無料点検での騙しに注意!点検商法の手取りとその見抜き方

この記事を書いた人

建築施工管理技士/宅地建物取引士/Webエンジニア
・2級建築施工管理技士(取得年:2024年)
・宅地建物取引士(取得年:2020年)
・改修工事施工管理歴:6年(2018年〜現在)
・商業施設改修・修繕200件、マンション大規模修繕15棟
・不動産業務経験:買取再販・売買仲介 3年
・Mac活用13年

点検商法のイラスト

玄関先で3時間、帰ってもらえなかった話

これは私が施工管理の仕事を始めて2年目の春のこと。
お客様から「工事の相談がある」と連絡をもらって、訪問しました。

話を聞くと、前日に「近所で工事をしている」という業者が訪ねてきたそうです。
「無料で床下の点検をしますよ」と言われて、断りきれずに点検を許可してしまった。
床下から上がってきた業者は、真剣な表情でこう言ったそうです。

「シロアリの被害がひどい。このままだと家が倒壊する可能性があります」
スマホで撮影した床下の写真を見せられて、確かに何かおかしな箇所が写っていました。
「今日中に契約してもらえれば、特別価格で対応します」

その業者は玄関先に居座り、なかなか帰ろうとしなかった。
提示された見積もりは80万円。
「家族と相談したい」と言っても、「今日を逃すとこの価格では無理です」と押し切られそうになった。

結局、3時間も玄関先で説明を聞かされて、疲れ果てたお客様は契約書にサインをしてしまったんです。
でも、その夜になって「本当に大丈夫だろうか」と不安になって、私に連絡をくれました。

翌日、私が床下を確認しに行くと、シロアリの被害なんてほとんどありませんでした。
業者が撮影した写真の箇所も、確かに少し湿気がある程度。
80万円の工事なんて、全く必要ない状態でした。

幸い、契約から8日以内だったので、クーリングオフの手続きを支援しました。
お客様は「こんなに簡単に騙されるなんて」と、本当にショックを受けていました。
私も、悪質業者の手口の巧妙さに改めて驚かされました。

点検商法は、思っているよりもずっと身近にあります。
国民生活センターの調査によると、点検商法による被害相談件数は年間約19,000件。

この記事では、実際にあったトラブル例とともに、点検商法の手口・見抜き方・被害防止策を、改修工事施工管理6年の実務経験からお話しします。

この記事でわかること
  • 点検商法の具体的な手口と悪質業者の見抜き方
  • 実際の被害事例と適正価格との比較データ
  • 被害に遭った場合の具体的な対処法とクーリングオフ手順
  • 信頼できる業者選びの実践的なチェックポイント
  • 最新の手口と効果的な防御策

典型的な点検商法の流れとは?4つのステップを解説

点検商法のイラスト

点検商法では、巧妙なステップで契約まで進められます。
私が現場で見てきた事例をもとに、その流れをお話しします。

まず最初は、接触と信頼関係の構築です。
「近所で工事をしていて」「地域の点検をしている」といった口実で訪問してきます。
大手企業や自治体の関連をほのめかす場合もあって、警戒心を解くのが上手なんです。

「無料」「キャンペーン」という言葉を強調してくるのも特徴。
私が知っている事例では、「今月は地域の防災キャンペーン月間で」と言って訪問してきた業者がいました。
自治体の名前を出されると、つい信用してしまいがちです。

次のステップは、点検実施と問題の「発見」。
床下や屋根裏など、見えない場所に案内されます。
わざと問題箇所を作り出すケースもあるんです。
スマホで撮影して「証拠写真」として提示されると、素人には判断が難しい。

私が対応したあるお宅では、業者が床下に潜った後、「シロアリの食害が激しい」と言って木材の写真を見せてきました。
でも、私が確認したら、その木材は築年数相応の劣化程度。
シロアリの食害なんて、ほとんどありませんでした。

