外壁塗装の費用相場は?施工管理者が教える見積もりの見方
この記事でわかること
- 外壁塗装の費用相場と坪数別の目安金額
- 見積書で確認すべき7つの内訳項目
- 塗料の種類ごとの耐用年数とコスパの違い
- 費用を抑える4つの方法(助成金・相見積もりなど)
- 施工管理者が見てきた「ぼったくり見積もり」の見抜き方
外壁塗装って、結局いくらかかるのか。ネットで調べても「80万〜150万円」みたいなざっくりした数字ばかりで、かえって不安になった方もいると思います。
私の経験から言うと、同じ30坪の家でも見積もりに50万円以上の差が出るのは珍しくありません。
差が生まれる原因は、塗料の種類、足場の組み方、下地の状態、そして業者の利益率。これらが複雑に絡んでいるからです。この記事では、施工管理者の立場から見積書の読み方と、適正価格で塗装するためのコツを、現場の感覚でお伝えします。
外壁塗装の費用相場はいくら?坪数別の目安
まず結論から。2階建て・30〜40坪くらいの戸建て住宅で外壁塗装をやると、80万〜140万円あたりに収まるケースが多いです。実際に塗装した方の約7割がこの範囲に入っています。
ただ、この金額は外壁だけの話。屋根塗装もセットでやると、さらに20万〜40万円ほど上乗せになります。足場を一度で済ませられるので、別々にやるよりトータルでは安くつくケースがほとんどです。
| 延床坪数 | 外壁塗装のみ | 外壁+屋根塗装 |
|---|---|---|
| 20坪 | 60万〜90万円 | 80万〜120万円 |
| 30坪 | 80万〜120万円 | 100万〜150万円 |
| 40坪 | 90万〜140万円 | 120万〜170万円 |
| 50坪 | 100万〜160万円 | 130万〜190万円 |
あくまで目安です。同じ30坪でも窓の多い家は塗る面積が減るぶん安くなりますし、凹凸の多い外壁や3階建てだと足場代が跳ね上がります。
見積書の内訳がわかれば「高い・安い」が見える
外壁塗装の見積書を受け取って、合計金額だけで判断するのは危険です。私が現場で見てきた限り、トラブルの大半は見積書の中身を確認しなかったことから起きています。
外壁塗装の費用は、大きく7つの項目に分かれています。それぞれのざっくりとした相場感を押さえておけば、見積もりが妥当かどうか、だいぶ見えてきます。
①足場代:1㎡あたり600〜1,000円
塗装工事の費用全体のうち、およそ20%を占めるのが足場代。30坪の住宅で15万〜25万円ほどです。「足場代無料」をうたう業者も見かけますが、施工管理をやっている身からすると、足場代がゼロになることはまずありえません。他の項目にこっそり上乗せされているか、足場を組まずに作業している――つまり品質が落ちているか、どちらかです。
②高圧洗浄:1㎡あたり200〜300円
塗装の前に外壁の汚れやコケを高圧の水で洗い落とす作業です。ここを省くと塗料がうまく密着せず、数年で剥がれてきます。見積もりに高圧洗浄の項目がなければ、必ず確認してください。
③下地処理・補修:状態による(数万〜20万円)
ひび割れの補修や、コーキングの打ち替えがこの項目に入ります。コーキングとは、外壁のつなぎ目にあるゴム状の目地材のこと。築15年を超えた住宅では、ひび割れやコーキングの劣化がほぼ確実に見つかります。この費用がまったく計上されていない見積書は、塗装直後にトラブルが出るリスクが高い。
④塗料代+塗装工賃:塗料の種類で大きく変わる
費用の中心です。1㎡あたりの単価で表示されるのが普通で、塗料のグレード次第で金額がかなり動きます。詳しくは次の章で触れます。
⑤付帯部の塗装:合計10万〜30万円
付帯部というのは、雨どい・軒天・破風板・雨戸など、外壁以外の部分です。軒天は屋根の裏側、破風板は屋根の端の板を指します。ここを塗らないと外壁だけきれいになって、付帯部だけ古びた見た目が残ります。見積書にどこまで含まれているか、確認しておくべきところです。
⑥養生:1㎡あたり200〜400円
窓・車・植木などに塗料が飛ばないよう、ビニールやテープで保護する作業です。地味な工程ですが、ここを雑にやると近隣トラブルにつながります。
⑦諸経費・運搬費:工事費の5〜10%
廃材処分費、交通費、事務手数料などが入ります。見積書では「一式」と書かれていることが多いですが、工事費全体の10%を大幅に超えている場合は内訳の説明を求めたほうがいいでしょう。
見積もりでよくある落とし穴
- 「塗装工事一式 ◯◯万円」と内訳がない見積もりは要注意。何が含まれて何が含まれないか不明
