建設業こそGoogleドライブ!写真・資料・図面の共有を劇的にラクにする方法

この記事を書いた人

建築施工管理技士/宅地建物取引士/Webエンジニア
・2級建築施工管理技士(取得年:2024年)
・宅地建物取引士(取得年:2020年)
・改修工事施工管理歴:6年(2018年〜現在)
・商業施設改修・修繕200件、マンション大規模修繕15棟
・不動産業務経験:買取再販・売買仲介 3年
・Mac活用13年

Googleドライブを活用する施工管理者のイラスト
この記事でわかること
• 施工管理者の社内・現場内でのGoogleドライブ効率活用法
• 無料15GBを最大限活用する容量管理テクニック
• 120万円の高額システムより実用的な情報共有方法
• フォルダ整理ルールで全員がアクセス可能な環境構築
• 実際の現場で効果を実感した導入事例と運用方法

改修工事の施工管理を5年間担当してきた私が、最も効果を実感したツールがGoogleドライブです。高額な施工管理システムの導入に失敗した経験から学んだ、現実的で継続可能な情報管理手法をお伝えします。

建設業界では「情報共有が複雑」「システム導入が高額」「操作が難しくて定着しない」という課題が常につきまといます。実際に私の会社でも、月数回の打ち合わせを重ね、全社説明会まで開催して120万円の施工管理システムを導入しましたが、結果的に1年で使用停止となった苦い経験があります。

なぜ高額システムは失敗し、Googleドライブが成功するのか

120万円システム導入の失敗体験

私が以前所属していた会社では、導入担当者として、数社の施工管理システム会社と打ち合わせを重ねました。どのシステムも確かに高機能で、カスタマイズによって会社の業務に合わせた仕様にすることができます。実際に1つのサービスを選定し導入を進めましたが、以下のような問題がありました:

高額システム導入で発生した問題点
• 月数回の打ち合わせで業務時間を大幅に消費
• 全社員への説明会実施で現場作業に支障
• 不明点や不具合の問い合わせ対応が私に集中
• 機能が豊富すぎて、結局誰も使いこなせない
• 年間120万円のランニングコストが会社を圧迫

私は打ち合わせ担当として操作を理解していましたが、他の社員は全く使いこなせませんでした。特に現場の職人さんや年配の社員にとって、複雑な機能は逆に業務の障害となってしまったのです。

Googleドライブが選ばれる理由

一方で、Googleドライブの強みは「シンプルさ」と「直感的な操作性」です。フォルダを整理して使用するルールを定めるだけで、整理された情報に全員がアクセス可能になります。

ぱんたロイド
高機能なシステムより、みんなが使えるシンプルなツールの方が結果的に効率的なんだよね。

施工管理者の社内・現場内での効果的活用法

基本的な運用方針

Googleドライブの活用は、下請けや元請けとの大規模な連携ではなく、まず施工管理者の会社内や一つの現場に限定して始めることをお勧めします。これにより、運用ルールの統一と効果の検証が容易になります。

私が実際に効果を確認した運用方法は以下の通りです:

効果的な運用スコープ
• 自社の施工管理チーム内での情報共有
• 単一現場でのプロジェクト管理
• 現場監督と事務所スタッフ間の連携
• 同一現場で作業する協力会社との限定的共有

実際の成功事例:社外パートナーとの共同現場

私の会社では通常Microsoft OneDriveを使用していますが、ある現場で数ヶ月間、社外の協力会社と共同で作業する必要がありました。相手の会社はIT関係が遅れており、クラウドサービスを使ったことがない状況でした。

横のデスクに座っていても、ファイル共有のたびにメールやUSBメモリを頼まれる状況が続いていたため、両社の許可を取ってその現場専用のGoogleアカウントを作成し、Googleドライブを導入しました。

導入前 導入後 改善効果
メール添付での図面共有 リアルタイム共有/最新図面で同時に管理 伝達ミス50%削減
USBでの写真受け渡し 撮影と同時にアップロード 作業時間85%短縮
電話での進捗確認 共有フォルダで状況把握 連絡回数60%削減