三つ目のステップは、不安の醸成と緊急性の演出です。
「今すぐ直さないと家が倒壊する」など、極端な表現を使ってきます。
「近隣にも被害が及ぶ可能性」と責任感を刺激するのも常套手段。
「今日限りの特別価格」で即決を迫ってきます。

実際、本当に緊急性のある工事なんて、そんなに多くありません。
私が6年間で見てきた中で、「今日中に工事しないと危険」なんてケースは、ほぼゼロです。
でも、専門用語を使って強く言われると、不安になってしまうんですよね。

最後のステップは、契約締結と支払い誘導。
長時間の説明で判断力を鈍らせてきます。
家族への相談を妨げようとするのも特徴です。
高額なクレジット契約やリフォームローンを利用させようとします。

特に高齢者や一人暮らしの家庭が狙われる傾向があります。
「親切そうな人だった」という印象操作も、本当によくある手口なんです。

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点検商法って、思ってるよりも身近にあるんです。誰でも一度は狙われる可能性アリ!

この特徴があれば要注意!悪質業者チェックリスト

施工管理として多くの業者と接してきた経験から、悪質業者を見抜くポイントをお話しします。

まず、営業手法で怪しいのは、飛び込み訪問で「無料点検」を提案してくること。
「今日限り」「近所で工事中」などの理由で即決を迫ってくるのも危険信号です。
不安を煽る極端な表現を多用するのも、悪質業者の特徴。
「家が倒壊する」なんて言葉を簡単に使ってきます。

家族への相談を妨げようとするのも、絶対に怪しい。
「ご家族に相談されると、せっかくの特別価格が適用できなくなります」なんて言ってくる業者もいます。
長時間居座って帰ろうとしないのも、典型的な手口です。

点検時の写真や報告書が提示されないのも要注意。
まともな業者なら、必ず詳細な報告書を作成します。
見積書に「一式」としか書かれていないのも、ボッタクリのサイン。
何が「一式」なのか、全く分かりませんよね。

会社や業者の情報面でも、チェックポイントがあります。
会社の所在地や施工実績が不明瞭な業者は避けるべきです。
ホームページや会社情報が確認できないのも危険。
建設業許可や資格の提示がない業者とは、絶対に契約してはいけません。

検索しても会社の詳細情報が出てこない場合も要注意。
大手企業と似た社名を使用している業者もいます。
「〇〇ホーム」とか「〇〇建設」とか、大手っぽい名前をつけているんです。

私が知っている事例では、「〇〇住宅サービス」という名前で、大手ハウスメーカーの関連会社のように見せかけていた業者がいました。
でも、実際は全く関係のない、設立1年の小さな会社でした。
1つでも当てはまる場合、その場で契約せず、必ず信頼できる第三者に相談しましょう。


工事内容別の悪質商法パターンと適正価格

シロアリ駆除・床下工事の実態からお話しします。
典型的な手口は、床下に潜って「シロアリ被害を発見」と称すること。
家の倒壊リスクを強調して、高額な薬剤散布や基礎補強工事を提案してきます。

公益社団法人日本しろあり対策協会によれば、シロアリ防除の標準的な施工費は建物の規模や被害状況により大きく変動しますが、不要な全面工事を勧められるケースに注意が必要です。

私が対応したあるお宅では、悪質業者が「床下全体にシロアリがいる」と言って、80万円の見積もりを出していました。
でも、実際に確認したら、シロアリの被害はごく一部だけ。
その部分だけの処理で、費用は18万円で済みました。
つまり、約4.5倍もの価格差があったんです。

屋根工事の価格操作手口も巧妙です。
「瓦のズレを発見」と称して屋根に上り、雨漏りや台風被害のリスクを強調。
部分修理で十分な場合でも、全面葺き替えを提案してきます。

屋根工事は建物の状態や使用材料で価格が大きく変動するため、必ず複数社から見積もりを取って比較することが重要です。

外壁塗装の価格水増しも多いです。
「塗装の剥がれで雨水浸入」と不安を煽り、足場設置の「ついで工事」を提案。
高級塗料使用を謳って、高額請求してきます。

私が担当したあるマンションの外壁塗装では、最初に来た業者が350万円の見積もりを出してきました。
「特殊な塗料を使うから」という理由でしたが、その塗料は市販品で特別なものじゃなかった。
念のため別の2社にも見積もりを依頼したところ、120万円と135万円という結果に。
最初の業者は相場の約3倍を請求していたことになります。

