施工管理の業務内容完全ガイド – 安全・工程・品質・原価管理の実務

この記事を書いた人

建築施工管理技士/宅地建物取引士/Webエンジニア
・2級建築施工管理技士(取得年:2024年)
・宅地建物取引士(取得年:2020年)
・改修工事施工管理歴:6年(2018年〜現在)
・商業施設改修・修繕200件、マンション大規模修繕15棟
・不動産業務経験:買取再販・売買仲介 3年
・Mac活用13年

現場で気持ちよく働く現場作業員のイラスト
この記事でわかること
  • 施工管理4大業務(安全・工程・品質・原価)の全体像
  • 改修工事と新築工事の施工管理の違い
  • 商業施設とマンション改修での管理手法の差
  • 各業務の詳細は個別の専門記事で解説
  • 現場経験6年の施工管理者が語るリアルな実務

「施工管理って、結局何をする仕事なの?」

私が改修工事の施工管理を始めて6年になりますが、今でもこの質問をよく受けます。
商業施設の改修100件、マンションの大規模修繕15棟を経験してきた中で、施工管理の仕事は「現場の全てに責任を持つこと」だと実感しています。

施工管理の業務は「安全管理」「工程管理」「品質管理」「原価管理」の4つに分類されます。
この4つは単独で機能するものではなく、お互いに影響し合いながら工事全体を支えています。

例えば、安全対策を強化すると工程に影響が出る。
品質を上げるとコストが増える。このバランスを取るのが、施工管理者の腕の見せ所です。

正直に言うと、新人の頃は「安全第一って言うけど、工期も守らないといけないし、矛盾してない?」と感じていました。
しかし経験を積むうちに、この4つの管理をバランス良く回すことこそが施工管理の本質だと理解できるようになりました。

施工管理とは?4大業務の全体像

施工管理とは、建設工事の現場技術者を指揮監督し、工事全体を管理することです。
設計図通りに、決められた工期内で、契約金額の範囲内で、安全に工事を完成させる——これが施工管理者の最大の使命です。

特に改修工事では、新築工事と異なり「居住者や利用者がいる環境」での作業が前提となります。
商業施設なら営業しながら、マンションなら住民が生活しながらの工事。この環境で4つの管理業務を高い水準で実現しなければなりません。

施工管理4大業務の相互関係

私が新人の頃に先輩から教わった言葉があります。
「施工管理は綱渡りだ。安全・工程・品質・原価、どれか一つに偏ったら落ちる」。
まさにその通りで、4つの管理は常にトレードオフの関係にあります。

例えば、私が担当した築30年のマンション大規模修繕では、居住者の安全を最優先にしたため、バルコニー工事の作業時間を1日6時間に制限しました。
その結果、当初予定より工期が2週間延びる計算に。
しかし、工区分割と作業員の増員で調整し、最終的には予定通りに完成させることができました。

ぱんたロイド
施工管理の4大業務は「どれも大事」じゃなくて「全部同時に大事」なんです。一つを優先しすぎると他に影響が出る。このバランス感覚が施工管理者に求められる最も重要なスキルですね。

安全管理:現場の全員を守る最優先業務

改修工事施工管理 安全管理についてのイラスト

施工管理の中で最も優先度が高いのが安全管理です。
作業員の安全はもちろん、改修工事では居住者や施設利用者、通行人といった第三者の安全も守らなければなりません。

改修工事特有の安全管理

新築工事との最大の違いは「一般の人がいる環境で工事をする」こと。
私が経験した中で最も神経を使ったのは、大型ショッピングセンターの営業中の外壁改修工事でした。

毎日2万人が来店する施設で、足場から工具が落下したら大事故になります。
そのため、二重ネットの設置、工具の落下防止装置、作業エリアの完全な区画分け、専任の安全監視員の配置など、通常の工事の3倍以上の安全対策を講じました。
コストは増えましたが、事故ゼロで完工できたことは大きな自信になりました。

安全管理の基本3原則

私が現場で実践している安全管理の基本は以下の3つです:

  • 予測する – 「もしかしたら」を常に考える危険予知活動
  • 対策する – 予測した危険に対して具体的な対策を実施
  • 確認する – 毎日の安全パトロールで対策の有効性をチェック
安全管理の詳細はこちら

