中古マンション購入前チェックリスト【建築のプロが教える見落としがちな確認ポイント50項目】

この記事を書いた人

建築施工管理技士/宅地建物取引士/Webエンジニア
・2級建築施工管理技士(取得年:2024年)
・宅地建物取引士(取得年:2020年)
・改修工事施工管理歴:6年(2018年〜現在)
・商業施設改修・修繕200件、マンション大規模修繕15棟
・不動産業務経験:買取再販・売買仲介 3年
・Mac活用13年

中古マンション購入前チェックリスト
この記事でわかること
・建築のプロが厳選した中古マンション購入前チェックリスト50項目
・内覧では見抜けない構造・設備の問題点の見分け方
・購入後に後悔しないための築年数別注意点
・管理組合・修繕積立金の適正な判断基準
・実際の現場で見た失敗事例と対策方法

中古マンション購入は「見えない部分」が勝負

購入検討中の中古マンションのチェック項目について

中古マンション購入で多くの買主が重視するのは、立地、間取り、価格といった「目に見える条件」。でも、本当に大切なのは「目に見えない部分」であると私は確信しています。

構造の健全性、設備の劣化状況、管理組合の運営状態。これらは内覧だけでは絶対に分からない。

僕が見てきた中でも、「購入後3ヶ月で大規模修繕の一時金80万円を請求された」というトラブルがありました。

管理組合の議事録には記載されていたのに、誰も確認していなかったんです。

2018年4月の宅地建物取引業法改正で、不動産会社にはホームインスペクション(建物状況調査)の説明義務ができました。国も「建物の状態をちゃんと調べましょう」と言ってるわけです。

ぱんたロイド
内覧で「きれいだから大丈夫」と判断するのは本当に危ないよ!建物の本当の健康状態は、専門的な視点でチェックしないと見抜けないんだ。

築年数別の基本戦略

中古マンションのチェックポイントは築年数によって全く違います。

築5-10年:初期不良に注意

給湯器などの初期不良による出費に注意

築浅物件だから安心は大間違い。
新築時に手抜き工事をしていた場合は、この時期に不具合が出始めます。
特に外装の塗装や防水に関しては、適正に施工しても10年程度の保証が材料がほとんど。
当時の施工不良は10年以内に発覚します。

外壁塗装の3つの保証と保証期間

新築時の施工不良の場合は施工主の責任を問うことができますが、当時の施工不良を証明するまでにかなりの時間を要します。いずれ返ってくるかもしれませんが、調査や緊急対策は費用がかかるものです。
実際に私が経験した緊急対策工事も、「漏水」の費用と「漏水による設備の不具合」が片方しか認められず、一部管理組合の負担となってしまったことがありました。

積立金残高は戸当たり30-60万円程度で、大きな工事が出ると一時金徴収の可能性があります。
給湯器やエアコンも故障し始める時期なので、購入後5年以内に20-50万円程度の出費を想定しておきましょう。

給湯器の寿命・耐用年数 | くらしのマーケット

エアコンの買替えと修理 どちらがいいの︖ | ダイキン

築10-15年:大規模修繕の時期

大規模修繕工事の時期により一括徴収などのリスクも

初回の大規模修繕を控えているか、直後の時期。
私の経験上、この時期に修繕積立金が不足している物件は、管理組合の運営に問題を抱えているケースがほとんどです。

実際に2023年に相談を受けた築13年の物件では、積立金が戸当たり40万円しかありませんでした。
事情を確認したところ、管理組合がほとんど機能しておらず、管理会社とそのお抱えの業者のいいように出費していたようです。

適正な積立金残高は戸当たり70-120万円程度ですが、不足している物件が多く、一時金として1戸あたり50-100万円を求められるケースも。
水回り設備の交換も重なり、200-300万円の出費を覚悟してください。

令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査 | 国土交通省によると、1回目の大規模修繕工事(築13年~16年の物件)の場合、工事金額は1戸当たり100万円~125万円前後(平均151.6万円)となっています。

築15-25年:設備更新の集中時期

給排水設備の更新集中時期で大幅な出費の想定が必要です

給排水管は築20年を過ぎると交換時期。
2回目の大規模修繕に加え、エレベーター改修、受水槽交換などが重なります。

マンションで使用される給排水管の耐用年数一覧

エレベーターリニューアルの必要性 | 日立ビルシステム

適正な積立金残高は戸当たり150-250万円程度。
新築当時から内装のトレンドが変わっていたり、キッチン・トイレ・お風呂などの住宅設備にも不具合が出ていたりする時期。
今後10年間で共用部と占有部を合わせて、300-500万円程度の出費を想定しておくのが現実的です。