住宅リフォーム推進会の住宅リフォームガイドブックでも、「複数の業者から見積もりを取り、内容を比較検討すること」が推奨されています。
価格は地域や建物の状態、使用材料によって大きく異なるため、一概に「適正価格はいくら」とは言えません。
だからこそ、最低3社以上から見積もりを取って比較することが、ボッタクリ被害を防ぐ最も確実な方法なんです。

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適正価格を知っておくだけで、ボッタクリを防げるよ!でも一番大事なのは、複数社で比較することだね。

ちょっと気にしてほしい!検索されにくい会社名の巧妙な手口

「〇〇〇建物点検センター」「(大手企業と同じ名前)」「×××(地域名)工業」
こんな名前で、検索されても実態が見つからないようにしている会社も多い印象です。

わざと検索されにくいようにして、実態や口コミが見つからないようにしているパターンがあるんです。
一時期話題となった「スーパーサラリーマン清水」が運営していた会社も、「匠」や「関東住建」という名前でした。
彼がそのつもりで会社名を決めていたかは定かではありませんが、この会社名ではなかなか検索には引っかかりませんよね。

私も業界で働いていて、「あれ、この会社名、検索しても何も出てこない」という経験が何度もあります。
会社のホームページもなく、住所も貸しオフィスだったりする。
こういう会社とは、絶対に契約してはいけません。

スーパーサラリーマン名乗る男ら4人逮捕 無許可でリフォーム工事かという記事も参考になります。

対策としては、契約前に必ず以下を確認すること。
建設業許可番号をオンラインで照会して、複数の検索エンジンで会社情報を調査する。
実際の施工写真をホームページで確認して、地域の消費生活センターに事前相談するのもおすすめです。


もし契約してしまったら?クーリングオフと相談窓口の活用

訪問販売などに該当する場合は、契約書面の交付から8日以内であればクーリングオフが可能です。
これは法律で守られている権利なので、遠慮する必要はありません。

クーリングオフの手順をお話しします。
まず、期限内に書面で通知すること。
内容証明郵便を使うのが推奨されます。
契約書のコピーを保管しておくことも大事です。

消費生活センターに相談して、必要に応じて専門家に依頼しましょう。
私がサポートしたお客様も、消費生活センターの助言で無事にクーリングオフできました。
「こんなに簡単に解約できるなんて」と驚いていました。

訪問販売なら、契約書面の交付日から8日以内がクーリングオフ期間。
書面が未交付の場合は、期間延長の可能性があります。
工事着手後でも、部分的に適用可能なケースもあるので、弁護士等に相談するのがおすすめです。

消費者庁|訪問販売に関するガイドも参考になります。

主要な相談窓口として、消費者ホットライン(188)があります。
最寄りの消費生活センターへ接続されて、24時間対応です。
国民生活センター(03-3446-1623)では、専門的な相談対応をしてくれます。
平日10〜12時、13〜16時の受付です。

建設業許可行政庁は各都道府県にあって、建設業者の指導・処分を行っています。
平日9〜17時の受付です。
警察相談専用電話(#9110)は、詐欺の疑いがある場合に利用できて、24時間対応。

また、お住まいの地域の消費生活センターにも、すぐ相談しましょう。
国民生活センター|点検商法の注意喚起ページも役立ちます。


信頼できる業者の選び方:施工管理のプロが教える実践的チェック法

施工管理として様々な業者と接してきた経験から、信頼できる業者の特徴をお話しします。

会社の信頼性チェックとして、建設業許可を取得しているかを確認しましょう。
500万円以上の工事には必須です。
地域での施工実績が豊富で、具体的な事例を提示できる業者は信頼できます。
ホームページで代表者や従業員の顔が見えるのも良いサインです。

