【改修工事の施工管理とは?】①施工管理の安全管理完全ガイド

この記事を書いた人

建築施工管理技士/宅地建物取引士/Webエンジニア
tasukunmt(プロフィールページ)
・2級建築施工管理技士(取得年:2024年)
・宅地建物取引士(取得年:2020年)
・改修工事施工管理歴:6年(2018年〜現在)
・商業施設改修・修繕200件、マンション大規模修繕15棟
・不動産業務経験:買取再販・売買仲介 3年
・Mac活用13年

改修工事施工管理 安全管理についてのイラスト
この記事でわかること
  • 施工管理の基本的な定義と役割
  • 改修工事で求められる安全管理の実務
  • 商業施設工事での臭い、騒音、粉塵への対処法
  • マンション改修で居住者に配慮しながら安全を確保する方法
  • 夜間作業のメリット、デメリットと実際の管理コスト
  • 事故を未然に防ぐための予防的安全管理

施工管理とは何か—安全管理の基本的な役割

施工管理とは、建設工事の現場で技術者を指揮監督し、工事全体を管理する仕事だ。工事のスケジュール延期や予算オーバー、事故などを防ぐのが主な役割で、なかでも安全管理は最も重視される業務のひとつになる。

施工管理には4つの管理業務がある。安全、工程、品質、原価。すべてが相互に関わりながら工事を支えているが、安全管理はすべての前提となる。

改修工事における安全管理は、新築工事以上に複雑で高度な技術が求められる。

新築工事と違い、改修工事では既存の利用者がいる環境で作業する。作業員の安全はもちろん、居住者や来店客、通行人といった第三者の安全確保が極めて重要になる。私が担当した商業施設では、営業中の店舗での工事が大半を占め、お客様の安全管理には特に神経を使った。


マンション改修工事における安全管理の特殊性

改修工事の安全管理は、新築工事とは根本的に異なる課題を抱えている。建設業労働災害防止協会の統計によると、改修工事での労働災害率は新築工事より約1.3倍高い。特に第三者災害のリスクが高いことが分かっている。

第三者災害で最も多いのは、落下物による通行人への被害だ。発生頻度が高く、対策の優先度も最高レベルになる。私の現場でも、足場から工具が落ちそうになったことが何度もあった。幸い、ネットと養生シートで防げたが、一歩間違えれば大惨事だった。

居住者への影響も深刻だ。騒音、振動、臭い、粉塵は、発生頻度が非常に高い。毎日のように何かしらの問題が起こる。これらは工事の性質上避けられない部分もある。

作業空間の制限も大きな課題だ。狭い作業スペースでの事故は、発生頻度が高い。マンションのバルコニーなんて、本当に狭い。足場を組んでも、作業員が2人入ればいっぱいになる。その状態で電動工具を使うわけだから、危険度は相当高くなる。

ぱんたロイド
最初に担当した商業施設の外装工事で、養生が不十分だったため塗装の臭いが店内に入り込み、一時的に営業停止になった。この経験から、臭い対策の重要性を痛感した。

ショッピングモールでの安全管理実務—臭い、騒音、粉塵の総合対策

商業施設での改修工事では、営業を継続しながらの工事になる。お客様の安全と快適性を確保することが最優先だ。私の経験では、特に外装工事において臭い対策が最も難しい課題のひとつだった。

外装塗装工事では、塗料や溶剤の臭いが店内や近隣住宅に影響を与える可能性がある。私が実践している対策を紹介する。

まず、低臭タイプ塗料の選択。水系塗料を積極的に採用している。昔ながらの溶剤系塗料に比べて、臭いは格段に少ない。ただし、耐久性や仕上がりの面で若干劣ることもあるので、用途に応じて使い分けている。

風向き、風速の監視も欠かせない。気象条件を考慮した作業時間の調整を行う。朝の作業開始前に、必ず気象アプリで風向きをチェックする。風が店舗側に吹いている日は、塗装作業を避けるか、別の場所での作業に切り替える。

換気扇の設置も効果的だ。作業エリアからの臭い排出システムを構築する。大型の換気扇を複数台設置して、常に外に向かって空気を送り出す。これだけで、臭いの拡散をかなり抑えられる。

作業時間の制限も考慮する。営業時間外や休業日での臭いの強い作業実施を心がけている。実際に私が管理したショッピングモールの外装工事では、塗装作業を深夜11時から朝6時に限定した。朝の開店時間までに十分な換気を行うことで、営業への影響を最小限に抑えることができた。

動線確保と安全対策

商業施設では、工事エリアとお客様の通行エリアを明確に分離することが大事だ。私が実践している動線管理の具体例を話す。

仮囲いは高さ2.4m以上のパネルを使用し、工事エリアを完全に分離する。費用は1mあたり1,000円程度かかるが、これは絶対にケチってはいけない部分だ。以前、予算を抑えるために低い仮囲いにしたら、お客様が工事の様子を覗き込もうとして危険な場面があった。

誘導員の配置も欠かせない。作業が絡む主要通路に交通誘導員を配置する。1日、1人あたり18,000円程度かかるが、安全な誘導とトラブル防止のために必要な投資だ。特に週末の混雑時は、誘導員がいるだけで事故のリスクが格段に下がる。

夜間作業の安全管理と課題

商業施設での外装工事では、営業への影響を避けるため夜間作業が多くなる。ただ、夜間作業には独特の課題がある。

まず、作業員の確保が困難だ。夜間対応可能な職人が限られていて、昼間に比べて大幅に減る。家族と過ごしたいという職人さんも多く、無理にお願いすると人間関係が悪くなることも。昼も夜も働いて稼ぎたい、という人もいるが、少しでも睡眠を取るために多少早めに帰ってしまう方が多い。