築25年以上:管理組合の質が決め手

大規模改修や建替えの検討が始まる時期。
管理組合の運営状況と住民の合意形成能力が何より大切です。

昨年私が入った大規模修繕工事のマンションでは、築浅の時に購入したという重鎮の理事がおり、追加工事などの最終決定はその人がしていました。

理事会や管理組合で委任の合意が取れていたようでしたし、建設業経験者だったようで施工にも詳しかったので、お互い建物のためになる話ができましたが
同様の別のケースで、重鎮の理事長が改修業者からバックマージンをもらっている、という話は何度も聞いたことがあります。

管理組合の運営状況についてもよく知っておくことが大切です。

占有部ではほぼ全ての設備が更新時期を迎えており、購入後すぐに500-1000万円の出費が控えている可能性も。
ただし、しっかり管理されている物件なら、築40年でも十分に価値があります。

築年数積立金残高目安
(1戸あたり)
想定される一時金占有部の修繕費
築5-10年30-60万円0-30万円20-50万円
築10-15年70-120万円50-100万円200-300万円
築15-25年150-250万円80-150万円300-500万円
築25年以上250-350万円以上100-200万円500-1000万円
※出典:国土交通省「マンション修繕積立金に関する実態調査」令和3年度版
※専有面積70㎡、総戸数50-99戸のマンションを想定

【保存版】中古マンション購入前チェックリスト50項目

中古マンション購入前チェックリスト50項目

建築のプロが厳選した、購入前に必ず確認すべき50項目を分野別にまとめました。

【外観・構造】10項目

1. 外壁のひび割れ(幅0.3mm以上は要注意)
2. バルコニーの排水状況と防水層の状態
3. 共用廊下の床の沈みや傾き
4. 天井の雨染みや剥がれ
5. エントランス・共用部の清掃状態
6. 床タイルの浮きや欠け
7. 建物全体の傾きや不同沈下
8. 柱や梁のひび割れパターン
9. 鉄部の錆や腐食
10. 手すりのぐらつき

【専有部分】10項目

11. 床の傾き(ビー玉テスト)
12. 歩行時の振動やきしみ音
13. 建具の開閉のスムーズさ
14. 壁・天井クロスの剥がれや膨らみ
15. カビや結露の痕跡
16. コンクリートの白い粉(中性化)
17. 窓・サッシの開閉状態
18. ゴムパッキンの劣化
19. 室内の臭い(カビ・湿気・生活臭)
20. 収納内部の湿気やカビ

【設備・配管】10項目

21. 全蛇口の水圧確認
22. 排水のスムーズさ
23. 給湯器の設置年度と動作
24. 分電盤の容量(30A以上推奨)
25. 漏電ブレーカーの設置
26. 全コンセントの動作確認
27. 24時間換気システムの動作
28. レンジフードの吸引力
29. 配管の錆や水漏れ痕跡
30. 点検口からの床下確認

【管理・運営】10項目

31. 修繕積立金の残高(築年数別目安と比較)
32. 過去の一時金徴収履歴
33. 長期修繕計画の策定年と更新頻度
34. 向こう10年間の大規模工事予定
35. 管理会社の変更履歴
36. 理事会・総会の議事録公開状況
37. 管理組合の出席率
38. 過去の大規模修繕の履歴
39. 管理規約(ペット・楽器・リフォーム)
40. マンション管理計画認定の有無

【法的・権利関係】10項目

41. 土地権利(所有権か借地権か)
42. 登記情報(抵当権・差押え・仮登記)
43. 建築基準法への適合性
44. 違法建築・既存不適格の有無
45. 瑕疵担保責任の範囲と期間
46. 住宅性能評価書の有無
47. 契約解除条件(ローン特約)
48. 手付金の額と性質
49. 引渡し時期と条件
50. 諸費用の総額(仲介手数料・登記費用・税金)

特に注意すべき築年数
・築12-15年:初回大規模修繕直前(一時金徴収の可能性)
・築20-25年:給排水管の更新時期(枝管は個人負担)
・築30年以上:建替え検討時期(管理組合の方針確認必須)

