ChatGPT×建設業──議事録・報告書・工程表作成の時短術

この記事を書いた人

建築施工管理技士/宅地建物取引士/Webエンジニア
・2級建築施工管理技士(取得年:2024年)
・宅地建物取引士(取得年:2020年)
・改修工事施工管理歴:6年(2018年〜現在)
・商業施設改修・修繕200件、マンション大規模修繕15棟
・不動産業務経験:買取再販・売買仲介 3年
・Mac活用13年

ChatGPTを利用して資料を作成する現場監督のイラスト
この記事でわかること
– 建設現場でのChatGPT具体的活用方法
– 議事録・報告書作成の劇的な時短テクニック
– 工程管理・安全管理へのAI活用法
– 実際の入力例と出力結果のサンプル
– 情報セキュリティと注意すべきポイント

「建設業にAIなんて関係ない」

正直、私も最初はそう思ってました。現場仕事にコンピューターが何を手伝ってくれるというのか、と。でも実際に使ってみて分かったのは、現場でこそ活きるのがChatGPTのようなAIツールだということです。

改修工事や大規模修繕工事において、実際に施工管理の仕事でChatGPTを使っている経験から言えるのは、AIは現場作業を代替するのではなく、事務作業の効率化に絶大な効果を発揮するということ。

特に施工管理の現場って、工事の半年以上前から工事完了後2ヶ月ほどまで、ひたすら書類作成が続くんです。会社によってある程度フォーマット化されている場合が多いんですが、それを一通り目を通しながら、過去の現場の書類と今回の現場の資料や状況を見比べて、必要な情報を書き換えたり書き足したり…これだけでもすごく時間がかかります。

必要な情報を整理する作業はAIを活用するとかなりの時短になるんです。空いた時間を活用して、品質管理、住人対応、安全対策などをしっかりしていく。早く帰って休みをしっかりとる。そんな施工管理をしていくことが大事だと思うんです。

建設業界では深刻な人手不足が続いており、2024年の建設業就業者数は477万人と、1997年のピーク時(685万人)から約30%減少しています。2025年には約128万人の労働者が不足すると予想され、働き方改革と業務効率化が急務です。


議事録作成で夜中まで残業していた日

ChatGPTを利用して資料を作成する現場監督のイラスト

数年前、大規模修繕工事の現場でのことでした。元請、電気業者、設備業者、防水業者が集まる定例会議。2時間の打ち合わせで、手書きのメモがA4用紙3枚分。正直なところ、自分の字で何を書いたか分からない部分もあった。

その後数日は別現場のトラブル等があったため、議事録を作成することができず、翌週に議事録を作成しようとしました。メモを見返したら、電気業者の発言が「照明納期7/1?7/15?」と読めない。防水業者の変更提案も「既存防水○○工法→△△工法、理由は…」と途中で途切れている。

結局、その日は夜11時まで残業。各業者に電話で確認しながら議事録を作成しました。もちろんメモの取り方や議事録作成タイミングなど、改善する部分こそ他にもたくさんありますが、「もっと効率的な方法ないかな」と思って調べていたら、文字起こしツールとChatGPTの組み合わせに辿り着いたんです。

PLAUD NOTEで議事録作成が劇的に変わった

私が現在使用しているのは、PLAUD NOTEという商品です。会議を録音するだけで、テキストへ文字起こしもしてくれて、発言者を区別し、要約もしてくれるツール。

最初は半信半疑でした。でも、実際に使ってみたら驚きました。会議の内容がほぼ完璧にテキスト化されている。聞き逃した部分も、録音を聞き返せば確認できる。

そのテキストをChatGPTに入れて、「この内容を議事録形式にまとめてください」と指示したら、きれいな議事録のひな形が出てきたんです。もちろん、細かいニュアンスは手直しが必要だったけど、ゼロから作るのと比べたら雲泥の差。

以前は2時間の会議に対して3時間の議事録作成時間がかかっていたのが、今は1時間で済むようになりました。

ぱんたロイド ChatGPT活用
文字起こしはAIの得意分野。現場用語が多少混ざっても、大枠は理解してくれるからけっこう頼りになります。

ChatGPTの具体的活用方法

ChatGPTを活用して報告書・作業日誌・工程表などの書類を作成する

報告書・作業日誌の作成

工事報告書や作業日誌も、ChatGPTが得意とする分野です。要点を箇条書きして入力すれば、フォーマットに沿った文書として整えてくれます。

以前は、作業日誌を書くのに毎日30分くらいかかっていました。でもChatGPTを使うようになってから、箇条書きのメモを入れるだけで、きちんとした文章に仕上げてくれる。

入力例:「日付:2025年6月12日(木)、作業内容:外壁高圧洗浄・防水プライマー塗布、天候:晴れ、問題点:特になし」

出力例:「2025年6月12日(木)、外壁全面の高圧洗浄を実施。乾燥確認後、防水プライマーを下塗りとして塗布。天候は晴れで作業は順調に進行し、特段の問題は確認されなかった」

