マンション・住宅の防災準備|ハザードマップ & 必須防災グッズ

この記事を書いた人

建築施工管理技士/宅地建物取引士/Webエンジニア
・2級建築施工管理技士(取得年:2024年)
・宅地建物取引士(取得年:2020年)
・改修工事施工管理歴:6年(2018年〜現在)
・商業施設改修・修繕200件、マンション大規模修繕15棟
・不動産業務経験:買取再販・売買仲介 3年
・Mac活用13年

家族でハザードマップを確認している画像
この記事でわかること
  • マンション購入後すぐに始める防災対策の手順
  • ハザードマップを活用した実践的なリスク把握方法
  • 階層・構造別の災害リスクと対策の違い
  • 効果的な防災グッズの選び方と配置方法
  • マンション特有の避難・備蓄戦略

マンション購入後すぐできる!ハザードマップ活用&防災準備のすすめ

防災グッズを買ったのに、どこにしまったか分からなくなった話

これは私が不動産業界で働き始めて3年目のこと。
担当していたお客様が新築マンションに入居されて、半年後に電話がかかってきました。

「防災グッズ、ちゃんと買ったんですけどね。どこにしまったか分からなくて…」
その日、近くで震度4の地震があったそうです。
慌てて探したけど、見つからなかった。

結局、クローゼットの奥深くにしまい込んでいて、段ボールも開けていない状態でした。
「買っただけで安心してしまって、全然使えませんでした」と苦笑いされていました。

この話を聞いて、私も自分の防災準備を見直しました。
せっかく準備しても、いざという時に使えなければ意味がない。
防災対策は、「買う」だけじゃなく、「使える状態にしておく」ことが本当に大事なんです。

新しいマンションやアパートでの暮らしが始まると、内装や家具選びに夢中になってしまいますよね。
防災対策は2の次になりがち。
でも、最初の1週間で防災対策をしておくことが、その後の安心感を大きく左右します。

実際に2019年の台風15号では、千葉県のマンションで停電が2週間続いたケースがありました。
エレベーターが止まり、高層階の住民が水や食料の確保に苦労したんです。
「まさか自分が」と思っていた人たちが、実際に困ったという話を何度も聞きました。

この記事では、国土交通省のハザードマップポータルサイトの具体的な活用法から、今すぐできる防災準備まで、「新生活の一部」として取り入れられる防災アクションをお話しします。


ハザードマップは「見るもの」から「使うもの」へ

家族でハザードマップを確認している様子

「ハザードマップって見方がよくわからない」
お客様から、本当によく聞く言葉です。
確かに色分けされた地図を眺めているだけでは、いまいちピンとこない。

でも実は、ハザードマップは暮らしを守るための「取扱説明書」なんです。
不動産購入や賃貸契約の際に、宅建士から説明がある「重要事項説明」でも、ハザードマップについての説明が義務化されています。
私が宅建士資格を取得した際には、すでに義務化されていて、試験でも1問出題されました。

宅建士としての経験から、次の3ステップが最も効果的だと分かっています。
まず、自分の住所を入力して「色」を確認すること。
ハザードマップポータルサイトで、洪水・土砂災害・液状化・津波のリスクレベルをチェックします。

黄色は浸水の可能性あり、赤色は高リスクという意味。
この色の意味を家族で共有しておくだけで、いざという時の判断が変わります。
マンションの1階にお住まいなら浸水リスク、15階以上なら強風や長期停電リスクを重点的に見ておく。

私の場合は、近くの河川の氾濫による冠水範囲や、海抜が低く河川から離れていても浸水しそうな範囲、付近の道路などを確認しています。
自分の通勤ルートが冠水した場合、どの道を通れば安全か。
そういう視点で見ると、ハザードマップがぐっと身近になります。

次に、避難所まで実際に歩いてみること。
スマホの地図アプリだけでなく、実際に足で確認することが本当に大事。
私が担当したあるマンションでは、避難所までの道に段差が多く、車椅子では通れないことが判明しました。

小さなお子さんやご高齢の方がいる場合は、遠回りでも安全に通れるルートも歩いてみておくと安心です。
私の場合は休日に家族みんなで散歩がてら歩きました。
子供たちも「ここが避難所なんだ」と覚えてくれて、良い機会になりました。