- 「足場代無料」は実質的に他の項目に上乗せされているケースが多い
- 3回塗り(下塗り・中塗り・上塗り)が基本。「2回塗り」は手抜きの可能性がある
- コーキング補修費が含まれていない見積もりは、サイディング外壁の場合は特に危険
塗料の種類と選び方|安い塗料がお得とは限らない
外壁塗装の費用を左右する最大の要素は塗料です。多くの塗装工事を見てきた実感として、初期費用が安い塗料とトータルでお得な塗料はまったく別ものだと言い切れます。
たとえばアクリル塗料。1㎡あたり1,000〜1,500円と安いですが、耐用年数は3〜8年。対してシリコン塗料は1㎡あたり2,000〜3,500円で、耐用年数は7〜15年です。10年スパンで考えると、アクリルは2回の塗り替えが必要になる一方、シリコンなら1回で済みます。足場代だけで15〜25万円かかることを考えれば、塗り替え回数が少ないほうがトータルでは安上がりです。
| 塗料の種類 | 1㎡あたりの単価(3回塗り) | 耐用年数の目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| アクリル | 1,000〜1,500円 | 3〜8年 | 安価だが短命。頻繁な塗り替えが必要 |
| ウレタン | 1,500〜2,500円 | 5〜10年 | 密着性が良い。付帯部に使われることが多い |
| シリコン | 2,000〜3,500円 | 7〜15年 | 費用対効果に優れる。現在の主流 |
| フッ素 | 3,000〜5,000円 | 12〜20年 | 高耐久。商業ビルにも使われる |
| 無機 | 3,500〜5,500円 | 15〜25年 | 最高グレード。塗り替え頻度を最小にしたい方向け |
個人的に勧めたいのは、シリコン塗料かラジカル制御型塗料。ラジカル制御型はシリコンとフッ素の中間に位置する塗料で、シリコンに近い価格帯ながら耐用年数が10〜16年ほどあります。コストと耐久性のバランスがもっとも取れていると感じます。
とはいえ、万人に正解の塗料はありません。築年数、外壁材の種類、今後の暮らし方――10年後に売却するのか長く住むのかで、ベストな選択は変わります。業者にこの塗料を提案する理由を聞いてみて、きちんと根拠を説明できるかどうか。それ自体が信頼性の判断材料になります。
2025年以降、外壁塗装の費用が上がっている背景
「5年前に近所の人がやったときは70万円だったのに、うちの見積もりは100万円を超えている。ぼったくりじゃないのか」
こういう相談を受けることがあります。気持ちはわかりますが、残念ながら値上がりには明確な理由があります。
人件費の上昇が止まらない
国土交通省が毎年公表している公共工事設計労務単価は、2025年(令和7年)時点で全国全職種平均が日額24,852円。13年連続の上昇で、過去最高水準を更新し続けています(出典:国土交通省「令和7年3月から適用する公共工事設計労務単価について」)。
塗装工の人件費も同じで、東京をはじめとする都市部では単価の上昇が顕著です。建設業全体で人手不足が深刻化していて、職人を確保するには日当を上げざるを得ない。そんな状況がずっと続いています。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査でも、建設業の賃金は他産業より低い水準にあると指摘されていて、担い手確保のための賃金引き上げは業界全体の課題になっています(参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)。
塗料・資材の価格高騰
塗料の原料となる石油化学製品の値上がりや、円安による輸入コストの増加も費用に直結しています。5年前と比べると、塗料1缶あたりの仕入れ価格が10〜20%上がっているケースも珍しくありません。
つまり、昔より高いからといって、それがそのまま「ぼったくり」を意味するわけではない。業界全体のコスト構造が変わっています。だからこそ、適正価格を見極めるために複数社の見積もりを比較することが、以前にも増して大切です。
外壁塗装の費用を抑える4つの方法
費用が上がっている中でも、工夫次第で出費を抑える手段はあります。現場を見てきた経験から、効果が大きい順に並べます。
方法①:相見積もりは必ず取る
もっとも確実な方法です。最低3社、できれば4〜5社から見積もりを取ってください。
私が現場で見てきた限り、同じ工事内容でも業者によって20〜50万円の差が出るのは日常茶飯事です。高すぎる業者を避けるのはもちろんですが、安すぎる業者にも警戒が必要です。安さの裏に、手抜き工事が隠れていることがあります。2回塗りで済ませる、下地処理を省く、といった具合に。