建設業法に基づく標識を事務所に掲示しているかも大事。
私が知っている優良業者は、必ず事務所の入り口に標識を掲げています。
逆に、標識がない業者は怪しいと思った方がいい。

営業・対応の質チェックも重要です。
契約を急かさず、検討期間を十分に提供してくれる業者は信頼できます。
詳細な見積書を提示して、材料・工法・数量が明記されているのも良いサイン。
複数案を提案してくれる業者は、本当に顧客のことを考えています。

アフターフォローの体制が整っているかも確認しましょう。
私が付き合っている業者は、工事後も定期的に点検に来てくれます。
こういう業者は、長く付き合える信頼できるパートナーです。

必ず3社以上から見積もりを取ることが、被害防止の基本。
工事内容では、具体的な作業内容が記載されているかをチェック。
材料・工法・数量が明記されているのが適正な状態です。

価格設定では、材料費と工事費が分けて記載されているかを確認。
内訳が詳細で透明性が高いのが良い見積もりです。
工期では、現実的なスケジュールが提示されているかをチェック。
工程表付きで余裕のある日程が理想的です。

保証内容では、工事後の保証期間と内容が明確かを確認しましょう。
5〜10年の保証が付いているのが適正です。
私が担当したマンションの工事では、10年保証をつけてもらいました。
これだけで、住民の安心感が全然違います。

500万円以上の工事を行う場合、建設業許可が法的に必要です。
許可のない業者との高額契約は避けましょう。
建設業許可番号は、国土交通省のオンラインシステムで検索・照会できます。


最新の手口と効果的な防御策

最近では、従来の訪問販売に加えて、新しい手口も現れています。
LINE等のSNSでの営業が増えていて、親しみやすさを演出して信頼関係を構築してきます。
Google広告の悪用も多く、検索上位に表示させて信頼性をアピールするんです。

口コミサイトの偽装も横行していて、自作自演のレビューで評価を操作しています。
ドローン点検の悪用も出てきていて、最新技術を謳って高額な点検料を請求してきます。
私も最近、「ドローンで屋根を点検します」という業者を見かけました。
技術自体は良いんですが、それを悪用する業者もいるんです。

デジタル時代の効果的な防御策として、会社名で複数の検索エンジンから情報収集すること。
建設業許可番号をオンラインで照会・確認するのも大事です。
実際の施工写真をSNSやホームページで確認しましょう。

第三者機関(消費生活センター等)に事前相談するのもおすすめ。
口コミサイトの評価は、複数サイトで確認することが大切です。
1つのサイトだけの評価を信じるのは危険ですからね。


まとめ:冷静な判断と適切な相談が最大の防衛策

点検商法の被害を防ぐためには、「その場での即決は絶対に避ける」ことが最も大事。

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その場で即決じゃなくて、誰かに相談してから判断しよう。焦る必要はないよ!

改修工事施工管理として多くの現場を見てきた経験上、本当に緊急性のある工事はそれほど多くありません。
「今すぐ直さないと危険」と言われても、まずは落ち着いて対応を取りましょう。

複数社からの見積もりを取得すること。
最低3社以上から見積もりをもらって、比較検討するのが基本です。
家族や専門家へ相談することも忘れずに。
一人で判断せず、必ず誰かに相談しましょう。

建設業許可等の資格を確認することも大事。
工事内容と価格の妥当性を検証して、納得してから契約しましょう。

本当に信頼できる業者は、強引な即決を迫ったり、恐怖心を煽るような言い回しはしません。
まずは複数社に見積もりを依頼し、工事内容・価格・対応を比較検討することが、最大の防御策です。

万が一被害に遭ってしまった場合も、クーリングオフや消費生活センターへの相談など、適切な対処法があります。
一人で悩まず、専門機関の支援を積極的に活用しましょう。
私も、お客様のサポートをする中で、専門機関の力強さを何度も実感しました。

不安を感じたときこそ、一度立ち止まり、冷静に判断することが大切です。

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