工程表の草案作成

工程表のたたき台を作るときにもChatGPTは便利です。正直なところ、工程表作成って結構面倒な作業なんです。

「外壁塗装工事(足場→洗浄→下地補修→塗装3工程→検査)の工程表を、7月中に完了させるスケジュールで組んでください」と入力したら、足場組立2日(7/1-7/2)、高圧洗浄1日(7/3)で乾燥期間2日必要、下地補修3日(7/6-7/8)…という具合に、合理的な作業順とスケジュール案を出してくれます。

もちろん、現場の状況によって調整は必要です。近隣への配慮、梅雨時期、台風シーズンなど、細かい条件も指示に含めれば考慮してくれます。あくまで参考程度ですが、必要な情報を揃えてくれるツールとして使うのがいいと思います。

安全掲示物の作成

施工管理で地味に面倒なのが、安全関連の書類や掲示物。過去の資料を探してコピペして、という作業が意外と大変です。

ChatGPTに「A4サイズで改修工事現場の熱中症対策掲示物の文章を作成してください」と指示してみたら、「水分補給は30分ごとに」「休憩は日陰で」「体調不良時はすぐに申告」といった内容が、分かりやすくまとまった文章で出てきました。

実際にその掲示物を現場に貼ったら、職人さんから「前より分かりやすいね」と言われました。過去の掲示物は文字が小さくて読みにくかったんですが、AIで作り直したものは文字サイズも適切で、ポイントが絞られていて読みやすかったようです。

施主様への進捗報告メール

施主様への進捗報告メール。これも毎週書くのが結構大変な作業です。現場作業で疲れた後に、パソコンの前で「えーと、どう書こうか」って考えるのって、正直しんどいんです。

ChatGPTを使うようになってから、箇条書きのメモを「施主様への進捗報告メールを丁寧な文体で作成してください」と指示するだけで、きちんとしたメールが出来上がります。工事名、今週の実績、来週の予定、注意事項、完成予定を箇条書きで入力すれば、「いつもお世話になっております。外壁改修工事の進捗をご報告させていただきます」という書き出しから始まる、丁寧なメールになるんです。

ある時、施主様から「いつも分かりやすい報告をありがとうございます」とお礼のメールをいただきました。分かりやすい報告ができるようになったのは事実。施主様の満足度も上がって、信頼関係も築けるようになりました。


絶対に守るべきセキュリティルール

ChatGPTを利用する際のセキュリティルールについて

ここまでChatGPTの便利さを話してきましたが、気をつけないといけないことがあります。それが情報セキュリティです。

個人情報や現場の機密は絶対に入力してはいけません。顧客の氏名・住所・電話番号、契約金額・見積詳細、図面・設計情報、他社の機密情報、社内の人事・給与情報。これらは絶対にNG。

私が気をつけているのは、企業名・現場名は伏字や仮名を使用すること。「A社マンション」とか「B工務店」とか。数値情報は概算値や範囲で表現します。「約100万円」とか「50-80㎡」とか。

最終チェックも必須です。事実と異なる情報が出力されることがあるから。専門用語や現場独自の事情は、丁寧に説明しないと誤解された出力になることがあります。

絶対に入力してはいけない情報:
– 顧客の個人情報(氏名・住所・電話番号等)
– 契約金額・見積詳細
– 図面・設計情報
– 他社の機密情報
– 社内の人事・給与情報

まとめ:ChatGPTは「現場の書類係」になる

AIを活用して現場管理をする人のイラスト

現場で一番時間を取られるのは、意外と「書類作成」や「報告のための文章」だったりします。

ChatGPTは、そうした煩雑な事務作業を減らす強力なツール。議事録、報告書、工程表、注意書き、メール文面──書くのが面倒なものほど、AIに任せればスピードも精度もアップします。

建設業界の現状を見ると、2024年には就業者数477万人(ピーク時から約30%減)、55歳以上が約37%を占める高齢化という課題があります。AIツールの活用は業界の働き方改革に不可欠な要素です。

AIは作業の代替ではなく、効率化のパートナー。人間の判断力・専門性とAIの処理能力を組み合わせることで、時短により生まれた時間を付加価値の高い業務に活用できます。

今後、建設業でもAIの活用が当たり前になる日が来るでしょう。その第一歩として、ChatGPTを「書類の時短ツール」として使ってみてはいかがでしょうか。重要なのは、AIを恐れるのではなく、適切に活用することで、より価値の高い業務に集中できる環境を作ること。

まずは小さな業務から始めて、徐々に活用範囲を広げていくことをお勧めします。きっと、想像以上の効果を実感できるはずです。

ぱんたロイド ChatGPT活用
現場でバタバタしてるときこそ、書類を片付けてくれるAIのありがたみが身に沁みます。時間が生まれれば、その分現場に集中できる。早く帰れる。書類作成で遅くまでかかる、なんていつまでもやっていていい業界ではありません。

本記事の一部画像はAIによる自動生成(ChatGPT・DALL·E)を使用しています。著作権上問題のない範囲で掲載しています。
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