改修工事の現場で使われる用語50選──初心者が最初につまずく言葉と意味を現場目線で解説

この記事を書いた人

建築施工管理技士/宅地建物取引士/Webエンジニア
・2級建築施工管理技士(取得年:2024年)
・宅地建物取引士(取得年:2020年)
・改修工事施工管理歴:6年(2018年〜現在)
・商業施設改修・修繕200件、マンション大規模修繕15棟
・不動産業務経験:買取再販・売買仲介 3年
・Mac活用13年

改修工事で使用する用語の解説イラスト
この記事でわかること
  • 改修工事で実際に使われる現場用語を50個厳選
  • 工程別・職種別に分類して解説
  • 新人がつまずきやすい言葉の意味と背景が理解できる

はじめに:改修工事の現場では「用語の壁」が最大の障害になる

建設業における「用語」は、言葉以上の意味を持っています。特に改修工事の現場では、新築工事とは異なる専門用語が飛び交います。

「タラップ」「ケレン」「シール打ち」など、一見すると日常の日本語とは思えない単語も多く、初心者は会話にすら入れないこともしばしば。

ぱんたロイド
「ケレンしといて!」って言われて、最初マジで“誰?”って思ったのは僕だけじゃないはず…

今回は、現役の改修工事の施工管理者としての視点から、「実際に現場で使われる」用語を厳選。工程別に分類しながら、実際にどういう場面で使われるのか、どこで間違いやすいのかまで含めて、現場目線で解説します。

1. 改修工事の工程別|用語一覧表

まずは、代表的な工程ごとに出てくる用語をまとめた表です。現場での流れを思い浮かべながら読んでみてください。

工程 よく使う用語 概要
仮設・足場 足場・養生シート・朝顔・タラップ 作業者や資材の安全・動線確保のために組み立てる設備
解体・撤去 斫り(はつり)・ガラ出し・ハンドブレーカー 既存のタイルやモルタル、設備等を撤去・処分する工程
下地補修 クラック・ジャンカ・欠損補修・ランデ処理 仕上げ前の下地を整える。仕上がりの質に直結する重要工程
防水工事 トーチ工法・塩ビシート・絶縁工法・脱気筒 雨漏り防止のための屋上・ベランダ等の防水施工
シーリング シール打ち・プライマー・バックアップ材・仕上げ処理 サッシや外壁の目地部分をシーリング材で充填し水密性確保
塗装工事 ケレン・目荒らし・下塗り・中塗り・上塗り 美観+保護のための仕上げ塗装。密着と耐久性に影響大

2. 用語50選【仮設・解体編】

◆ 仮設・足場関係の用語

  • 足場:作業員が移動・作業するために仮設される構造物
  • 朝顔:落下防止用の水平防護構造。ビルの高層現場で必須
  • タラップ:仮設階段・梯子。足場間の移動に使用
  • 養生シート:飛散防止・目隠し用に足場外側に設置されるメッシュシート

◆ 解体・撤去系の用語

  • 斫り(はつり):既存のモルタルやタイル、コンクリートを削り取る作業
  • ハンドブレーカー:斫りに使う電動工具。通称“ブレーカー”
  • ガラ出し:撤去した廃材を集めて搬出する作業
  • 養生:既存部分を保護する措置。テープ・シート・パネルなど多様

3. 用語50選【下地・補修編】

◆ 下地補修系の用語

  • クラック:ひび割れ。ヘアークラック/構造クラックに分類
  • ジャンカ:コンクリート打設時の空隙・スカスカ状態
  • 欠損補修:コンクリート表面の穴・欠けをモルタルなどで補う作業
  • ランデ処理:段差を平滑にする処理。塗膜やシートの密着性に重要

◆ よくある注意点

  • “ジャンカ”は目視で判断しにくいことも。試験ハンマー等も活用
  • クラック補修はUカット・Vカットなど、形状選定に注意が必要
  • 補修跡が膨らむと「美観不良」として是正対象になりやすい
ぱんたロイド
補修した場所が翌日「ボッコリ膨らんでた」ことも…養生と硬化タイミング、大事です!

