改修工事の現場で使われる用語50選──初心者が最初につまずく言葉と意味を現場目線で解説

- 改修工事で実際に使われる現場用語を50個厳選
- 工程別・職種別に分類して解説
- 新人がつまずきやすい言葉の意味と背景が理解できる
はじめに:改修工事の現場では「用語の壁」が最大の障害になる
建設業における「用語」は、言葉以上の意味を持っています。特に改修工事の現場では、新築工事とは異なる専門用語が飛び交います。
「タラップ」「ケレン」「シール打ち」など、一見すると日常の日本語とは思えない単語も多く、初心者は会話にすら入れないこともしばしば。
今回は、現役の改修工事の施工管理者としての視点から、「実際に現場で使われる」用語を厳選。工程別に分類しながら、実際にどういう場面で使われるのか、どこで間違いやすいのかまで含めて、現場目線で解説します。
1. 改修工事の工程別|用語一覧表
まずは、代表的な工程ごとに出てくる用語をまとめた表です。現場での流れを思い浮かべながら読んでみてください。
工程 | よく使う用語 | 概要 |
---|---|---|
仮設・足場 | 足場・養生シート・朝顔・タラップ | 作業者や資材の安全・動線確保のために組み立てる設備 |
解体・撤去 | 斫り(はつり)・ガラ出し・ハンドブレーカー | 既存のタイルやモルタル、設備等を撤去・処分する工程 |
下地補修 | クラック・ジャンカ・欠損補修・ランデ処理 | 仕上げ前の下地を整える。仕上がりの質に直結する重要工程 |
防水工事 | トーチ工法・塩ビシート・絶縁工法・脱気筒 | 雨漏り防止のための屋上・ベランダ等の防水施工 |
シーリング | シール打ち・プライマー・バックアップ材・仕上げ処理 | サッシや外壁の目地部分をシーリング材で充填し水密性確保 |
塗装工事 | ケレン・目荒らし・下塗り・中塗り・上塗り | 美観+保護のための仕上げ塗装。密着と耐久性に影響大 |
2. 用語50選【仮設・解体編】
◆ 仮設・足場関係の用語
- 足場:作業員が移動・作業するために仮設される構造物
- 朝顔:落下防止用の水平防護構造。ビルの高層現場で必須
- タラップ:仮設階段・梯子。足場間の移動に使用
- 養生シート:飛散防止・目隠し用に足場外側に設置されるメッシュシート
◆ 解体・撤去系の用語
- 斫り(はつり):既存のモルタルやタイル、コンクリートを削り取る作業
- ハンドブレーカー:斫りに使う電動工具。通称“ブレーカー”
- ガラ出し:撤去した廃材を集めて搬出する作業
- 養生:既存部分を保護する措置。テープ・シート・パネルなど多様
3. 用語50選【下地・補修編】
◆ 下地補修系の用語
- クラック:ひび割れ。ヘアークラック/構造クラックに分類
- ジャンカ:コンクリート打設時の空隙・スカスカ状態
- 欠損補修:コンクリート表面の穴・欠けをモルタルなどで補う作業
- ランデ処理:段差を平滑にする処理。塗膜やシートの密着性に重要
◆ よくある注意点
- “ジャンカ”は目視で判断しにくいことも。試験ハンマー等も活用
- クラック補修はUカット・Vカットなど、形状選定に注意が必要
- 補修跡が膨らむと「美観不良」として是正対象になりやすい
4. 用語50選【シーリング・防水編】
◆ シーリング工事の用語
- シール打ち:目地や隙間にシーリング材を充填する作業
- プライマー:下地とシーリング材の接着をよくする下塗り剤
- バックアップ材:目地底に入れる発泡材。適正な深さを保つ
- ヘラ押さえ:充填後、表面をヘラでならす仕上げ工程
◆ 防水工事の用語
- トーチ工法:バーナーで加熱しながらアスファルトシートを溶着
- 塩ビシート:塩化ビニル製の防水シート。機械固定工法などで使われる
- 脱気筒:下地に残った水分や空気を逃す装置。膨れ防止に重要
- 端末処理:シートの立ち上がり部分や見切り部の処理
5. 用語50選【塗装・仕上げ編】
◆ 塗装工事の基本用語
- ケレン:サビ・汚れを除去する下地処理。1種~4種までランクあり
- 目荒らし:表面にあえて傷をつけ、塗膜との密着を良くする工程
- 下塗り:下地と上塗り塗料の密着性を高める塗装
- 中塗り/上塗り:仕上げ塗装の重ね塗り工程。耐久性に直結
◆ 特殊塗装・現場用語
- 吹付け塗装:スプレーガンで塗料を霧状にして塗布する方法
- スタッコ:厚塗り模様の塗装仕上げ。凹凸あるデザイン
- ローラー仕上げ:平滑面や細部に使う一般的な塗装手法
- タッチアップ:補修塗り。塗り残しや傷部分をスポット補修
塗装工事は“見た目”だけでなく、密着・防水・劣化防止と多くの機能を持ちます。だからこそ、下地処理と材料選定は超重要です。
6. よくある誤解・間違いランキングTOP5
間違えやすい用語 | 誤解されがちな意味 | 正しい理解 |
---|---|---|
ケレン | ただの掃除・拭き取り | サビや旧塗膜を削って除去する下地処理 |
打設 | コンクリを「打ち込む」 | 実際は「流し込む」作業。振動棒で締固めもセット |
養生 | 濡らして湿らせること? | 既存部を守るためのカバー・保護処置 |
墨出し | 設計図を書く作業? | 現場に実寸のラインを引く作業 |
ジャンカ | 見た目が悪いだけ | 強度不良になる重大な打設不良 |
7. まとめ:用語を覚えることで“現場の信頼”が生まれる
改修工事は「段取り8割」と言われます。その中で最も重要なのが、現場で使われる共通言語──つまり“用語の理解”です。
新人でも、用語をしっかり把握しているだけで、職人や他業種のスタッフからの信頼度が大きく変わります。
「意味がわかる」「指示が通る」「作業の意図がつかめる」。この記事が、その第一歩になれば嬉しいです。
PDF化や印刷してポケットに忍ばせておくのもおすすめ。現場で言葉につまずかないことで、対応スピードと自信がグンと上がります。