建設業で差がつく資料作成術—デザインの4原則で説明が楽になる理由

この記事を書いた人

建築施工管理技士/宅地建物取引士/Webエンジニア
・2級建築施工管理技士(取得年:2024年)
・宅地建物取引士(取得年:2020年)
・改修工事施工管理歴:6年(2018年〜現在)
・商業施設改修・修繕200件、マンション大規模修繕15棟
・不動産業務経験:買取再販・売買仲介 3年
・Mac活用13年

建設業で差がつく資料作成術—デザインの4原則で説明が10倍楽になる理由

この記事でわかること

  • 建設業界で資料作成スキルが重宝される理由
  • デザインの4原則(近接・整列・反復・強弱)の具体的な使い方
  • 施工計画書や報告書に活かせる実践テクニック
  • お客様から「わかりやすい」と言われる資料の作り方

建設業界に入って6年目になりました。

ちょっと人よりPCスキルがある、程度のつもりで入ったこの業界ですが、正直思ったよりできない人が多いんだな、という印象を受けます。

その中でも際立ってできないことが、見やすい資料の作成。

エクセルやパワーポイントで写真を貼り付けて、テキトーな色で塗りつぶして矢印や吹き出しをつけるだけの資料が圧倒的に多いのが現状です。

色の使い方、線の引き方、文字サイズや文字を入れる位置など。
ホンのちょっとのデザイン知識を取り入れるだけで、
ただの「素人が作った資料」が
『ちょっとプロが作った資料』に生まれ変わる。

この記事に辿り着いた方にも、ぜひそんな体験をしてもらえれば幸いです。


なぜ施工管理でデザインスキルが求められるのか

施工管理の仕事の中には、お客様や元請業者、下請業者、近隣住民などへ、資料を作成して説明をするという業務が必ずあります。

施工計画、事故報告、完了報告、竣工図書や調査報告書など。

特に改修工事や大規模修繕工事では、居住者や利用者への説明会が必須です。
騒音や振動、工事期間など、不安を抱えているお客様に対して、わかりやすい資料を用意できるかどうかで、クレームの発生率が大きく変わってくると感じます。

実際に私が昨年担当した小さなマンションの大規模修繕工事では、
説明資料の細かい文字を可能な限り削り、写真に大見出しと数行の説明文だけの『強弱』をつけた資料を作成し、
住民さんに「わかりやすい」と大好評だったことがあります。

私の感覚では、図面や写真だけでなく、わかりやすい説明資料を求められる場面が確実に増えています。

デザインスキルがないと起こる問題

  • お客様に工事内容が正確に伝わらず、誤解やクレームにつながる
  • 説明会で質問が多発し、時間がかかる(1回3時間→1.5時間に短縮できた経験あり)
  • 社内での情報伝達がスムーズにいかず、ミスが発生する
  • 競合他社との提案競争で見劣りし、受注を逃す

お客様への説明資料が勝負を分ける

施工管理で資料作成スキルが活きる場面は、想像以上にたくさんあります。

  • 施工計画書・安全管理計画書
  • 工事説明会資料
  • 竣工図書・報告書
  • 見積書・提案書
  • 名刺・パンフレット
  • 会社のホームページ
  • プレゼン資料

私の経験上ではありますが、驚くことに、これらの資料の質が高いだけで、お客様からの信頼度が大きく変わると感じてきました。

もちろん、伝えるべき情報の取捨選択や強調して話すことはとても大事ですが、
問題が発生してから「言った」「書いてある」というトラブルになる前に
「ちゃんと伝わっている」ということが、事故やトラブルを防ぐ大事なことであるということです。

あるマンションの大規模修繕工事では、理事長から「こんなにわかりやすい資料は初めて見た」と言われ、追加工事の依頼までいただいたこともありました。


デザインの4原則を知れば誰でも資料が上手くなる

デザインの4原則とは、「近接」「整列」「反復」「強弱」の4つです。

この原則は、もともとグラフィックデザインの世界で確立されたものですが、建設業の資料作成にもそのまま応用できます。
難しい専門知識は一切不要で、意識するだけで劇的に資料の質が上がります。

