改修工事の現場で使われる用語50選──初心者が最初につまずく言葉と意味を現場目線で解説

- 改修工事で実際に使われる現場用語を50個厳選
- 工程別・職種別に分類して詳しく解説
- 新人がつまずきやすい言葉の意味と使われる場面が理解できる
はじめに:改修工事の現場では「用語の壁」が最大の障害になる
建設業における「用語」は、言葉以上の意味を持っています。特に改修工事の現場では、新築工事とは異なる専門用語が飛び交います。
「タラップ」「ケレン」「シール打ち」など、一見すると日常の日本語とは思えない単語も多く、初心者は会話にすら入れないこともしばしば。正直なところ、僕も最初の現場では職人さんとの打ち合わせ内容が全く理解できず、何度も聞き返して呆れられた経験があります。
今回は、現役の改修工事の施工管理者としての視点から、「実際に現場で使われる」用語を50個厳選。工程別に分類しながら、実際にどういう場面で使われるのか、どんな注意点があるのかまで含めて、現場目線で詳しく解説します。
【仮設・足場】10用語

1. 足場(あしば)
作業員が高所で作業するために組み立てる仮設構造物。改修工事では建物の外周に組むのが一般的です。足場の種類によって作業効率や安全性が大きく変わるので、現場の状況に応じて選定します。組立・解体には足場の組立て等作業主任者の資格が必要です。
2. 朝顔(あさがお)
足場の上部から斜め下に張り出す水平防護構造。落下物から歩行者や車両を守るために設置します。名前の由来は、朝顔の花のように斜めに開いた形状から。道路に面した場所では必須の設備で、設置が不十分だと労働基準監督署から是正勧告を受けることもあります。
3. タラップ
足場の階層間を移動するための梯子。語源は英語のtrapからきており、船のタラップと同じ意味です。専用のタラップ付きハッチを使う場合もあれば、手摺材を使用する場合など、専用の資材を使わない場合もあります。足場の組立期間中はしょっちゅう使う言葉です。同じ【タラップ】でも使う資材は状況に応じて変わるので、どんなタラップなのかを職人と擦り合わせることも必要です。私は多数の現場を見ながら、「これもタラップと呼ぶのか」と日々勉強しています。
4. 養生シート
足場の外側に張る飛散防止・目隠し用のメッシュシート。塗装工事や高圧洗浄の際に、塗料や水が周囲に飛散するのを防ぎます。風の強い日は煽られて足場に負荷がかかるので、台風前には一部を外すこともあります。近隣トラブルを防ぐ重要なアイテムです。
5. 枠組足場(わくぐみあしば)
鋼管を門型に溶接した建枠を積み上げていく足場。ビケ足場とも呼ばれます。組立が簡単で安全性が高いため、改修工事で最もよく使われます。ただし、狭小地では設置できないこともあるので、現場の状況に応じて単管足場と使い分けます。
6. 単管足場(たんかんあしば)
単管パイプとクランプ(締結金具)で組む足場。狭い場所や複雑な形状の建物でも対応できるのが強みです。ただし、枠組足場に比べて組立に時間がかかり、強度も劣るため、高層建築にはあまり使われません。職人の技量が仕上がりに影響します。とある現場では、隣地との隙間が狭い部分にのみ単管足場を併用し施工を行いました。
7. 親綱(おやづな)
墜落防止用のロープ。作業員が安全帯(フルハーネス)を引っ掛けて作業します。「親綱張っといて」は安全対策の準備をしておいてという意味。安全な作業床がない場合や、斜屋根などの不安定な屋上などでは、親綱の設置は必須です。
8. メッシュシート
足場の外周に張る防護ネット。養生シートとほぼ同じ意味で使われます。目の細かさによって飛散防止効果が変わるので、作業内容に応じて選定します。塗装工事では目の細かいものを、解体工事では丈夫なものを使うのが一般的です。施工管理の現場では、組立途中の足場に登る場合もあるのですが、このメッシュシートがあるのと無いのとでは安心感が全く違います。
9. 手すり(てすり)
足場の外側に設置する安全柵。墜落防止のための重要な安全設備です。労働安全衛生規則では、高さ85cm以上の手すりと中さんの設置が義務付けられています。手すりがない足場では絶対に作業させてはいけません。
10. 筋交い(すじかい)
足場の強度を高めるための斜材。足場が横方向に揺れるのを防ぎます。「筋交い入れといて」は足場を補強しておいてという意味。風の強い日や高層部では特に重要で、筋交いが不足していると足場が倒壊する危険性もあります。
【解体・撤去】8用語