最後に、「もしも」の連絡ルールを決めること。
スマホが使えない場合を想定して、アナログな方法も準備しておきます。
「家が安全なら家から出ない」「家がダメなら〇〇学校に集合」といった優先順位や具体的な場所などを決めておく。
これだけで、家族の不安が軽減されます。

一戸建てとマンションでは、災害時に注意すべきポイントが全く違います。
内閣府防災情報でも指摘されているように、高層建築物では階層別の対策が欠かせません。

階層主なリスク重点対策備蓄のポイント
低層階(1-3F)浸水、津波、液状化垂直避難の準備上階への移動を想定
中層階(4-10F)停電時エレベーター停止階段利用の体力確保バランス型備蓄
高層階(11F以上)強風、長時間孤立停電や断水による長期間の自宅待機多めの備蓄が必要

見落としがちなのが「複合災害」のチェック。
洪水と地震など、複数の災害が同時に発生することも想定しておく。
時系列での変化も大事で、気候変動により過去10年でリスクエリアが変化している場合もあります。

周辺施設の確認も忘れずに。
病院・学校・コンビニの位置と、災害時の機能継続可能性を調べておく。
交通インフラでは、主要道路の冠水リスクや代替ルートを確保しておく。
ライフライン供給元として、電気・ガス・水道の供給ルートと予備系統も知っておくと安心です。


防災グッズは「引っ越しの延長」で揃える

防災グッズを準備するイメージ

「防災グッズって何から揃えればいいの?」
新居に入居された方から、本当によく受ける質問です。
おすすめは「引っ越しで買うものの延長」として考えること。

特別な防災グッズではなく、普段使いできるものを中心に選ぶと、無駄がありません。
私の友人で、「防災グッズ専用」として買ったものが全然使われず、賞味期限切れになってしまった人がいました。
もったいないですよね。

政府広報オンラインの推奨品目をベースに、マンション特有の制約を考慮したリストを作りました。
飲料水は、1人1日3リットル×3日分が目安。
2Lペットボトル5本程度で、約1,500円です。

非常食は、レトルトカレー・パックご飯・缶詰・カロリーメイトなどで約3,000円。
照明・電源として、LEDランタン・単三電池・モバイルバッテリーで約5,000円。
衛生用品は、簡易トイレ10回分・除菌ウェット・マスクで約2,000円。

防寒・雨具として、アルミブランケット・レインポンチョで約1,500円。
情報収集用に、手回し充電ラジオ・緊急連絡先リスト・現金2万円で約2,000円。
全部で15,000〜25,000円程度で、基本セットが揃います。

実は、これらの多くは楽天の防災セットなどでまとめて購入できます。
バラバラに買うより効率的で、見た目もスッキリ。
私も最初はバラバラに買っていましたが、途中からセットに切り替えました。

住戸タイプによって、備蓄戦略は変わってきます。
1R・1Kの単身者なら、収納スペースが限定されるので、コンパクト・多機能重視。
月あたりの追加費用は約1,000円で済みます。

2LDKで2-3人なら、適度な収納を確保して、分散配置・効率重視。
月あたり約2,500円です。
3LDK以上で4人以上なら、収納スペースが比較的豊富なので、場所別・用途別配置。
月あたり約4,000円になります。

私の知り合いのお宅で、防災準備がしっかりしている方がいます。
その方は、「使う場面を想像して配置」していました。
玄関には、すぐに持ち出せる1dayセット(リュック1つ、重さ5kg以内)。

寝室には、夜間災害用の懐中電灯・スリッパ・ホイッスル。
キッチンには、食料・水の主力備蓄(ローリングストック活用)。
リビングには、家族共用のラジオ・充電器・救急箱。
バルコニーには、給水用ポリタンク・簡易トイレ(臭気対策)を置いていました。

「ここに置いておけば、いざという時に迷わない」
そう言っていたのが印象的でした。
実際、地震の時にすぐに対応できたそうです。

ぱんたロイド
家具のレイアウトなどに自然に溶け込ませつつ、必要なときにすぐ使えるような準備をしておく。うまいこといくと嬉しくなりますよ!