原則意味建設業での活用例
近接関連する情報をグループ化する工事項目ごとに内容をまとめる
整列要素を揃えて統一感を出す見出しや本文の開始位置、スペース、写真の大きさを揃える
反復デザイン要素を繰り返す項目ごとに同じ書き方、位置関係、フォントや色を使う
強弱重要度に差をつける重要なことは大きく短く、補足事項は小さくする

近接の原則—関連する情報をグループ化する

近接の原則とは、関連する情報を近くに配置し、関連しない情報を離して配置することです。

例えば、大規模修繕の工事説明会資料で「外壁塗装工事」を説明する場合、工事期間・工事内容・注意事項を1つのまとまりとして配置します。
次の「防水工事」は少し離して配置することで、視覚的に「別の項目だ」とわかります。

これだけで、お客様が資料を見たときに「どこからどこまでが外壁塗装の話か」が一目瞭然になります。

整列の原則—要素を揃えて統一感を出す

整列の原則は、テキストや画像の開始位置を揃えることで、資料全体に統一感を持たせる手法です。

よくある失敗例として、見出しは中央揃え、本文は左揃え、写真はバラバラ、というケースがあります。
これでは視線が定まらず、読みにくい資料になってしまいます。

私は基本的に、すべての要素を左揃えにし、必要に応じて中央揃えを使う程度にしています。

反復の原則—デザイン要素を繰り返す

反復の原則は、同じ色・フォント・スタイルを繰り返し使うことで、資料全体の一貫性を保つ手法です。

例えば「外壁塗装工事」と「防水工事」を説明する資料を作成する際、
【工事期間・工事内容・注意事項を1つのまとまり】を同じスタイルで記載することで、
『この期間はこんな工事をやっているんだ』と伝わりやすくなります。

別のメリットも発生します。
私の所属する会社では、オレンジ色(#ff9f1c)と黄色(#ffe066)をコーポレートカラーとしています。
すべての資料で見出しにこの色を使い、本文はグレー系、注意事項は赤系と決めています。
この反復により、「この資料は〇〇社のものだ」とすぐにわかるブランディング効果が生まれるのです。

強弱の原則—重要度に差をつける

強弱の原則は、情報の重要度に応じて、文字の大きさ・太さ・色を変えることです。
建設業の資料では、特に注意事項や工事期間など、お客様に必ず伝えたい情報を強調する際に役立ちます。

例えば、工事説明会資料で「騒音が発生する場所や時間帯」を伝える場合、
見出しはフォントサイズを大きく(本文の1.5〜2倍ほど)
時間帯は色をつけて目立たせる
などをすると良いです。

私が作成した工事説明会資料では、「特に注意していただきたいポイント」を赤枠で囲み、フォントサイズを1.5倍にしました。
説明会では、この部分について質問が集中したものの、事前にしっかり目立たせていたため、「資料に書いてありましたね」とスムーズに理解していただけました。

デザインの4原則を使った資料作成のポイント

  • 近接:工事項目ごとに枠で囲み、項目間に余白を取る
  • 整列:すべての要素を左揃えにし、統一感を出す
  • 反復:会社のコーポレートカラーを見出しに使う
  • 強弱:重要な情報は色・サイズ・太字で強調する

建設業で活きる具体的な場面

デザインの4原則は、建設業のあらゆる場面で活用できます。
私が実際に経験した事例をもとに、具体的な活用方法を紹介します。

施工計画書・報告書

施工計画書は、元請や発注者に提出する重要な書類です。内容が正確であることはもちろんですが、見やすさも評価されます。

ある商業施設の改修工事では、施工計画書を提出した際、発注者から「こんなに見やすい計画書は初めて見た」と言われました。
その後、追加工事の依頼が2件来たので、デザインスキルが直接的に売上につながったと実感しています。