PC、スマートフォン、タブレットすべてに設定を行い、現場内の情報共有を全てドライブ内で管理した結果、業務効率化により残業が大幅に減り、現場の品質管理や工程管理により多くの時間を割くことができるようになりました。

その現場はその社外パートナーの会社でモデル現場となりました。現場完了後に何度か呼ばれ、設定の仕方をレクチャーし、以後はGoogleドライブを導入・活用するようになりました。

無料15GBを最大活用する容量管理術

容量制限への対策

Googleドライブの無料版は15GBという容量制限があるため、施工写真を保存する場合は戦略的な運用が必要です。私が経験した小規模会社での実践的な対策をご紹介します。

容量管理のポイント
☑ 必要な写真のみを選定してアップロード
☑ 高画質撮影後に圧縮してから保存
☑ 月次での不要ファイル整理を実施
☑ 工事完了後は別アカウントへ移行
☑ 複数の無料アカウントを効果的に活用

複数アカウント活用戦略

私の会社では規模が小さかったため、以下のような複数アカウント戦略を採用していました:

メインアカウント(無料): 進行中のプロジェクト専用
サブアカウント1(無料): 発注見込み案件のフォルダ
サブアカウント2(無料): 過去6ヶ月〜1年以内の完了案件
バックアップアカウント(有料・100GB): 全案件の最終保管場所

案件が完了したら、バックアップ用の有料アカウントのドライブに移行し、完了した案件も後から参照できるようにしていました。この方法により、月額250円の有料アカウント1つで、実質的に無制限の容量を確保できました。

会社規模に応じたアカウント選択

ビジネスアカウント検討のタイミング

会社規模や運用方法によっては、Google Workspace(旧G Suite)のビジネスアカウントでの使用を検討する必要があります。

しかし、Google Workspaceを導入すると機能が大幅に増えるため、逆に上手く活用できなくなることが考えられます。最初は個人アカウントで小さく利用しつつ、Google Workspaceでできることも調べたりしながら、必要に応じて切り替えるなどの対応が良いと思われます。

会社規模 推奨プラン 月額費用 主要メリット
1-5名 個人無料 + 有料1つ 250円 コスト最小、柔軟な運用
6-15名 Business Starter 680円/ユーザー 統一管理、セキュリティ強化
16名以上 Business Standard 1,360円/ユーザー 高度な管理機能、大容量

Android端末活用のメリット

会社用のスマートフォンがAndroidの場合、必ずGoogleアカウントが必要になるため、そのアカウントを業務でも活用するのは非常に効率的です。

Android端末での追加活用法
• 既存のGoogleアカウントでドライブ利用
• Googleカレンダーで社内スケジュール管理
• Googleフォトで現場写真の自動バックアップ
• Gmail連携での資料共有

私の会社では、このAndroid端末のGoogleアカウントを使用して、社内メンバーのスケジュール管理にGoogleカレンダーも併用しています。現場の予定、会議、締切などを全員で共有することで、プロジェクト管理の精度が大幅に向上しました。

どのサービスもそうですが、導入時や社内ルール設定時は、どうしても時間がかかります。Googleカレンダーひとつ設定するにも、各社員のGoogleアカウントの情報を集めて全てのカレンダーを連携させて、、、という手間は発生します。一気にやろうとせず、一人ずつ時間をとってレクチャーしていくのが良さそうです。

実践的なフォルダ構成とルール設定

標準フォルダ構成

効果的な情報管理のためには、統一されたフォルダ構成が重要です。私が複数の現場で検証した最適な構成をご紹介します:

【プロジェクト名_YYYY】/
├── 01_進行管理/
│ ├── 工程表/
│ ├── 打ち合わせ議事録/
│ └── 変更指示書/
├── 02_現場写真/
│ ├── 着工前/
│ ├── 躯体工事/
│ ├── 仕上げ工事/
│ └── 完成/
├── 03_図面資料/
│ ├── 承認図・最新図面/
│ ├── 旧版図面/
│ └── 施工説明資料/
│ └── カタログ・SDS/
└── 04_検査・完了/
  ├── 中間検査/
  ├── 完了検査/
  └── 引渡し資料/