失敗事例:外壁のひび割れで見抜いた重大な欠陥

外壁クラックのイラスト

2022年9月、築18年マンションの相談を受けました。
価格が相場より200万円安く、購入希望者のBさんは「チャンス」と考えていました。

でも1階エントランスの柱に、圧縮されたようなひび割れ(幅0.5mm)が複数ありました。

これは構造部分の不具合の兆候。
建築士のインスペクションを実施した結果、建物全体で不同沈下が確認され、修復に500万円以上かかることが判明。

Bさんは購入を見送りました。

外壁のひび割れのパターンを読めば、建物の抱える問題が見えてきます。
単なる経年劣化なのか、構造的な問題なのか。その見極めが購入判断を左右します。

ぱんたロイド
外壁のひび割れは「表面的な問題」に見えるけど、構造に関わる重大な兆候の場合があるんだ。パターンを見れば原因が分かるよ!

管理組合の健全性チェック

修繕積立金の状況は、物件の健全性を測る最も大切な指標です。

現在の積立残高が目安を大幅に下回っている場合は危険信号。
具体的には、築10年で戸当たり50-80万円、築15年で100-150万円、築20年で200-300万円が目安です。

過去に一時金徴収が複数回行われている物件は要注意。

計画的な資金管理ができていない証拠です。
私が担当した案件でも、一時金徴収を繰り返す物件ほど、最終的に資産価値の下落が大きいという傾向がはっきり見えています。

長期修繕計画が10年以上前に作られたまま更新されていない場合、現実とかけ離れている可能性が高い。

管理会社の変更歴も確認してください。

短期間で何度も変えている場合、トラブルが頻発している可能性があります。理事会や総会の議事録が公開されているか、出席率はどうかも確認ポイントです。

ぱんたロイド
管理組合の運営状況は、将来の資産価値に直結するんだ。しっかりした管理組合なら建物も長持ちするよ。

専門家活用のすすめ

建築の専門知識がない方が構造の問題を見抜くのは非常に難しいです。
私自身、躯体・構造の工事の経験や施工管理の資格を持っていても、専門外の設備診断では建築士の助言を仰ぐことがあります。

建築士によるホームインスペクション(既存建物診断)の活用を強くお勧めします。
費用は5-15万円程度ですが、私がこれまで見てきた中で、インスペクションで発見された不具合を価格交渉の材料にして、平均で50-80万円の値引きに成功したケースがいくつかあります。
つまり、診断費用の10倍以上のリターンが期待できる投資なのです。

ホームインスペクションで分かるのは、構造的な欠陥や劣化の程度、設備の残存耐用年数、修繕が必要な箇所と概算費用、建築基準法等への適合状況など。
発見された問題点は、価格交渉の材料としても使えます。

2024年4月の宅建業法改正により、不動産会社にはインスペクション業者の斡旋や説明が義務化されています。
より安心して専門家の診断を受けられる環境が整っています。

購入を避けるべき物件の典型例
・築15年で修繕積立金残高が戸当たり50万円未満
・過去3回以上管理会社を変更している
・大規模修繕を一度も実施していない築20年以上の物件
・理事会議事録が3年以上公開されていない

まとめ:後悔しない中古マンション購入のために

中古マンション購入は人生最大の買い物の一つです。
この記事でご紹介した50項目のチェックリストを活用することで、購入後のトラブルを大幅に減らすことができます。

リノベーション済みで室内がピカピカでも、共用廊下の床にわずかな沈みがあれば私は購入を勧めません。
なぜなら、過去に見た同様の物件で、3年後に大規模な補修工事が必要になったケースがあるからです。

表面の美しさではなく、骨組みの健全性こそが資産価値を守る鍵だと、現場で学びました。

将来コストを正確に把握し、修繕積立金の値上げ予想、大規模修繕の時期と費用、設備更新のタイミングを計算に入れること。

正直なところ、完璧な中古マンションなんて存在しません。
大切なのは、問題点を正確に把握して、それが許容できるレベルかどうか判断すること。見た目が地味でも管理が行き届いた物件こそが、長期的に安心して住める優良物件なんです。

建築の専門知識を活かした適切なチェックと判断により、あなたにとって最適な中古マンションが見つかることを願っています。
購入は慎重に、しかし優良物件に出会ったら迅速に決断すること。それが成功の鍵です。

本記事の一部画像はAIによる自動生成(ChatGPT・DALL·E)を使用しています。著作権上問題のない範囲で掲載しています。
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