見積もり比較サービスを使えば、地域の業者をまとめて比較できるので手間が省けます。
方法②:自治体の助成金・補助金を使う
外壁塗装に助成金を出している自治体は全国にかなりあります。金額は自治体によりますが、10万〜25万円程度の支給が一般的です。
ただ、受給にはいくつか条件があります。
助成金を受けるための主な条件
- 着工前に申請すること(工事が始まってからでは申請できない)
- 遮熱塗料や断熱塗料など、省エネ効果のある塗料を使うこと(自治体による)
- 市区町村内に住所があり、本人が居住していること
- 税金の滞納がないこと
- 市内の施工業者に依頼すること(自治体による)
国の制度としても、住宅省エネキャンペーンによる補助金が使える場合があります。外壁の断熱塗装が対象になるケースもあるので、あわせて確認しておくといいでしょう(参考:住宅省エネ2025キャンペーン公式サイト)。
助成金は先着順や予算上限ありのことが多いため、早めの確認が肝心です。お住まいの自治体の窓口か公式サイトで最新情報をチェックしてください。「○○市 外壁塗装 助成金」で検索すれば該当ページが出てくるはずです。
方法③:外壁と屋根はセットで塗る
足場の設置に15万〜25万円かかります。外壁と屋根を別々に塗ると足場を2回組むことになり、そのぶん余計な出費が発生します。どうせ足場を組むなら屋根もまとめてやる。それだけで足場1回分の費用が浮きます。
方法④:塗料のグレードを見直す
フッ素塗料や無機塗料を提案された場合、本当にそのグレードが必要かどうか、立ち止まって考えてみてください。10年後に建て替え予定だったり、子供が独立したら売却するつもりだったりする方が、25年持つ無機塗料を選ぶのは明らかに過剰です。シリコンやラジカル制御型に変えるだけで、30坪の住宅なら15万円ほど費用を抑えられます。
こんな業者には気をつけろ|施工管理者が見た危ないパターン
施工管理の仕事を通じて実際に見てきた、避けるべき業者のパターンをいくつか共有します。
「今日契約すれば半額にします」
典型的な悪質営業です。もとの見積もりを高く設定しておいて、半額に見せかけているだけ。冷静に考えて、まともな工事を半額でやれる業者はいません。焦らせて契約を取ろうとする業者からは、すぐに離れてください。
見積書が「一式」だらけ
「外壁塗装一式 ○○万円」としか書いていない見積書は、後からトラブルになりやすい。付帯部の塗装が含まれていなかった、コーキング補修は別料金だった――そう言って追加請求されるケースを何度も見てきました。面積、塗料名、塗り回数、単価。これらがきちんと明記されているのがまともな見積書です。
訪問営業で「今すぐ塗らないと危険」と煽ってくる
突然やって来て「外壁にひびが入っています、すぐ塗装しないと雨漏りしますよ」と急かす業者。外壁のひび割れを放置してはいけないのは事実ですが、翌日に雨漏りするような緊急事態はまずありません。他の業者にも見てもらって、本当に急ぐ必要があるのか確認してからでも遅くないです。
まとめ:外壁塗装で損しないためにやるべきこと
外壁塗装は30〜40坪の住宅で80万〜140万円が相場。安くはない工事ですが、放っておくと外壁の劣化が進み、結果的にもっと大きな修繕費がかかります。
この記事で伝えたかったことは3つです。
まず、相見積もりを取ること。最低3社に依頼して、金額だけでなく内訳を比べてください。足場代・洗浄・下地処理・塗料・付帯部・養生・諸経費の7項目が明記されていれば、まともな業者だと判断できます。
次に、塗料選びは長期目線で。目先の安さではなく、10〜20年スパンのトータルコストで考えるのが賢い選び方です。迷ったらシリコンかラジカル制御型にしておけば、コストと耐久性のバランスが取れます。
そして、助成金を忘れずに調べること。お住まいの自治体によっては10万〜25万円の助成金が出ます。着工前に申請が必要なので、見積もりを取る段階で調べておいてください。
外壁塗装は一度やれば10年以上もつ工事です。焦って決めず、納得できる業者に任せてください。
※この記事の情報は2025年時点の相場・制度に基づいています。助成金制度は年度や予算状況により変更・終了する場合がありますので、必ずお住まいの自治体の公式サイトで最新情報をご確認ください。
※本記事は施工管理者としての実務経験に基づく情報提供を目的としています。個別の工事判断については、建築士や施工業者など専門家にご相談ください。






