改修工事が変わる2025—ドローン・AI・省力化材料の最前線

この記事を書いた人

建築施工管理技士/宅地建物取引士/Webエンジニア
・2級建築施工管理技士(取得年:2024年)
・宅地建物取引士(取得年:2020年)
・改修工事施工管理歴:6年(2018年〜現在)
・商業施設改修・修繕200件、マンション大規模修繕15棟
・不動産業務経験:買取再販・売買仲介 3年
・Mac活用13年

改修工事が変わる2025

この記事でわかること

  • 職人不足を補う省力化材料の最新動向と実例
  • ドローン・AI診断による修繕診断の進化
  • ICT活用による施工管理のデジタル化
  • 施工管理者から見た今後5年の業界展望

「建設業のDXって、結局何をやるんだろうか」
「AI使ってもできない仕事」
「いつも使っているメーカーの材料で収まらない現場がある…」

この仕事を6年やっていると、こんな悩みをよく聞くし、私もいまだに思うことがあります。
それでも、調べたり実際に導入したりしながら、毎日奮闘しています。

職人の手間を削減する新材料、ドローンとAIによる診断技術、施工管理のデジタル化。
これらは既に一部の現場で実用化され、私も日々少しずつ実感してきています。

この記事では、改修工事の施工管理者として実際に導入・検討してきた最新トレンドを、具体的な費用対効果や導入時の課題も含めて解説します。

職人不足の現実—現場で起きている深刻な事態

高齢化する建設現場のイラスト

日本建設業連合会の調査によると、建設業就業者は1997年の685万人から2023年には479万人まで減少。29歳以下の若手は全体の11.8%しかおらず、55歳以上が36.0%を占める超高齢化業界です。

私も大学卒業時には、「体を動かして稼ぐ仕事はちょっと…」と迷い、選択肢にはありませんでした。
特に大学卒や専門卒であれば、職人を選ぶ人は本当にごくわずかだと思います。

職人不足による現場への影響
  • 人件費の高騰により工事費が上昇
  • 技能を要する工事の品質確保が困難に
  • 若手育成の時間的余裕がなく、負のスパイラルへ

省力化材料のトレンド—技術不要で手間を削減

職人不足を補うため、建材メーカー各社は「技術を不要にする材料」の開発を急いでいます。
熟練職人でなくても一定の品質が出せる材料が、改修工事の現場を変えつつあります。

速乾性・下塗り不要の塗床材

速乾性の塗床材を活用

私が最近施工した現場で使用したのは、速乾性で下塗り不要の塗床材です。
従来の塗床工事は、下地処理→プライマー塗布(下塗り)→中塗り→上塗りと工程が多く、乾燥待ちで1週間以上かかりました。

2025年11月、とある商業施設のバックヤード塗床補修にて、速乾性塗床材を採用しました。
下塗り不要で直接コンクリートや既存塗床材に塗布でき、硬化時間は約3時間。
夜9時に施工開始し、午前4時には通行可能になりました。
従来工法なら3日間の通行止めが必要だったところ、一晩で完了です。

自己修復するコンクリート

自己補修コンクリートを活用

ここ数年で話題になってきた材料として、自己修復性能を持つコンクリートがあります。
微細なひび割れが発生しても、材料に含まれる特殊成分が水分と反応して自動的に修復します。
ひび割れ部分にバクテリアや特殊カプセルを配合し、水と反応して炭酸カルシウムを生成してひび割れを塞ぐというものです。

自己修復コンクリートはまだ高価ですが(従来の2-3倍)、橋梁やトンネルなど補修が困難な構造物での採用が始まっています。
私が担当する現場は主に商業施設であり、一時的な補修工事や外観を整える工事が多いため、修繕サイクルの長期化はあまり採用されません。
しかし、建物を直す・守る立場として、必要に応じて提案するようにしています。

ぱんたロイド
省力化材料は「手抜き」じゃなくて「効率化」。品質を保ちながら職人不足に対応する、これからの現場には必須の選択だよ。

修繕診断の進化—ドローンとAI診断の実力

大規模修繕の第一歩は、建物の劣化状況を正確に診断することです。
従来は人が足場を組んで打診棒で叩く「打診調査」が主流でしたが、この方法には限界がありました。

従来の打診調査の課題

外壁打診調査イメージ
課題具体的な問題点
高額なコスト全面足場が必要で、調査だけで200-300万円のコストがかかる
安全性の問題高所作業のため危険が伴い、調査中の事故も報告されている
精度のばらつき調査員の技量で精度が変わり、経験5年未満だと見落としが発生
時間がかかる全面調査に2-3週間かかり、その間居住者は騒音に悩まされる

