雨漏りは“屋根”からとは限らない──意外な原因4つ

この記事を書いた人

建築施工管理技士/宅地建物取引士/Webエンジニア
・2級建築施工管理技士(取得年:2024年)
・宅地建物取引士(取得年:2020年)
・改修工事施工管理歴:6年(2018年〜現在)
・商業施設改修・修繕200件、マンション大規模修繕15棟
・不動産業務経験:買取再販・売買仲介 3年
・Mac活用13年

この記事でわかること

  • 雨漏りの原因は屋根だけではない。見落としやすい4つの発生箇所
  • 屋根以外が原因だった実際の修繕事例と費用感
  • 雨漏りと設備トラブルを見分けるコツ
  • 箇所別の修繕費用相場と優先順位の考え方

「天井から水が落ちてきた」「壁にシミができた」。こうしたトラブルに遭うと、まず屋根の劣化を疑うと思います。

ただ、改修工事の施工管理として何度も雨漏り修繕に立ち会ってきた身からすると、屋根だけが原因というケースは意外と少ないのが実感です。

以前担当した築30年のマンションでは、屋根修繕を2回やっても止まりませんでした。最終的な原因はベランダの防水層の破損。修繕費用は当初予定の3倍近くに膨れました。最初からきちんと調査していれば、あそこまでの出費にはなりませんでした。


雨漏りの原因、屋根だけじゃないという現実

国土交通省の住宅性能表示制度に基づく調査データでは、屋根が原因の雨漏りは全体の約40%です。残りの60%は外壁やサッシ周り、バルコニー、設備配管などが占めます。

原因箇所発生割合主な症状
屋根関連約40%天井からの直接漏水
外壁・サッシ約35%壁面のシミ・窓周りの浸水
バルコニー防水約15%階下天井への浸水
設備配管約10%配管周りの結露・漏水

私の経験でも「屋根を直したのに止まらない」という相談が体感で6割ほど。しかも原因がひとつではなく、複数の劣化が重なっているケースが多いです。

最近よく依頼を受ける商業施設では、オーナーや管理業者が何度も変わり、どこにどんな配管があるか把握している人がいません。そういう建物は、あちこち直しながら少しずつ改善していくのが現実です。

複合原因に注意

雨漏りは複数箇所の劣化が組み合わさって起きることが多く、包括的な調査なしには根本解決が難しい場合があります。


サッシまわりのコーキング劣化

サッシからの雨漏り

窓枠(サッシ)の周辺は、雨風の吹き込みが強く傷みやすい場所です。

最も多い原因は、コーキング(シーリング材)のひび割れや剥がれ。コーキングはすき間を埋めるだけでなく、地震や風による揺れを吸収する役割も担います。紫外線や経年で劣化すると、コーキングだけでなく躯体にまで影響が及びます。

症状としては、サッシ下部の水滴やシミ、窓枠まわりの壁紙の変色。ひどければ床材の腐食も起きます。

修繕事例と費用

築25年の戸建てで、リビング南側の窓下に水たまりができていた案件。原因はシーリング材の劣化でした。南面で常に日光にさらされる場所だったため、劣化が著しかったのです。打ち替えと防水テープ補修で1窓あたり8万円、工期2日。

費用相場は、部分的な打ち替えで3〜5万円、全周の打ち替えで6〜10万円。水切り板金の交換を含むと20〜30万円、サッシ本体の交換で30〜50万円です。


外壁のひび割れと塗膜劣化

外壁クラックのイラスト

屋根がきれいなのに雨漏りする。そんなとき見逃されがちなのが、外壁のクラック(ひび割れ)です。

最初は0.3mm未満のヘアクラックから始まり、放置すると構造クラックに広がります。そこから雨水が浸入し、断熱材や木材を濡らして腐食やカビを引き起こします。手で外壁をこすると白い粉がつくチョーキング現象も、塗膜劣化のサインです。

修繕事例と費用

築18年の住宅で、2階寝室の壁に縦筋状のシミ。原因は外壁サイディングの構造クラックでした。補修と部分塗装で25万円、工期5日。内部まで水が回る前に対処できたので、この程度で済みました。

30坪住宅の場合、シーリング補修のみで5〜15万円。部分塗装を含むと30〜60万円。全面的な外壁塗装で80〜150万円。サイディング張り替えまで必要になると200〜350万円が目安です。