管理組合との連携で「共助」体制を築く

マンションの大きなメリットは、「共助(お互いに助け合う)」の仕組みを作りやすいこと。
気象庁の緊急地震速報の利活用状況等に関する調査でも、マンションの緊急放送や表示によって緊急地震速報を見聞きしたという調査があります。

特に賃貸マンションなどでは、隣人との関係が希薄になりがち。
でも、普段からお隣さんと挨拶程度でもいいのでコミュニケーションをしておくだけで、何かあったときに協力ができます。
これは本当に大事です。

まず確認すべきマンションの防災設備があります。
非常用電源では、停電時に最低限動く設備(共用部照明・1基のエレベーター)を確認。
受水槽容量は、断水時に各戸で使える水量(通常1日分程度)をチェック。

防災倉庫には、共用備蓄品の内容と利用ルールを確認しておく。
避難設備として、避難はしご・救助袋の設置場所と実際の使用方法を知っておく。
通信手段では、携帯電話不通時の連絡方法(館内放送等)を把握しておきます。

これらの情報は、管理会社や管理組合の理事会で確認できます。
私が仲介したとあるお客様は、入居数年後に理事会に参画した際に、防災に関わる細かい準備がなされていないことに気づきました。
そこからの1年で、防災備蓄倉庫の見直しを行い、近年に起こりうる災害に対する対策グッズを揃え、数年ごとに見直す仕組みを作ったそうです。

「近所付き合いは苦手…」という方も多いと思います。
でも災害時の連携は、普段からの深い関係性は必要ありません。
お互いの「いざという時の情報」を知っているだけで十分なんです。

無理のない共助体制の作り方として、エレベーター内での簡単な挨拶(顔を覚えてもらう)から始めてみる。
掲示板やマンション管理アプリでの情報交換も有効です。
年1回の防災訓練への参加も、15分程度でもいいのでおすすめ。

医療従事者・技術者等のスキル保有者の把握や、子育て世帯・高齢世帯の所在の大まかな把握も、いざという時に役立ちます。
私のマンションでは、「〇〇号室に看護師さんがいる」というのが何となく共有されていて、実際に救急の時に助けてもらったことがありました。


「見直し」も新生活の習慣に組み込む

家族で防災グッズを点検している様子

防災対策で意外と見落とされがちなのが「メンテナンス」。
せっかく準備した防災グッズが、いざという時に使えなければ意味がありません。
内閣府の防災教育ページでも、継続的な取り組みの重要性に関するページがいくつかあります。

でも「毎月チェック」なんて負担に感じますよね。
そこでおすすめなのが、季節の行事と組み合わせる方法です。
私の家では、年2回の衣替えの時期に一緒に必ず確認するようにしています。

年末の大掃除(12月)では、全体的な見直し・家族構成変化の反映をします。
新年度準備(3月)では、連絡先・避難所情報を更新。
梅雨前(5月)には、水害対策・雨具を点検します。

お盆休み(8月)には、帰省前の家族ルールを再確認。
防災の日(9月)には、備蓄食品の入れ替え・機器動作チェックを行います。
防災の日(毎年9/1)は、備蓄していた非常食を入れ替えもかねて、家族みんなで食べるようにしています。

これが意外と楽しいんですよ。
「今年の非常食はどんな味だろう?」って、子供たちも楽しみにしています。
ローリングストック(日常使いで自然に更新)なら、追加費用は0円です。

アプリ管理を使えば、期限切れ通知が自動で来ます。
月額0-500円で、全アイテムの管理が可能。
定期購入なら、買い忘れを防止できて、配送料のみの負担。
家族分担すれば、負担が分散されて、防災意識も向上します。

ローリングストック成功のポイントは、家族が好きな味の非常食を選ぶこと。
これが続けやすさの秘訣です。
普段の料理でも使えるレトルト食品を活用して、賞味期限を冷蔵庫のカレンダーに記入しておく。

消費した分は「次の買い物で必ず補充」のルールを決めておく。
年1回は家族で「非常食パーティー」を開催するのもおすすめ。
我が家では、これが年中行事になっています。


エレベーター停止!その時どうする?