管理コストの増加も痛い。昼夜両方の管理で人件費が1.5倍になる。社内に代わってくれる人がいない時は、昼も夜も現場に出ることも。正直、体力的にはかなりきつい。

作業効率の低下も無視できない。照明不足により作業速度が約20%低下する。どんなに明るい仮設照明を設置しても、昼間の自然光には敵わない。特に細かい作業は、夜間だとミスが増えがちだ。また、昼夜どちらも現場に出ている作業員も少なくないため、夜はかなり施工性が落ちる。

私の経験では、夜間作業は必要最小限に留めるべきだ。可能な限り日中の営業に影響の少ない方法を検討する。たとえば、外壁の下地処理や通常の外壁塗装などは日中に行い、鉄部塗装や塗膜防水のみを夜間に実施する。こういった工夫で、夜間作業を減らせる。


マンション改修での居住者配慮型安全管理

マンション改修工事では、居住者の日常生活への配慮が最優先になる。私が管理したマンションの外壁改修工事での実体験を基に、効果的な安全管理手法を話す。

バルコニー工事の安全管理

マンションの外装工事で一番トラブルになるのが、バルコニーの使用制限だ。居住者の生活に大きな影響を与える。

私はまず、工程の最適化を考える。洗濯物の干し場確保のため、バルコニー工事を最優先で完了させる。以前、工程管理が甘くてバルコニーが1ヶ月以上使えなかった時、居住者から「洗濯物をどこに干せばいいんだ」とお叱りを受けた。それ以降、バルコニー工事は最短で終わらせるように工程を組んでいる。

代替スペースの提供も考慮する。共用部での一時的な物置場を設置するのだ。バルコニーに置いてあった植木鉢やエアコン室外機カバーなどを、工事期間中だけ預かる。この対応をするだけで、居住者の不満が大幅に減る。

事前説明会の実施も効果的だ。工事内容と影響期間を詳細に説明する。最初の現場では説明会を省略して、後で大クレームになった。今では必ず説明会を開いて、居住者の不安を取り除くようにしている。

騒音、振動管理の実務

マンションでの工事騒音は、居住者の生活に直接影響するため、細心の注意が求められる。環境省の騒音規制法に基づいて管理を実施している。

8時から12時の時間帯は、騒音レベル85dB以下を守る。足場組立や軽作業は可能だが、重機作業は少し遅らせるなどの対応をする。朝イチで重機を動かすと、確実にクレームが来る。

13時から17時は、85dB以下で全ての作業が可能だ。この時間帯に、騒音の大きい作業を集中させる。ただし、在宅勤務の方が増えているので、事前に「今日は特にうるさい作業があります」と伝えるようにしている。

17時から18時は、80dB以下で軽作業のみ。電動工具の使用は禁止だ。夕方は帰宅する人が増えるので、静かな作業に切り替える。


予防的安全管理システムの実践

事故を防ぐためには、危険を予測し事前に対策を講じる予防的安全管理が大事だ。私が現場で実践している予防安全システムを紹介する。

危険予知活動の実施

毎日の作業開始前に、全作業員参加による危険予知活動を実施している。

まず、職長からその日の作業内容、作業人員と安全注意事項を発表させる。「3工区5階から3階の高圧水洗浄。人員3名。エントランス前に滑り止めマットを敷く、明確な声掛けを行い通行者の際は作業を中断」といった具合だ。

最後に、指差し確認。全員による安全唱和を実施する。「今日も一日安全作業でがんばろう、ご安全に」と全員で声を出すことで、安全意識を高める。

安全教育と資格管理

作業員の安全意識向上と技能向上のため、継続的な教育を実施している。特に改修工事では、現場の特殊性を理解した教育が大事だ。

新規入場者教育では、現場特有のルールと危険要因を説明する。20分ほどかけて、しっかりと説明する。「この現場では、営業中の店舗の上で作業します。お客様の動線を塞がないこと。トイレやタバコは指定の場所以外使用しない」といった、現場特有の注意事項を伝える。

災害防止協議会では、月ごとのテーマに沿った安全教育を行う。30分程度だが、毎月違うテーマで実施する。現場特有の安全に関する共有事項の他、「今月は熱中症対策」「来月は墜落防止」といった感じで、季節や作業内容に応じたテーマを選ぶ。

現場あるある
安全教育で大事なのは、単に法令を説明するだけでなく、実際に起こった事故事例を共有することだ。私の現場では、他現場での事故情報も積極的に共有して、同様の事故防止に役立てている。

まとめ—安全管理は工事成功の基盤

改修工事における安全管理は、単に事故を防ぐだけでなく、工事全体の成功を左右する。私の6年以上の現場経験を通じて学んだことは、安全管理に完璧はなく、常に改善し続けることの大切さだ。

特に商業施設やマンションでの改修工事では、居住者や利用者への配慮が不可欠になる。技術的な安全対策だけでなく、コミュニケーションや心配りも重要な安全管理の要素だ。

予防重視で、事故が起こる前の対策が最も大事。全員参加で、作業員全員の安全意識向上が不可欠だ。継続的改善で、現場ごとの特性に応じた対策の見直しを行う。

今後も技術の進歩とともに安全管理の手法は進化していくが、人の命と安全を守るという基本的な理念は変わらない。これから施工管理を目指す方には、技術的な知識だけでなく、安全に対する高い意識を持って業務に取り組んでいただきたい。

プロフィール用
安全管理は一日にしてならず、だ。毎日の積み重ねが事故のない現場を作る。私も常に学び続け、より安全な現場づくりを目指していく。

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