居住者配慮の具体的な方法、商業施設での安全対策の実例、マンション改修での安全管理手法、朝礼・安全パトロールの実務など、安全管理について詳しく解説しています。

【改修工事の施工管理①】安全管理完全ガイド

工程管理:決められた工期を守る計画力

改修工事施工管理 工程管理についてのイラスト

工程管理は、工事を計画通りに進めるための管理業務です。
ただし改修工事では、新築工事のように「とにかく早く」というわけにはいきません。
居住者や利用者の生活・営業への影響を最小限に抑えながら、工期を守る必要があります。

商業施設のリニューアル工程管理

商業施設のリニューアルで最も厳しいのは「オープン日が絶対に動かせない」こと。
広告宣伝がすでに始まっているため、1日遅れるだけで莫大な損失になります。

私が担当したあるショッピングセンターの外装リニューアルでは、台風で5日間作業ができず、工程が大幅に遅れました。
しかしリニューアルオープン日は変更不可。
そこで、夜間作業の追加、作業員の増員、工程の並行化で対応し、何とか予定より2日早く完成させることができました。
追加コストは発生しましたが、オープン日を守れたことで施主から高く評価されました。

工程管理で考慮すべき要素

改修工事の工程管理では、以下の要素を総合的に判断します:

  • 天候 – 外装工事は天候に大きく左右される(梅雨時期は要注意)
  • 作業員の確保 – 職人不足の現在、スケジュール調整が最重要
  • 居住者・利用者への配慮 – 作業時間の制限、バルコニー解放のタイミング
  • 材料の納期 – 特注品は2-3ヶ月かかることも
工程管理の詳細はこちら

外装改修工事の効率的な工程管理手法、商業施設のリニューアル工程計画、マンション改修でのバルコニー解放を重視した工程組み、天候・作業員数を考慮した実践的スケジューリング、デジタルツールを活用した最新工程管理手法など、工程管理について詳しく解説しています。

【改修工事の施工管理②】工程管理完全ガイド

品質管理:契約通りの品質を確保する

改修工事施工管理 品質管理についてのイラスト

品質管理は、契約で定められた品質基準を満たす工事を実現するための管理業務です。
材料の納入から施工、完成まで、各段階で適切な検査と確認を行います。

改修工事の品質管理の難しさ

改修工事の品質管理で最も難しいのは「既存建物との取り合い」です。
新築工事なら全てが新しい状態からスタートしますが、改修工事では既存部分の劣化状態がバラバラ。

私が経験した築40年のマンション外壁改修では、試し塗りをした時点で既存コンクリートの劣化が予想以上に進んでいることが判明しました。
当初計画していた塗装仕様では密着性が確保できないため、下地補強材の追加が必要に。設計者・施主と協議し、仕様変更と追加費用の承認を得て、最終的には高品質な仕上がりを実現できました。

品質管理の3段階チェック

品質を確保するため、以下の3段階でチェックを行います:

  1. 材料納入時 – 規格書・品質証明書の確認、数量チェック
  2. 施工中 – 施工要領書通りの作業実施確認、膜厚・寸法測定
  3. 完成後 – 自主検査、施工管理者検査、監理者検査、施主検査
ChatGPT活用
品質管理で一番大切なのは「予防」です。完成後に不具合が見つかると、やり直しに膨大な時間とコストがかかります。各段階での確実なチェックが、結果的に工期もコストも守ることにつながるんです。
品質管理の詳細はこちら

材料検査の具体的方法、施工中の品質確認ポイント、完成検査の進め方、品質不良時の対応手順、改修工事特有の品質管理の課題など、品質管理について詳しく解説しています。

【改修工事の施工管理③】品質管理完全ガイド

原価管理:収益を確保する経営視点

改修工事施工管理 原価管理についてのイラスト

原価管理は、工事の収益性を確保しながら、下請業者への適正な支払いを管理する業務です。
施工管理者は技術者であると同時に、経営的な視点も求められます。

原価管理の基本式

原価管理の基本は以下の式で表されます:

利益 = 契約金額 – (材料費 + 労務費 + 経費)

この式を見ると簡単そうですが、実際の現場では様々な変動要因があります。
材料価格の高騰、想定外の追加作業、天候による工期延長など、当初計画通りに進むことはほぼありません。

長期工事における資金繰り管理

私が担当した1年間のマンション大規模修繕工事では、月次の出来高管理と支払いスケジュールの調整が非常に重要でした。

工事開始3ヶ月目、材料価格が急激に上昇。
このまま進めると赤字になる計算でしたが、施主との協議で材料費の一部を追加変更として認めてもらい、何とか収益を確保できました。
この時、日々の原価管理と記録の重要性を痛感しました。根拠となるデータがなければ、追加費用の交渉もできません。