竣工図書

竣工図書は、工事完了後にお客様に提出する最終的な書類です。写真や図面が多く、ページ数も100ページを超えることがあります。ここで反復と整列の原則が威力を発揮します。

私が作成した竣工図書では、すべての写真を左揃えにし、キャプションのフォントとサイズを統一しました。
また、各工事項目の見出しに同じ色(オレンジ色)を使い、一貫性を持たせました。
その結果、マンションの理事長から「保存版として大切にします」と言っていただけました。

お客様向けプレゼン資料

プレゼン資料は、提案競争で他社と差をつけるための重要なツールです。
私は強弱の原則を使い、提案のポイントを大きく強調し、詳細情報は小さく配置しています。

あるマンションの大規模修繕の提案では、「工期を2ヶ月短縮できる理由」を大きく見出しにし、具体的な工程表を下に配置しました。
プレゼンでは、この部分に質問が集中し、最終的に受注につながりました。
提案書のデザインが評価され、理事会で「一番わかりやすかった」と言っていただけたそうです。

名刺・パンフレット・HP

名刺やパンフレット、ホームページも、デザインの4原則が活きる場面です。私の会社では、名刺に会社のコーポレートカラーを使い、フォントを統一しています。また、ホームページも同じデザインルールに基づいて作成しているため、一貫したブランドイメージを保てています。


デザインスキルを身につけるメリット

デザインの4原則を身につけることで、単に資料が見やすくなるだけでなく、さまざまなメリットがあります。

まず、お客様への説明が格段に楽になります。

わかりやすい資料があれば、口頭での補足説明が減り、説明会の時間を短縮できます。
私の経験では、3時間かかっていた説明会が、デザインを改善した資料を使うことで1.5時間に短縮できました。

次に、社内での評価が上がります。

私の会社では、デザインスキルを持っている人が少ないため、資料作成を任されることが多く、結果的に重要なプロジェクトに関わる機会が増えました。
実は、簡単な資料作成費用として5〜10万円をお客様からいただいて作成することもあり、会社の売上にも貢献しています。

さらに、競合他社との差別化にもつながります。建設業界では、まだまだデザインスキルを持っている人が少ないため、見やすい資料を作れるだけで「この会社はしっかりしている」という印象を与えられます。

ぱんたロイド
デザインスキルがあるだけで、お客様からの信頼度が上がるし、社内でも重宝されるんだよね。

デザインを学ぶためのおすすめ書籍

デザインの4原則をもっと深く学びたい方には、以下の2冊をおすすめします。どちらも初心者でも読みやすく、実務にすぐ活かせる内容です。

ノンデザイナーズ・デザインブック

デザインの4原則(近接・整列・反復・強弱)を体系的に学べる名著です。

建設業に限らず、あらゆる業界で使える普遍的な原則が学べます。

「ノンデザイナーズ」というだけあって、デザイナーじゃなくてもデザインがわかるようになる本です。


なるほどデザイン

ビジュアルで直感的にデザインの考え方を学べる本です。

文章よりも図解が多く、建設業の資料作成にも応用しやすい内容です。



まとめ

建設業界では、まだまだデザインスキルを持っている人が少ないのが現状です。

でも、だからこそ、デザインの4原則(近接・整列・反復・強弱)を意識するだけで、大きな差をつけることができます。

お客様への説明資料、施工計画書、竣工図書、プレゼン資料など、建設業で活用できる場面は無数にあります。
私自身、この4原則を知ってから、お客様からの評価が上がり、社内での信頼も得られるようになりました。
資料作成費用をいただけるほどのスキルにもなっています。

デザインは難しいものではありません。

たった4つの原則を意識するだけで、誰でも見やすい資料を作れるようになります。
ぜひ、明日からの資料作成に取り入れてみてください。

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