4. 用語50選【シーリング・防水編】

◆ シーリング工事の用語

  • シール打ち:目地や隙間にシーリング材を充填する作業
  • プライマー:下地とシーリング材の接着をよくする下塗り剤
  • バックアップ材:目地底に入れる発泡材。適正な深さを保つ
  • ヘラ押さえ:充填後、表面をヘラでならす仕上げ工程

◆ 防水工事の用語

  • トーチ工法:バーナーで加熱しながらアスファルトシートを溶着
  • 塩ビシート:塩化ビニル製の防水シート。機械固定工法などで使われる
  • 脱気筒:下地に残った水分や空気を逃す装置。膨れ防止に重要
  • 端末処理:シートの立ち上がり部分や見切り部の処理

5. 用語50選【塗装・仕上げ編】

◆ 塗装工事の基本用語

  • ケレン:サビ・汚れを除去する下地処理。1種~4種までランクあり
  • 目荒らし:表面にあえて傷をつけ、塗膜との密着を良くする工程
  • 下塗り:下地と上塗り塗料の密着性を高める塗装
  • 中塗り/上塗り:仕上げ塗装の重ね塗り工程。耐久性に直結

◆ 特殊塗装・現場用語

  • 吹付け塗装:スプレーガンで塗料を霧状にして塗布する方法
  • スタッコ:厚塗り模様の塗装仕上げ。凹凸あるデザイン
  • ローラー仕上げ:平滑面や細部に使う一般的な塗装手法
  • タッチアップ:補修塗り。塗り残しや傷部分をスポット補修

塗装工事は“見た目”だけでなく、密着・防水・劣化防止と多くの機能を持ちます。だからこそ、下地処理と材料選定は超重要です。

6. よくある誤解・間違いランキングTOP5

間違えやすい用語 誤解されがちな意味 正しい理解
ケレン ただの掃除・拭き取り サビや旧塗膜を削って除去する下地処理
打設 コンクリを「打ち込む」 実際は「流し込む」作業。振動棒で締固めもセット
養生 濡らして湿らせること? 既存部を守るためのカバー・保護処置
墨出し 設計図を書く作業? 現場に実寸のラインを引く作業
ジャンカ 見た目が悪いだけ 強度不良になる重大な打設不良
ぱんたロイド
覚えるときは「言葉+作業場所+目的」の3点セットで!何のための作業かを理解して使うと、現場で一目置かれますよ。

7. まとめ:用語を覚えることで“現場の信頼”が生まれる

改修工事は「段取り8割」と言われます。その中で最も重要なのが、現場で使われる共通言語──つまり“用語の理解”です。

新人でも、用語をしっかり把握しているだけで、職人や他業種のスタッフからの信頼度が大きく変わります。

「意味がわかる」「指示が通る」「作業の意図がつかめる」。この記事が、その第一歩になれば嬉しいです。

PDF化や印刷してポケットに忍ばせておくのもおすすめ。現場で言葉につまずかないことで、対応スピードと自信がグンと上がります。


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tasukunmt
執筆者・監修者
🏢 2級建築施工管理技士(2024年取得)
🏢 改修工事施工管理(5年以上の実務経験)
🏢 担当実績:マンション大規模修繕15棟、商業施設20棟
📋 宅地建物取引士(2021年取得)
💻 Webサイト制作・運用(8年以上)
東京都内でマンションや商業施設の改修工事の施工管理を担当。現場での豊富な経験を活かし、施工業者の選び方や修繕計画の読み解き方など、一般の方にもわかりやすく解説。宅建士としての不動産知識と現場経験を組み合わせた実践的な情報を発信中。

※本記事の一部画像はAIによる自動生成(ChatGPT・DALL·E)を使用しています。著作権上問題のない範囲で掲載しています。 この記事の情報は一般的な指針です。具体的な判断については必ず専門家(建築士・宅地建物取引士等)にご相談ください。当サイトは記事内容による損害について責任を負いかねます。