変更工事の原価管理

改修工事では、既存建物を開けてみないと分からないことが多く、変更工事が頻繁に発生します。変更工事の原価管理で重要なのは:

  • 根拠の明確化 – なぜ変更が必要か、写真や図面で説明
  • 見積もりの妥当性 – 材料費・人件費の適正な積算
  • 承認の記録 – 施主・監理者の承認を文書で残す
原価管理の詳細はこちら

原価計算の具体的方法、長期工事の資金繰り管理、変更工事の適切な原価管理、材料価格変動への対応、下請業者との適正な契約管理など、原価管理について詳しく解説しています。

【改修工事の施工管理④】原価管理完全ガイド

4つの管理業務をバランス良く回すコツ

改修工事の4原則をバランスよく回す

ここまで4つの管理業務を個別に説明してきましたが、実際の現場ではこれらが同時に進行します。
私が6年間の経験で学んだ、バランスの取り方のコツをお伝えします。

優先順位の基本は「安全→品質→工程→原価」

理想を言えば4つ全てを完璧にこなしたいところですが、現実はそう甘くありません。トレードオフの関係にある時、私は以下の優先順位で判断しています:

1位: 安全管理 – 事故が起きたら全てが止まる
2位: 品質管理 – 完成後のやり直しは莫大なコスト
3位: 工程管理 – 工期遅延は信用を失う
4位: 原価管理 – 利益が減っても完成させることが最優先

ただし、これはあくまで「究極の選択」をする時の順位。普段は4つのバランスを常に意識して、どれか一つに偏らないよう調整しています。

デジタルツールで効率化する

現代の施工管理では、デジタルツールの活用が効率化の鍵です。私が実際に使っているツール:

  • 工程管理 – Microsoft Project、Googleカレンダー
  • 品質管理 – iPad + Apple Pencilで現場写真に直接指示
  • 原価管理 – Excel + 建設業向け原価管理ソフト
  • 安全管理 – 現場管理アプリで日報・事故報告を一元管理

これらのツールを使うことで、これらのツールを使うことで、管理業務の時間が大幅に削減できました。
空いた時間で現場の確認や職人とのコミュニケーションに使えるため、結果的に工事の品質向上につながっています。

現場あるある
デジタルツールは便利ですが、最終的には「人」が判断します。ツールに頼りすぎず、自分の目で現場を見て、職人と話して、状況を把握する。このアナログな部分も施工管理には欠かせません。

商業施設とマンション改修での管理の違い

私は商業施設とマンションの両方を経験していますが、同じ改修工事でも管理のポイントが大きく異なります。

商業施設改修の特徴

最優先事項: 営業への影響を最小限にすること
工程の特徴: リニューアルオープン日が絶対期限
作業時間: 夜間作業が中心、騒音・臭気対策が重要
安全管理: 来店客の安全確保、動線の確保

マンション改修の特徴

最優先事項: 居住者の生活への配慮
工程の特徴: バルコニー解放を最優先、工区分割で影響分散
作業時間: 日中作業が基本、騒音・振動の時間制限
安全管理: 居住者の安全、避難経路の確保

どちらも「人がいる環境での工事」という点では共通していますが、配慮すべきポイントが異なります。
現場の特性を理解し、適切な管理手法を選択することが成功の鍵です。

まとめ:施工管理4大業務の本質

改修工事の施工管理を6年間経験してきて、最も実感していることがあります。
それは「施工管理は綱渡りのようなバランス感覚が求められる仕事」だということ。

安全を最優先にしながら工期を守り、品質を確保しながらコストを管理する。
この4つの管理業務をバランス良く回すことが、施工管理者の最も重要な役割です。

新人の頃は「全部完璧にやらなきゃ」とプレッシャーを感じていましたが、経験を積むうちに「完璧を目指しつつ、現実的な判断をする」という考え方に変わりました。現場は生き物。
毎日変化する状況に対応しながら、最善の判断を積み重ねていく——それが施工管理の醍醐味だと感じています。

施工管理シリーズ 全4記事

これから施工管理を目指す方、現在従事されている方の参考になれば幸いです。
各業務の詳細は個別の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

プロフィール用
施工管理は責任が重く、ストレスも多い仕事です。
でも、完成した建物を見る達成感は格別。
日々の地道な管理業務の積み重ねが、最終的に大きな成果につながります。一緒に頑張りましょう!

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