11. 斫り(はつり)
既存のモルタルやタイル、コンクリートを削り取る作業。改修工事でも頻繁に行われる作業の一つです。「ここ斫っといて」は既存を撤去しておいてという意味。騒音や振動が大きいので、近隣への配慮が欠かせません。私がよく関わる商業施設では特に、作業時間を制限されることが多いです。
12. ハンドブレーカー
斫りに使う電動工具。通称”ブレーカー”。先端のビットを高速で打撃してコンクリートを砕きます。重さは10kg前後で、長時間使うと腕に負担がかかります。コンセント式と充電式があり、最近は充電式が増えています。
13. ガラ出し
撤去した廃材(ガラ)を集めて搬出する作業。改修工事では毎日のように発生します。「ガラ出ししといて」は廃材を片付けておいてという意味。産業廃棄物として適切に処分する必要があるので、分別が重要です。混合廃棄物になると処分費が高くなります。
14. 養生(ようじょう)
既存部分を保護する措置。テープ、シート、パネルなど、状況に応じて使い分けます。施工範囲外で既存のまま引き渡す部分を「養生しておく」という使い方。養生が不十分だと、作業中に既存部を傷つけてしまい、補修費用が発生することもあります。数年前、とある階段のウレタン防水時に、階段のアルミ手摺の養生をしなかったせいでウレタンが飛散してしまい、清掃作業で2日かかったしまった苦い思い出があります。
15. カッター切り
コンクリートを切断する作業。ダイヤモンドカッターという円盤状の刃を回転させて切断します。「カッター入れといて」は切断線を入れておいてという意味。斫りの前に切断線を入れることで、きれいに撤去できます。水を流しながら切るので、排水処理も考慮が必要。大きな音も出ます。
16. 産廃処分(さんぱいしょぶん)
産業廃棄物として処理すること。改修工事で発生する廃材は全て産廃扱いです。コンクリートガラ、木くず、金属くず、廃プラスチックなど、種類ごとに分別して処分します。マニフェスト(管理票)による追跡が義務付けられており、不法投棄すると重い罰則があります。
17. 仮置き
一時的に保管すること。「ここに仮置きしといて」は一時的に置いておいてという意味。現場が狭い場合は仮置き場所の確保が課題になります。通行の邪魔にならない場所、雨に濡れない場所など、状況に応じて判断します。
18. 搬出経路(はんしゅつけいろ)
廃材を運び出すルート。エレベーターを使うのか、階段を使うのか、外部足場から吊り下ろすのか。事前に確認しておかないと、当日になって「運び出せない」という事態になります。特にマンションの改修では、住民の動線と重ならないように配慮が必要です。商業施設の場合は数百メートルを運ぶ必要などもあり、そのための警備員を手配するなどの配慮をすることもありました。
【下地補修】10用語

19. クラック
ひび割れ。幅0.3mm未満のヘアークラックと、0.3mm以上の構造クラックに分類されます。構造クラックは建物の強度に影響するので、原因を特定して適切に補修する必要があります。雨水が浸入するとコンクリート内の鉄筋が錆びて、さらに大きなクラックになる悪循環に陥ります。
20. ジャンカ
コンクリート打設時の空隙・スカスカ状態。砂利と砂利の間にセメントペーストが充填されず、隙間ができている状態です。見た目が悪いだけでなく、強度不良の原因にもなるので、発見したら必ず補修します。打音検査では、中に空洞があるような軽い音がしたします。私が3年前に施工したタワーマンションの改修工事では、打診検査でバルコニー天井に2m×2m程度の大きなジャンカが見つかり、管理組合を通して新築業者に修繕してもらったこともありました。
21. 欠損補修(けっそんほしゅう)
コンクリート表面の穴・欠けをモルタルなどで補う作業。補修箇所が膨らむと美観不良になるので、周囲と同じ高さに仕上げるのがポイントです。
22. 鉄筋曝裂
コンクリートのクラックから水が入り込み、コンクリート内部の鉄筋が錆びてコンクリートが欠損したもの。鉄筋は錆びると約2倍の容積になります。鉄筋は最低でも3cm以上のコンクリートがかぶっているので、少なくとも3cm以上のコンクリートがぼろっと落ちることになり、かなり危険です。欠損部を綺麗にはつり取り、鉄筋に錆止めを塗布してから欠損補修します。
23. Uカット
クラックをU字型に切削して補修材を充填する方法。幅の狭いクラックに使います。切削幅は10-15mm程度が一般的。切削深さは20mm以上確保しないと、補修材が剥がれやすくなります。Vカットに比べて作業が簡単ですが、強度はやや劣ります。
24. Vカット
クラックをV字型に切削して補修材を充填する方法。幅の広いクラックや構造クラックに使います。U字型に比べて補修材が奥まで入りやすく、強度が高いのが特徴。ただし、切削に時間がかかり、廃材も多く出ます。
25. 樹脂注入(じゅしちゅうにゅう)
クラック内部に樹脂を注入して補修する方法。エポキシ樹脂を使うのが一般的です。注入器でゆっくり圧力をかけながら充填します。表面だけでなく内部まで充填できるので、構造クラックに適しています。
26. 下地調整(したじちょうせい)
表面を平滑にしたり、目荒らしすることで、仕上げ材の密着性を高める作業。もしくは、既存と新規の仕上げとの絶縁を行う作業。この工程をしっかりやるかどうかで、仕上がりの品質が大きく変わります。表面にモルタルを塗布したり、下地調整剤を塗布したり、電動工具で削ったりします。
27. 浮き
タイルやモルタルが下地から剥離している状態。打診調査で、壁の内部に空洞があるような響く音がします。放置すると落下の危険性があるので、発見したら必ず補修します。タイルの張り替えや樹脂の注入を行います。
28. 打音検査(だおんけんさ)
ハンマーで叩いて浮きや空洞を確認する検査。タイルやモルタルの全面を叩いて回ります。健全な部分は「コンコン」という高い音、浮いている部分は「ボコボコ」という低い音がします。地味な作業ですが、改修工事では欠かせない重要な検査です。
【防水工事】8用語