外壁からの浸水はじわじわ進みます。室内にシミが出た時点では、すでに内部の被害が広がっていることも珍しくありません。

ぱんたロイド
外壁は見た目じゃ傷みがわかりにくいです。築10年を超えたら一度は点検してもらうと安心ですね。

バルコニーの防水層と排水の劣化

屋根じゃないのに階下の天井に雨染みが出る。そんなとき、バルコニーが原因だったというケースもよくあります。

バルコニーの防水はFRP、ウレタン、シート、アスファルトの4種類が主流で、耐用年数は10〜20年。排水口の詰まりや防水層のひび割れ、壁との接続部分の劣化が起きやすいポイントです。

修繕事例と費用

築12年のマンションで、階下の天井に水染みが広がっていた案件。FRP防水層の全面劣化と排水ドレンの不良が原因でした。全面改修とドレン交換で15㎡に対して45万円、工期7日。

トップコートの塗り替えだけなら10㎡で2〜5万円。防水層の全面やり直しで15〜25万円。下地補修を含むと20〜35万円が目安です。

築10年以上の物件では、目視では異常が見つからなくても防水層が劣化していることがあります。専門的な調査を入れないと、何度も修繕を繰り返すことになりかねません。

バルコニー防水の簡易点検

排水口まわりのゴミ確認、床面のひび割れチェック、水たまりの有無、壁との接続部分のシーリング状態。月1回でもこれだけ見ておけば異変の早期発見につながります。


設備配管・エアコン周辺の水トラブル

配管まわりの水漏れ

配管まわりの漏水やエアコンの結露も、雨漏りと間違えやすい原因です。

見分けるポイントは発生タイミング。雨漏りなら雨天時に起きますが、設備トラブルは天候に関係なく起きます。水に濁りや臭いがあれば排水管の可能性が高い。発生場所がエアコンや配管の近くなら、まず設備側を疑ってみてください。

修繕事例と費用

天井からの水滴で現場に行くと、雨天以外でも発生していました。エアコンのドレンホースの詰まりが原因で、清掃と勾配調整だけで解決。費用3万円、半日の作業です。

エアコンドレンの清掃で2〜5万円、給水管の断熱材巻き直しで5〜10万円、排水管の高圧洗浄で3〜8万円が相場です。

正直に言うと、電気やエアコン、水道の工事は外装修繕業者にとって専門外の領域です。点検や小規模な修繕であれば、直接地元の工務店や専門業者に頼んだほうがスムーズなこともあります。


原因の決めつけが一番高くつく

実際に見た失敗事例。1回目に屋根修繕で80万円。改善せず2回目に外壁塗装で120万円。一時的に良くなるも完全には止まらず、3回目にバルコニー防水で40万円。トータル240万円。最初から全体を調査していれば100万円程度で済んだはずでした。

信頼できる業者なら、赤外線カメラや散水試験で浸水ルートを特定してからピンポイントで対応します。

調査費用の目安

目視と簡易散水で3〜5万円。赤外線サーモグラフィーなどの詳細調査で10〜20万円。数万円の調査費を惜しんで、数十万円の無駄な修繕費がかかるケースは珍しくありません。

ぱんたロイドプロフィール用
原因が複数重なっていることもあるので、自己判断は危険です。専門家の点検から始めるのが最短ルートですよ。

業者選びと定期点検のポイント

業者を選ぶときは、建設業許可の有無、瑕疵保険への加入、雨漏り修繕の実績を確認してください。国土交通省の建設業者検索システムで許可の有無を調べられます。

訪問営業で不安を煽る、調査なしで見積もりを出す、大幅値引きで契約を急かす。こうした業者は避けてください。見積書に材料のメーカー・品番が書かれているか、保証内容が明記されているかも判断材料になります。

修繕後は定期点検の習慣が大切です。月1回、サッシのコーキング、バルコニー排水口、外壁のひび割れ、エアコンのドレンホースを見るだけでも早期発見につながります。住宅の長期修繕については、国土交通省の長期修繕計画ガイドラインも参考になります。


まとめ

雨漏りで一番やってはいけないのは、屋根が原因だと決めつけて修繕すること。実際には屋根以外が6割を占め、複数の劣化が重なっているケースも少なくありません。

サッシのシーリング、外壁のクラック、バルコニーの防水層、設備配管や結露。この4つは特に見落とされやすい原因です。

適切な調査に基づいて計画的に直すのが、結局いちばん確実で経済的です。「雨漏りかな」と思ったら、まず専門家の調査から始めてみてください。

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雨漏りは本当に奥が深いです。だからこそ最初の調査が大事。安易な判断は禁物ですよ。

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