2026年不動産は調整局面へ?宅建士が市場動向と建物劣化から見た買い時

この記事でわかること
- 住宅ローン減税延長と2026年の市場予測
- 社会保険料の上昇が購買力にどう響くか
- 施工管理者が現場で見てきた建物劣化の見抜き方
- 2026年、買うか売るか迷ったときの判断基準
2026年、住宅ローン減税は延長される方向で動いています。ただ、社会保険料が引き上げられるため、手取りは実質的に減ります。
外国人の購入規制もいまだ実施されておらず、都心の価格が落ちる気配はありません。
宅建士として買取再販や仲介の取引を何件か経験してきましたが、つくづく思うのは、暴落を待つよりも怖いのは「買ってはいけない物件を高値でつかむこと」だということです。
2026年の不動産市場がどう動きそうなのか。宅建士と施工管理者、両方の目線から買い時・売り時の判断材料を整理していきます。
2026年の不動産市場で起きる4つの変化

2025年末に発表される令和8年度税制改正大綱で正式に決まる話ではありますが、国土交通省はすでに住宅ローン減税の3年延長を税制改正要望に盛り込んでいます。
業界紙では5年延長という報道も出ており、2025年末で制度が打ち切られる可能性はかなり低いと見ています。
住宅ローン減税は延長される見込み
現行制度では、子育て世帯や若い夫婦に対して借入限度額が500万円から1,000万円上乗せされます。この措置も継続の方向です。
住宅価格が上がり続けている中で、税制面で購入を後押しする姿勢を政府は崩していません。
自分が担当してきた取引を振り返ると、ローン減税があるかないかで購入の決断が変わるケースは少なくありませんでした。
延長が決まれば、2026年も一定の購入需要は続くでしょう。
社会保険料が月500円増、実質の手取りは減る
一方で見落としがちなのが、2026年からスタートする子ども・子育て支援金制度にともなう社会保険料の引き上げです。
月額で約500円、年間にすると6,000円の負担増になります。
年収400万円の会社員なら、社会保険料はすでに年間約60万円。そこにさらに6,000円が乗ってきます。
加えて、金融機関の担当者から聞いた話では、変動金利も今後は段階的に上がっていく見通しとのこと。
試しに計算してみると、3,000万円のローンで金利が0.5%から1.0%に上がると、月々の返済額は約8,000円増えます。
社会保険料の負担増と合わせれば、住宅にかけられるお金はじわじわ減っていく計算です。
外国人の購入規制はまだ実施されていない
外国人による不動産購入を規制すべきだという声は前々からありますが、2025年時点で実質的な規制は動いていません。
安全保障の観点から重要土地等調査法が話題に上ることはあるものの、購入そのものを止める内容ではないのが実情です。
自分が携わった取引でも、都心マンションに対する外国人投資家の動きは依然としてあります。
規制強化の議論は続いていますが、法律として形になるまでにはまだ時間がかかりそうです。
二極化、三極化がさらに進む
これらの要因を合わせて考えると、2026年の不動産市場は二極化、三極化が一段と進むと見ています。
| 層 | エリアの特徴 | 2026年の予測 |
|---|---|---|
| 上位2割 | 都心・駅徒歩5分以内の好立地 | 高止まりが続く(±0〜+5%) |
| 中間層 | 郊外・駅徒歩10分以上 | じわじわ下がる(-5〜-10%) |
| 下位2割 | 地方・管理が行き届いていない物件 | 下落が加速(-15〜-20%) |
この傾向はもう何年も前から始まっています。
自分が仲介した23区内の駅近物件は即日申し込みが入り、値引き交渉の余地すらありませんでした。
反対に、郊外で駅から遠い物件は3ヶ月以上動かないケースが目に見えて増えています。
建物の劣化から見た「買っていい物件」と「やめたほうがいい物件」

ここからは施工管理者としての話です。価格が適正に見えても建物がボロボロなら意味がありません。正直なところ、ここが一番見てほしいポイントです。
避けるべき物件に共通する5つの特徴
マンション大規模修繕を何棟も担当してきた経験上、手を出してはいけない物件にはパターンがあります。
| 避けたい特徴 | 何が問題か | 費用リスク |
|---|---|---|
| 築30年以上で大規模修繕が未実施 | 外壁のひび割れ、防水層の劣化、鉄部のサビなど目に見える傷みが進んでいる | 1戸あたり100万円以上 |
| 修繕積立金が月額1万円以下 | 大規模修繕の費用が足りず、住民から一時金を集めるしかなくなる | 50万円〜100万円の一時金 |
| 配管が鉄管のまま(築25年以上) | 内部の腐食が始まっている可能性が高く、5年以内に全面交換を迫られる | 1戸あたり80万円〜150万円 |
| 共用部にひび割れや雨漏りの跡がある | 構造に問題を抱えている恐れがあり、鉄筋が錆びているケースもある | 100万円〜200万円 |
| 管理組合が機能していない | 総会に人が集まらない、理事のなり手がいない、修繕計画が立てられない | 将来的に大きな費用負担 |
築30年前後の物件には落とし穴がある
価格が手頃に見える築30年前後の物件は、ちょうど大規模修繕の時期と重なります。
購入前に修繕履歴と今後の修繕計画は必ず確認してください。
積立金が足りていない物件だと、購入後すぐに数十万円の一時金を求められることも珍しくありません。
買っても安心できる物件の5つの特徴
逆に、買って後悔しにくい物件にも共通点があります。
| 安心できる特徴 | なぜいいのか | 資産価値 |
|---|---|---|
| 駅徒歩5分以内 | 立地だけは後から変えようがない。多少高くても資産価値は落ちにくい | 高 |
| 修繕履歴がしっかりしている | 10年ごとに大規模修繕が行われ、長期修繕計画も明確。管理組合がきちんと動いている | 高 |
| 配管交換が済んでいる | 築20〜30年の間に交換済みなら、今後10〜15年は大きな出費が発生しにくい | 中〜高 |
| 管理費・修繕積立金が適正額 | 修繕積立金は1平米あたり月額200〜300円が目安。70平米なら月額1.4〜2.1万円ほど | 高 |
| 管理組合の活動が活発 | 総会の出席率が高く、理事会も定期的に開かれている。長い目で見て安心感がある | 高 |
狙い目は築15年から20年の中古
大規模修繕が一度終わっていて、配管交換も済んでいる物件は狙い目です。
新築より2,000万円から3,000万円安く手に入り、建物の状態も良好なケースが多いです。
実例 築25年マンションが1,000万円下がった話