29. トーチ工法
バーナーで加熱しながらアスファルトシートを溶着する工法。改良アスファルトシートの裏面を炙って溶かし、下地に密着させます。火を使うので火災に注意が必要。風の強い日は作業を中止することもあります。施工が早く、防水性能が高いのが特徴です。私個人的には、仕上げの見た目が良くないので好みではないのですが、比較的改修しやすく強度がしっかりと出ます。
30. 塩ビシート
塩化ビニル製の防水シート。機械固定工法や接着工法で施工します。耐久性が高く、20年以上持つことも珍しくありません。トーチ工法に比べて火災の心配がないので、木造建築にも使えます。ただし、シート同士の接合部分(シーム)の処理が重要で、他の工法に比べて高度な技術が必要です。
31. 脱気筒(だっきとう)
下地に残った水分や空気を逃す装置。防水層の下に水分が残っていると、夏場の熱で膨張して防水層が膨れます。脱気筒はこれを防ぐための”呼吸する煙突”のようなもの。水蒸気として逃すため、水上側に設置します。通気層を挟んだ防水工法ではほぼ必ず設置するようになっています。
32. 端末処理(たんまつしょり)
防水シートの立ち上がり部分や見切り部の処理。雨水が浸入しやすい場所なので、特に丁寧に施工します。「端末処理しといて」は立ち上がり部分を仕上げておいてという意味。この処理が甘いと、後々雨漏りの原因になります。工法により施工の仕方は様々あります。
33. 絶縁工法(ぜつえんこうほう)
既存防水層と新規防水層を絶縁して施工する方法。既存防水層を撤去せず、その上に新しい防水層を重ねます。既存の動き(膨れや収縮)が新規に影響しないよう、間に絶縁シートを敷いたり下地処理を行います。撤去費用を抑えられるのでコストダウンに有効ですが、その分重量が増えるので注意が必要です。私の経験した現場では、すでに7層(約35kg/㎡)もの防水層があり、上からさらに防水することができず、一旦全部撤去したことがあります。
34. 立ち上がり
防水層を壁面に立ち上げる部分。屋上の防水は平面だけでなく、壁との取り合い部分まで防水層を立ち上げます。床面・立ち上がり面の形状によって仕上げの仕方が変わります。
35. ルーフドレン
屋上の排水口。防水の要です。ルーフドレン周りの処理が甘いと、そこから雨漏りします。防水層とドレンの接合部分は特に丁寧に施工する必要があります。詰まりやすいので、定期的な清掃も欠かせません。
36. シート防水
ゴムや塩ビ、アスファルトのシートを張る防水工法。トーチ工法、接着工法、機械固定工法など、施工方法は様々です。塗膜防水に比べて厚みがあり、耐久性が高いのが特徴。ただし、シート同士の接合部分の処理が重要で、職人の技量が仕上がりに影響します。
【シーリング】7用語

