すべきだと思います。

私が現場で見てきた限り、自社で職人を抱えているか、長年固定の協力業者と組んでいる会社は、やはり安定した品質と工期で仕事をこなしています。
一方で、案件ごとに職人を探している会社は、どうしても安定性に欠けるのが現状です。

私の所属する会社でも、お抱えの職人さんたちが対応できる工事は自信を持って送り出すことができますが、特殊な工事で専門業者をイチから探して手配する場合は、金額・日程・品質の管理にかなり気を遣います。

自社職人中心型の業者は、職人確保力が高く、工期も安定しています。品質も一貫していますが、価格競争力はそれほど高くありません。
固定協力業者型は、バランスが取れていて、多くの現場で使われています。
案件別調達型は価格が安いですが、品質や工期の安定性に欠けます。
ブローカー型は、正直なところ避けた方が無難です。

ちょっと脱線はしますが、一方的に業者へ仕事を丸投げしている元請けは、工程管理も安全管理も品質管理もめちゃくちゃだったりします(愚痴)。


地域密着業者の「顔の見える関係」

大手が談合問題で動けない今、意外に頼りになるのが地域密着の工務店や施工業者です。
彼らは地元の職人ネットワークを活用し、「顔の見える関係」で安定した人材確保を実現しています。

実際に私が協力している地元の塗装業者さんは、「○○さんの仕事なら」と言って、忙しい時でも職人さんが協力してくれるんです。
これは長年の信頼関係があるからこその強みだと思います。

職人との長期継続関係では、10年以上の協力関係を維持している場合が多い。
緊急時の対応力も高く、トラブル時に即座に応援要請ができます。
技術レベルの把握もしっかりしていて、各職人の得意分野・技術レベルを熟知しています。
品質の一貫性も、同じ職人チームでの継続施工により保たれています。

気候・風土の理解では、地域特有の施工ノウハウが蓄積されている。
法規制・慣習への精通、材料調達の効率性、アフターフォローの確実性。

これらは地域業者ならではの強みです。

地域業者の最大の強みは、「逃げられない」ことです。
地元での評判が次の仕事に直結するため、手抜き工事はできません。

この地域責任感は、大手にはない大きな安心材料だと思います。


まとめ:2025年問題を乗り越える「新しい建設業」への転換

5年前に現場に入った頃と比べて、この1年の変化は本当に激しいです。

70歳の親方が「あと何年続けられるかな」とつぶやく姿、
談合問題で信頼していた元請けが消えた日、
若手が入ってこない現実──

これらすべてが、同時に目の前で起きています。

もちろん、不安もあります。でも、だからこそ今が業界を変える最後のチャンスだとも思うんです。
透明性の高い競争、技術継承の体系化、働く人の環境改善──これらを実現できれば、もっと若い人が入ってくる業界になるはずです。

これらの課題を正しく理解し、適切な対策を講じることで、より透明で効率的な建設業界を築くことは十分可能です。
危機は同時に機会でもあります。

現場で5年以上働いてきて強く感じるのは、「この人となら一緒に良いものを作れる」という信頼関係がすべてだということです。
どんなに良い機械や材料があっても、最終的に建物を作り上げるのは職人さんの手と心。その技術が失われつつある今だからこそ、一緒に働ける職人さんを大切にしたいんです。

「安い・早い」から「持続可能・高品質」へ。
「職人依存」から「技術継承・システム化」へ。
「アナログ作業」から「デジタル活用」へ。
「多重請負」から「直接契約・適正報酬」へ。

こういった視点の転換が求められています。

私自身も施工管理者として、ITスキルを活かした現場改善や、若手職人の教育に積極的に取り組んでいます。
一人ひとりができることは小さくても、業界全体で取り組めば大きな変化を起こせると信じています。

技術継承への貢献として、ベテランと若手が協働できる工事環境を支援すること。
働き方改革への理解で、適正な工期と労働環境を確保すること。
デジタル化への協力で、効率的な情報共有と記録管理を進めること。
品質重視の姿勢で、目先の安さより長期的な価値を重視すること。

これらがお客様に求められる新しい発注スタイルです。

2025年問題は確かに深刻な課題ですが、同時に建設業界が生まれ変わる絶好の機会でもあります。
透明性の高い競争、技術継承の体系化、デジタル技術の活用、働く人の環境改善──
これらすべてが進むことで、より良い建設工事が当たり前になる時代がやってくるはずです。

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