マンション特有の災害リスクで最も現実的なのが「エレベーター停止」。
消防庁のエレベーター利用避難に関する国内外の事例の調査研究でも、この問題は取り上げられています。

私が知っている事例でも、災害直後のエレベーターの復旧は、平均3-7日程度かかると聞いています。
その間、住民の皆さんがどのように過ごしたかで、ストレスレベルが大きく変わるんです。

階数によって、対応策は全く変わってきます。
3階以下なら、階段利用でもなんとか対応可能。
4-8階になると、1日数回の階段利用が限界になります。

9-15階では、必要最小限の移動のみが現実的。
16階以上になると、基本的に室内待機が現実的な選択肢になります。
私の友人が20階に住んでいて、エレベーターが止まった時、本当に大変だったと言っていました。

高層階で地震などはかなり揺れるため心配になりますが、実はマンションは構造的に安全性が高いんです。
多くの場合「在宅避難」が推奨されます。
ただし、状況によっては早めに避難所への移動が必要になることも。

在宅避難が可能な条件として、建物に目立った損傷がないこと(ひび割れ・傾き等なし)。
水道・ガス・電気のいずれか1つ以上が機能していること。
3日分以上の備蓄があること。
持病の薬が十分にあること。
近隣住民との連絡が取れていること。

逆に、避難所への移動を検討すべき場合もあります。
建物に構造的な不安がある時や、火災やガス漏れの危険性がある時。
ライフライン全停止が1週間以上続く見込みの時。
医療的なケアが必要な時や、近隣との連絡が完全に途絶えている時です。

特にライフラインでも、水道が使えないことは命に関わります。
現在の備蓄で乗り越えられるかを検討し、避難するかを早急に判断しましょう。
これは決して甘くみないこと。

次に電気。
照明やエアコンは最悪使えなくても大丈夫なことが多いですが、スマートフォンなどの連絡手段が使えなくなることが想定されます。
復旧の見込みが立たない場合は、避難所への移動を検討しましょう。

避難所への移動前に余裕がある時は、「ガスの元栓を閉める」「電気のブレーカーを落とす」など、火災などの二次災害の対策をしてから避難しましょう。


スマホアプリで防災情報をキャッチ

現代の防災対策では、デジタル技術をうまく活用することで、より効果的な備えができます。
気象庁の防災情報をはじめ、公的機関のアプリも充実してきました。

ただし、「アプリ頼みになりすぎない」ことも大切。
災害時にはスマホの電池切れや回線混雑が起こるためです。
私も東日本大震災の時、スマホが全く使えなくて困った経験があります。

アプリ名主な機能対象災害電池消費オフライン対応
Yahoo!防災速報緊急速報・避難情報全般一部対応
NHKニュース・防災災害情報・ライブ映像全般×
特務機関NERV防災気象警報・地震情報気象・地震
ハザードマップポータル各種ハザードマップ洪水・土砂災害等
災害用伝言板安否確認全般
ぱんたロイド
便利なアプリも大切ですが、電池が切れた時のことも考えて、紙の地図やラジオも準備しておきましょうね!

まとめ:小さな備えが、大きな安心を生む

事前の備えがある家庭とない家庭では、災害後の回復スピードが圧倒的に違う。
これは、私が不動産業界で何度も見てきた現実です。

マンションでの防災対策が成功すると、こんな効果が得られます。
家族の不安が軽減されて、「準備してある」という安心感で日常も穏やか。
災害時に冷静な判断ができて、パニックにならず、適切な行動が取れます。

住まいの資産価値を守れて、迅速な対応で被害を最小限に抑制できます。
近隣とのつながりが生まれて、共助体制で地域全体が安全に。
復旧が早くて、備えがあることで、元の生活への復帰が早くなります。

「防災対策」というと身構えてしまいがちですが、実は「安心できる暮らしを作ること」と同じ。
新しいカーテンや照明を選ぶのと同じような感覚で、防災グッズも暮らしの一部として取り入れてみてください。

特にマンションでは、個人の備えと建物全体の備えの両方が大事。
管理組合や近隣住民との適度な連携を保ちながら、安心・安全な住環境を一緒に作り上げていきましょう。

今日からできることは、まずハザードマップポータルサイトでお住まいの地域をチェックすること。
そして週末に、家族で防災グッズを見に行ってみること。
この小さな一歩が、あなたとご家族の大きな安心につながります。

災害は「いつか来るもの」ではなく、「今日来るかもしれないもの」。
でも、適切な備えがあれば、必要以上に恐れることはありません。
安心できる毎日のために、今できることから始めてみませんか?

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