37. シール打ち
目地や隙間にシーリング材を充填する作業。サッシ周りや外壁の目地など、水が浸入しやすい場所に施工します。改修工事では既存シールを撤去してから新規シールを打つのが一般的です。
38. プライマー
下地とシーリング材の接着をよくする下塗り剤。プライマーを塗らないとシーリング材が剥がれやすくなります。塗布後、指触乾燥(触っても手に付かない状態)まで待ってからシールを打ちます。※オープンタイムを取る、とも言います
39. バックアップ材
目地底に入れる発泡材。適正な深さを保つためのスペーサーです。動きが大きい箇所(ワーキングジョイント)では、シーリング材が底面に接着すると三面接着になり、動きについていけずに破断します。バックアップ材を入れることで二面接着にして、シーリング材の伸縮性を確保します。
40. ヘラ押さえ
充填後、表面をヘラでならす仕上げ工程。シーリング材を目地に密着させ、表面を平滑に仕上げます。この工程で仕上がりの美観が決まります。ヘラの角度や力加減、仕上げるスピードに職人の技が現れます。
41. ボンドブレーカー
三面接着を防ぐためのテープ。目地底に貼って、シーリング材が底面に接着しないようにします。バックアップ材が使えない浅い目地で使用します。
42. 養生テープ
シール打ち時に周囲を保護するテープ。マスキングテープを使用するのが一般的。目地の両側に貼って、シーリング材がはみ出ないようにします。ヘラ押さえが終わったら、シーリング材が硬化する前に剥がします。
43. 目地(めじ)
部材と部材の継ぎ目部分。外壁パネルの間、サッシと壁の取り合い部分など、建物には無数の目地があります。目地はわざと隙間を作ることで、温度変化や躯体の動きによる伸縮を吸収します。その隙間をシーリング材で充填して防水性を確保します。
【塗装工事】7用語

44. ケレン
サビ・汚れを除去する下地処理。1種~4種までランクがあり、1種が最も徹底した処理です。鉄部の塗装では必須の工程で、ケレンが不十分だと古い塗膜や錆によって、新規塗膜がすぐに剥がれます。電動工具や手工具を使って、旧塗膜やサビを削り落とします。
45. 目荒らし
表面にあえて傷をつけ、塗膜との密着を良くする工程。サンドペーパーやディスクサンダーで表面を粗くします。ツルツルの面に塗装しても密着しないので、この工程は重要です。
46. 下塗り
下地と上塗り塗料の密着性を高める塗装。シーラーやフィラーなどの下地調整材を塗ります。この工程を省略すると、上塗り塗料が密着せず、すぐに剥がれてしまいます。下塗り時に特殊なローラーを使用して凹凸をつける工法もよく使われており、塗装工程の中で最も重要な工程です。
47. 中塗り/上塗り
仕上げ塗装の重ね塗り工程。耐久性に直結します。中塗りと上塗りで同じ塗料を使うのが一般的。私の現場ではほぼ必ず、わざと違う色を使用して、最終上塗りのカスレがないかのチェックをするようにしています。2回塗ることで塗膜厚を確保し、耐久性を高めます。
48. 吹付け塗装
スプレーガンで塗料を霧状にして塗布する方法。広い面積を短時間で塗装できます。外壁の模様仕上げ(リシンやスタッコ)にも使われます。ただし、飛散防止のための養生が大変で、風の強い日は作業できません。また、専用の道具を使用するため、技術も必要になります。仕上がりは美しいですが、周囲への配慮が必要です。
49. ローラー仕上げ
平滑面や細部に使う一般的な塗装手法。ローラーで塗料を塗り広げます。吹付けに比べて飛散が少なく、狭い場所でも作業できます。仕上がりは吹付けほど均一にはなりませんが、メンテナンス性が高いのが特徴。マンションの内部塗装ではローラー仕上げが主流です。
50. タッチアップ
補修塗り。塗り残しや傷部分をスポット補修したり、最終検査で見つかった不具合箇所を修正する際に使います。筆や小さいローラーで丁寧に仕上げます。
まとめ:用語を覚えることで”現場の信頼”が生まれる
改修工事は「段取り8割」と言われます。
そして段取りの大前提が「用語の理解」です。用語を知らないと、職人さんとのコミュニケーションが成立せず、段取りどころではありません。
新人でも、用語をしっかり把握しているだけで、職人や他業種のスタッフからの信頼度が大きく変わります。「意味がわかる」「指示が通る」「作業の意図がつかめる」。この記事が、その第一歩になれば嬉しいです。
私自身、入社2年目で基本用語をスムーズに使えるようになった時、ベテラン職人から「お前、分かってるな」と声をかけられたことがあります。用語を知っているだけで、現場での信頼度が格段に上がるんです。
正直なところ、最初は覚えるのが大変です。でも、実際に現場で使いながら覚えていくと、自然に身についていきます。焦らず、一つずつ確実に覚えていってください。







