【SNS時代の集客戦略⑤】若手社長たちが始めているSNS戦略

- 建設業界における若手経営者のSNS活用事例
- Instagram・TikTokでの効果的な発信方法
- 信頼性とカジュアルさのバランスの取り方
- 継続可能なSNS運用システムの構築法
- SNSと他のデジタルツールとの連携戦略
「今どきの若者はSNSばかり」と言われがちですが、実は建設業界でも若手の施工店経営者がInstagramやTikTokを積極活用しています。改修工事施工管理として5年以上の現場経験を積む中で、最近特に目立つのがこの動向です。
チラシや口コミといった従来の集客に加え、SNSをうまく取り入れることで、新しい顧客層や採用層との接点を作る動きが広がっています。実際に、SNS活用により売上を30%以上向上させた施工会社も複数確認しており、もはや「やってみたい」から「やらなければならない」ツールになりつつあります。
Instagram・TikTokで”人柄と現場”を発信
最近では、施工写真やビフォーアフター、現場の一コマをSNSで発信する施工会社が増えています。特に20〜40代の若手社長が中心となり、社員や家族と協力しながら運用しているケースも多く見られます。
実際の成功事例として、ある塗装業者では、Instagramで親しみやすさと誠実さを伝えたところ、問い合わせが前年比で倍増。月間平均8件だった相談が16件まで増加し、そのうち約40%が実際の受注につながっています。
また別の会社ではTikTokでのショート動画が話題となり、職人志望の若者から採用希望が寄せられたという成功例もあります。特に「現場での職人の技術」や「完成時の達成感」を映した動画は、従来の求人広告では届かない層にアプローチできています。
プラットフォーム別の特徴と活用法
SNS | 主な特徴 | 効果的な投稿内容 | ターゲット層 |
---|---|---|---|
写真・動画中心、ストーリー機能 | ビフォーアフター、施工過程 | 30-50代主婦、若年層 | |
TikTok | ショート動画、バイラル性 | 技術紹介、職人の日常 | 10-30代、採用ターゲット |
YouTube | 長尺動画、検索性 | 工事解説、会社紹介 | 全年代、情報収集層 |
“信用”と”カジュアルさ”のバランスがカギ
SNSは「オシャレ」「面白い」「身近」といったポジティブな印象を与えやすい反面、やりすぎると会社の信用性を損ねる危険もあります。私が実際に見た失敗例では、過度にカジュアルな投稿により「この会社は真面目に仕事をするのか?」と疑問視されたケースがありました。
実際、投稿が雑だったことで「この会社に任せて大丈夫?」と不安視された事例も確認しています。具体的には、誤字脱字の多い投稿、工事現場の安全管理が不十分に見える写真、プライベート過ぎる内容などが原因でした。
施工業という“信頼第一”の業種だからこそ、親しみと誠実さの両立が求められます。
- 安全装備を着用していない作業風景
- 顧客の個人情報が写り込んだ現場写真
- 技術的に不正確な情報の発信
- 競合他社への批判的なコメント
- プライベートすぎる内容(家族写真など)
信頼を保ちながらカジュアルに発信するコツ
- 技術力の見える化:丁寧な作業工程の紹介
- 安全への配慮:適切な装備での作業風景
- お客様への配慮:許可を得た上での施工事例紹介
- 地域密着性:地元の特色を活かした投稿
- 教育的内容:住宅メンテナンスのプチ知識
無理なく続ける仕組みが成功を生む
SNS運用で大切なのは、「とにかく始める」ではなく「無理なく続ける仕組みを作る」こと。多くの施工会社で見られる失敗パターンは、最初は熱心に投稿するものの、忙しくなると更新が止まってしまうことです。
継続可能な運用システムの例:
- 週に1回のビフォーアフター投稿(曜日固定)
- 社員持ち回りでのストーリーズ更新
- 代表だけが抱え込まず、社内・外部で役割を分担
- 撮影用のスマートフォンを現場に常備
- 投稿用のテンプレートを事前準備
小さくスタートしても、継続できればファンや信頼は必ず積み上がっていきます。実際に、月1回の投稿から始めた工務店が、1年後には地域で有名な施工会社として認知されるようになった事例もあります。