実際、私が担当した現場でも、打診調査の騒音について苦情が複数ありました。

ドローン赤外線調査の実際

建設業界の最新トレンドを活用 - ドローン外壁調査

ドローンに赤外線カメラを搭載した調査は、これらの課題を一気に解決します。
外壁の浮きや剥離部分は熱の伝わり方が異なるため、赤外線画像で温度差として検出できます。

昨年、14階建てマンション(延床面積8,000㎡)の調査で、初めてドローン赤外線調査を採用しました。
費用は従来の打診調査が280万円だったのに対し、ドローン調査は120万円。
約160万円のコスト削減です。
調査期間も、打診調査なら足場組立含めて3週間のところ、ドローンは2日間で完了しました。

項目従来の打診調査ドローン赤外線調査
費用(8,000㎡の場合)280万円120万円
調査期間3週間(足場組立含む)2日間
足場全面足場必要不要
精度調査員の技量によるAI解析で均一
居住者への影響騒音ありほぼなし
報告書図面+写真3Dマッピング

精度も予想以上で、AI解析により微細なひび割れも検出できました。
報告書には3D画像で劣化箇所がマッピングされ、管理組合への説明も分かりやすくなりました。

AI診断の進化—ひび割れ自動検出

ドローンで撮影した外壁画像をAIが解析し、ひび割れを自動検出するシステムも実用化されています。
従来は調査員が目視で確認していましたが、AIは0.3mm幅の微細なひび割れも検出できます。

私が使用したシステムでは、解析精度95%以上で、人間の目視より確実でした。
検出されたひび割れは自動的に分類され、
「早急に補修が必要(幅1mm以上)」
「経過観察(幅0.3-1mm)」
「補修不要(幅0.3mm未満)」
と優先度付けされます。

ICT活用と施工管理のデジタル化

ICT活用・施工管理デジタル化

施工管理の現場でのICT活用として、私の現場管理のお供はiPadです。
ICT活用、といえば難しく聞こえますが、今まで紙でやってきたことをできるだけタブレットを使用するようになった程度です。
しかし、これが意外と効果があり、最近では現場に行く際に手放せないほどになりました。

タブレット施工管理の実際

現在、私はiPad mini 6に施工図面、工程表、写真、検査記録を全て入れています。
現場で撮影した写真は自動的にクラウドにアップロードされ、事務所のパソコンと同期されます。
図面に直接書き込んで指示を出せるため、職人とのコミュニケーションも円滑です。

元請けによっては、
図面を印刷して現場に持参し、
写真はデジカメで撮影してパソコンに取り込み、
報告書を作成する流れが未だに続いています。

これだけで1日2-3時間かかりますが、iPadを導入すると、30分程度に短縮ができます。

項目従来の方法iPad活用
図面管理印刷して現場に持参iPad内で全図面を管理
写真管理デジカメ→PC取り込みiPad撮影→自動クラウド同期
報告書作成1日2-3時間30分程度
初期投資デジカメ等で約5万円iPad+アプリで約9万円
投資回収期間約半年

施工管理者から見た今後5年の展望

職人不足の深刻化により、今後5年で技術革新は急速に普及します。
自動レベリング(自己平坦化)モルタル、
塗るだけで防水性能を持つ塗料、
ロボットアームによる自動タイル張りなどの開発が進んでおり、
5年後には現在の半分の人工数で同じ品質が出せる材料が、さまざまなメーカーから多数出てくるものと思います。

ドローン赤外線調査は、今後5年でマンション大規模修繕の標準的な診断方法になるでしょう。
紙の図面や手書きの報告書は数年〜10年後にほぼ消滅し、全ての情報がタブレットとクラウドで管理される時代が来ます。

ぱんたロイド
技術革新は「職人を不要にする」んじゃなくて、「職人の仕事をより高度にする」ものだと思うよ。単純作業はテクノロジーに任せて、職人は本当に技術が必要な部分に集中できるようになる。

導入時の課題とコスト

技術導入コスト課題
ドローン赤外線調査機材一式300-500万円
(外注なら1件100-150万円)
航空法による飛行規制、国土交通省への許可申請が必要(承認まで2週間)
タブレット施工管理iPad本体8万円+アプリ月額1万円現場の通信環境整備、職人への説明
省力化材料従来材料の1.5-3倍初期コストは高いが、工期短縮で総合的には有利

まとめ—技術革新で変わる建設業界の未来

建設業界・改修工事の現場は、人手不足という課題を技術革新で乗り越えようとしています。
省力化材料、ドローン診断、ICT活用は、既に一部の現場で効果を上げており、今後5年で標準的な手法になるでしょう。

私自身、6年間で現場が少しずつ変わってきているのを目の当たりにしています。
ドローンが飛び、AIが診断し、省力化材料が職人の負担を減らす。
これが、2025年の建設業界の現実です。

技術革新は職人を不要にするものではなく、職人の技術をより高度な部分に集中させ、単純作業はテクノロジーに任せることで、限られた人材で高品質な工事を提供できます。

本記事の情報は2025年11月時点のものです。技術開発の進展により、内容が更新される可能性があります。

本記事の一部画像はAIによる自動生成(ChatGPT・DALL·E)を使用しています。著作権上問題のない範囲で掲載しています。
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