雨漏りは“屋根”からとは限らない──意外な原因4つ
2025年6月1日

「天井から水が…」「壁にシミが…」といった雨漏りトラブル。まず思い浮かぶのは“屋根の劣化”かもしれません。
しかし、現場で何度も修繕に立ち会ってきた経験から言えるのは、雨漏りの原因は屋根だけじゃないということです。
たとえば、以前担当した築30年のマンションでは、屋根修繕を2回しても雨漏りが止まらず──最終的な原因は「ベランダの防水層の破損」でした。
この記事では、現場で実際に見られた「屋根以外が原因だった雨漏り」の事例をもとに、見落としがちな4つの原因とその見分け方をわかりやすく解説いたします。
1. サッシまわりの隙間やコーキング劣化
窓枠(サッシ)まわりは、建物の中でも特に雨風の吹き込みが強く、劣化しやすい箇所です。
- コーキング(シーリング材)がひび割れている・剥がれている
- 古いアルミサッシで気密性が低い
- 台風や強風時に横殴りの雨が当たる場所にある
こうした状況では、室内側のサッシ下部や壁に縦筋のシミが出ることがあります。「屋根を直したのに直らない雨漏り」は、実はこのサッシ周辺が原因だったというケースが少なくありません。
2. 外壁のひび割れ・塗膜劣化
「屋根が綺麗に見えるのに雨漏りが…」という時、見逃されがちなのが外壁のクラック(ひび割れ)や防水塗膜の劣化です。
- ヘアクラック(髪の毛のような細いひび)がある
- 目地のシーリングが収縮・破断している
- 塗装が粉をふいたようになる(チョーキング現象)
こうした外壁の劣化から雨水がじわじわと浸入し、壁内部の断熱材や木材を濡らして腐食やカビの原因となることも。
3. バルコニーの排水・防水層の劣化
「屋根じゃないのに階下の天井に雨染みが…」という時、バルコニーが原因だったということもよくあります。
- 排水口(ドレン)に枯れ葉やゴミが詰まっている
- 防水層が膨れたり、ひびが入っている
- 水たまりができてなかなか引かない
築10年以上の物件では、防水層が経年劣化していることも多く、目視では異常が見つからないこともあるため要注意です。
4. 設備配管・ダクト・エアコン周辺の水滴や結露
意外な落とし穴として多いのが、配管まわりからの漏水やエアコンの結露による水滴です。
- エアコンの下から水がポタポタ垂れてくる
- 天井裏の点検口まわりに水染みが出ている
- ダクト内部に溜まった結露水が落ちてくる
これらは雨漏りと間違えやすいですが、実際には配管や空調設備の問題であることもあります。見極めにはプロの点検が必要です。
“原因の決めつけ”こそが最悪のパターン
「屋根を直せば解決するはず」と思い込み、工事をしても改善されず──結果、余計な費用と時間だけがかかってしまうという失敗例も多くあります。
信頼できる業者であれば、赤外線カメラや散水試験で浸水ルートを特定し、最小限の工事で原因をピンポイント修正することが可能です。
まとめ:雨漏りの原因は「複合的」に疑え
今回ご紹介したように、雨漏りの原因は必ずしも屋根とは限りません。特に以下の4つはチェック必須です:
- サッシや窓まわりのコーキング劣化
- 外壁のひび割れ・塗膜の劣化
- バルコニーの排水・防水層
- 配管・エアコンまわりの結露や漏水
「まずは屋根から」と思い込む前に、全体を見渡す視点がとても重要です。
最短で解決するには、原因の仮説を複数立ててから点検・修繕に進むのがもっとも効率的です。