運用ルールの確立

絶対に守るべきルール
• ファイル名には必ず日付を含める(YYYYMMDD_内容)
• 該当するフォルダがない場合でも、ファイルをそのまま入れず、フォルダを作成して入れる
• 週1回の不要ファイル整理を実施
• 現場完了後は1ヶ月以内にアーカイブ移行

導入時の注意点と対策

段階的導入のステップ

いきなりすべての業務をGoogleドライブに移行するのではなく、段階的なアプローチが成功の鍵です。

ステップ1(1週間): 見積もりの共有のみ開始
ステップ2(2週間): 図面・資料の追加
ステップ3(3週間): 進行管理書類の統合
ステップ4(4週間): 全業務での本格運用

よくある失敗パターンと対策

現場あるある
「容量が足りない」「ファイルが見つからない」って問題は、最初にルールを決めてしまえば簡単に解決できるよ。
よくある問題 原因 解決策
容量不足 写真の無差別アップロード 選別ルールと定期整理
ファイルが見つからない 命名規則の未統一 標準的な命名ルール策定
社員が使いこなせない 一気に導入しようとして慣れてるやり方を変えてしまう 時間をかけて徐々に移行
重複ファイル バージョン管理の不備 更新ルールの明文化

費用対効果の実証データ

コスト比較:高額システム vs Googleドライブ

項目 高額システム Googleドライブ 差額
初期費用 300,000円 0円 ▲300,000円
月額利用料 100,000円 250円* ▲99,750円
導入作業時間 200時間 20時間 ▲180時間
年間総費用 1,500,000円 3,000円 ▲1,497,000円

*小規模会社での複数アカウント運用時

作業効率化の定量評価

私の現場での実測データに基づく効率化効果:

情報検索時間: 平均12分 → 2分(83%短縮)
現場写真整理: 週3時間 → 30分(83%短縮)
資料共有作業: 日20分 → 3分(85%短縮)
進捗確認: 日15分 → 5分(67%短縮)

これらの時間短縮により、施工管理者1名あたり月約25時間の余裕が生まれ、現場の品質管理や安全管理により集中できるようになりました。

まとめ:現実的で継続可能な情報管理の実現

120万円の高額システム導入に失敗した経験から学んだ最も重要な教訓は、「高機能より使いやすさ」「複雑より単純」「高額より継続可能」ということです。

Googleドライブは決して万能ではありませんが、建設業界の現実的な課題に対して、最もコストパフォーマンスの高い解決策を提供してくれます。特に中小規模の建設会社にとって、年間150万円近いコスト削減と大幅な業務効率化を同時に実現できる点は、経営上も非常に大きなメリットです。

プロフィール用
まずは一つの現場から始めてみて。成功体験を積み重ねることで、会社全体のIT化につながっていくよ。

今回ご紹介した手法は、私が実際の現場経験で検証し、効果を確認した方法です。明日からでも始められる内容ばかりですので、ぜひあなたの現場でも試してみてください。

建設業界のDX化は、高額なシステム導入からではなく、私たち現場で働く一人ひとりの小さな改善から始まるのです。


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執筆者・監修者
🏢 2級建築施工管理技士(2024年取得)
🏢 改修工事施工管理(5年以上の実務経験)
🏢 担当実績:マンション大規模修繕15棟、商業施設20棟
📋 宅地建物取引士(2021年取得)
💻 Webサイト制作・運用(8年以上)
東京都内でマンションや商業施設の改修工事の施工管理を担当。現場での豊富な経験を活かし、施工業者の選び方や修繕計画の読み解き方など、一般の方にもわかりやすく解説。宅建士としての不動産知識と現場経験を組み合わせた実践的な情報を発信中。

※本記事の一部画像はAIによる自動生成(ChatGPT・DALL·E)を使用しています。著作権上問題のない範囲で掲載しています。 この記事の情報は一般的な指針です。具体的な判断については必ず専門家(建築士・宅地建物取引士等)にご相談ください。当サイトは記事内容による損害について責任を負いかねます。