昨年、神奈川県某市にある駅徒歩12分のマンションでこんなことがありました。
2024年の春、売主は8,000万円で売りに出しました。周辺相場から見ればおかしくない価格です。
ところが、3ヶ月経っても買い手がつきません。
宅建士として仲介に入る中で、内覧に来た買主候補は何人もいましたが、全員が購入を見送りました。
理由を聞くと、建物の状態への不安と、今後の修繕費用が読めないという声がほとんどでした。
そこで施工管理者の目で建物を見てみると、いくつか問題が見えてきました。
まず、築25年で大規模修繕が一度も行われていません。
外壁には幅3ミリを超えるひび割れが複数あり、バルコニーの防水層も傷んでいました。
修繕積立金は月額8,000円。国土交通省の目安ではこの規模なら月額2万円程度は必要で、明らかに足りていません。
さらに配管は鉄管のまま。築25年ならすでに腐食が始まっていてもおかしくなく、5年以内には全面交換が避けられない状態でした。
この状況を買主候補に伝えると、修繕費用を差し引いた適正価格は6,500万円くらいではないかという反応が返ってきました。
結局、売主は2025年に入って7,000万円まで下げ、ようやく成約。当初の希望額から1,000万円のダウンです。
2026年は買い時か、売り時か 宅建士の判断基準

では2026年、買うべきか売るべきか。宅建士としての実務経験をもとに判断の目安を整理します。
買うべき人と、もう少し待ったほうがいい人
| 判定 | どんな人か | その理由 |
|---|---|---|
| 買い時 | 住宅ローン減税の恩恵をフルに受けられる人。子育て世帯や若い夫婦 | 借入限度額の上乗せ措置を使えるうちに動いたほうが得 |
| 買い時 | 頭金に余裕があり、借入額を抑えられる人 | 金利が多少上がっても返済への影響が小さい |
| 待ち | 頭金が少なく、借入上限ギリギリで検討している人 | 金利が1%上がると月々数千円から1万円増え、返済が苦しくなるリスクがある |
| 待ち | 暴落をひたすら待っている人 | 都心部で急激な値崩れは考えにくい。それよりも、状態のいい中古を適正価格で探すほうが現実的 |
返済計画には余裕を持たせる
2026年以降、社会保険料は段階的に上がり続ける見込みです。
住宅ローンを組むなら、月々の返済額を手取りの25%以内に抑えておくのが無難です。
借りられる上限いっぱいまで借りると、数年後に返済が回らなくなるリスクが高まります。
売るべき人と、まだ持っていていい人
| 判定 | どんな人か | その理由 |
|---|---|---|
| 売り時 | 築30年以上で修繕積立金が不足している物件の所有者 | 大規模修繕の一時金徴収や配管交換の費用負担がこの先発生する。売るなら今が最後のタイミングになりかねない |
| 売り時 | 地方や郊外の駅から遠い物件の所有者 | 2026年以降、さらに値が下がる可能性が高い |
| 保有 | 都心の駅近や建物の状態がいい物件の所有者 | 資産価値が維持されやすく、あわてて売る理由がない |
| 保有 | 住宅ローンの金利を0.5%以下の固定で借りている人 | 今売って買い直すと金利が1%前後に跳ね上がり、総返済額が増えてしまう |
まとめ
2026年の不動産市場は、都心が高止まり、地方は二極化が一段と進むという流れになりそうです。
住宅ローン減税の延長は追い風ですが、社会保険料の増額で家計の余力は確実に削られます。
宅建士として繰り返しお伝えしたいのは、暴落を待ち続けるよりも、適正な価格で状態のいい物件を見つけることに力を注いでほしいということです。
そして施工管理者として言えるのは、価格の数字だけでなく建物そのものの状態を見てほしいということ。
修繕履歴、積立金の残高、配管の種類と交換時期。この3つだけでも確認しておけば、大きなハズレを引くリスクはぐっと下がります。
2026年は、動き方次第で良い物件を手に入れられるチャンスのある年です。