効率的な運用のための組織体制
役割 | 担当者 | 頻度 | 内容 |
---|---|---|---|
写真撮影 | 現場監督・職人 | 毎日 | 作業工程、完成写真 |
投稿作成 | 事務スタッフ | 週2-3回 | 文章作成、ハッシュタグ |
コメント対応 | 営業担当 | 随時 | 問い合わせ対応 |
戦略立案 | 経営者 | 月1回 | 方針決定、効果測定 |
“SNSだけ”に頼らない、信頼の積み重ね戦略
SNSはあくまで「出会いのきっかけ」。最終的な決め手になるのは、施工実績ページやブログ、LINEなどの信頼メディアです。現場での経験から言えることは、SNSで興味を持った顧客の約80%が、その後必ずホームページを確認するということです。
効果的な連携システムの構築例:
- ブログでFAQや職人の日常を詳しく紹介
- 公式LINEで見積・相談のハードルを下げる
- ホームページで実績・資格・社風をしっかり掲載
- Googleビジネスプロフィールでの口コミ管理
- YouTubeでの詳細な工事解説動画
このように、SNS+Webサイト+LINEの三位一体で構成することで、見込み客との信頼関係が築きやすくなります。実際に、この仕組みを導入した施工会社では、問い合わせから契約までの期間が平均で30%短縮されています。
デジタル導線の最適化
顧客がSNSからコンバージョンに至るまでの典型的な流れ:
- SNS発見:投稿を見て興味を持つ
- プロフィール確認:会社概要をチェック
- HP訪問:詳細な実績・サービス内容を確認
- LINE登録:気軽な相談チャネルの確保
- 問い合わせ:具体的な相談・見積依頼
- 面談・契約:信頼関係の構築
効果測定と改善のポイント
SNS活用の成果を正しく測定するための指標:
段階 | 測定指標 | 目標値 | 改善ポイント |
---|---|---|---|
認知 | リーチ数、インプレッション | 前月比10%増 | 投稿時間、ハッシュタグ |
関心 | いいね、コメント、保存 | エンゲージメント率3%以上 | 投稿内容、画像品質 |
検討 | プロフィール訪問、HP流入 | 月間50件以上 | プロフィール最適化 |
行動 | 問い合わせ、LINE登録 | 月間5件以上 | CTA改善、信頼性向上 |
地域密着型施工会社のSNS戦略
地域に根ざした施工会社にとって、SNSは地元での認知度向上と信頼構築に大きな効果を発揮します。特に効果的なのは以下のアプローチです:
地域特化コンテンツの活用
- 地域の建築特性:「〇〇市の古民家リフォーム事例」
- 気候への対応:「冬の寒さ対策、断熱工事のビフォーアフター」
- 地元イベント参加:「地域の住宅展示会に出展しました」
- 地元業者との連携:「地域の材木店との協力体制」
- 地域貢献活動:「地元小学校の修繕ボランティア」
採用への効果
SNS活用により、従来の求人媒体では接触できない若い職人候補にアプローチできるようになります。特に効果的なのは:
- 現場での職人の生き生きとした表情
- 技術習得の過程や成長ストーリー
- 先輩職人から後輩への指導風景
- 完成時の達成感や顧客の喜びの共有
- 職場の雰囲気やチームワークの良さ
リスク管理と法的注意点
SNS運用において注意すべき法的・倫理的な側面についても触れておく必要があります。
個人情報保護とプライバシー配慮
- 顧客の許可:施工事例掲載には必ず事前許可を取得
- 個人情報の隠蔽:住所や個人名が特定できる情報の除去
- 近隣への配慮:周辺住宅が写り込まないよう注意
- 従業員の肖像権:スタッフの顔出しには本人の同意が必要
建設業法との関係
SNSでの情報発信も建設業法の規制対象となる場合があります:
- 許可業種の範囲を超えた宣伝は避ける
- 誇大広告や事実と異なる表現は禁止
- 下請業者の施工を自社施工として表現しない
- 価格表示は建設業法の規定に従う
まとめ:SNS活用は若手社長の新たな武器になる
若手経営者によるSNS活用は、「目立つため」ではなく、“時代に合った信頼の築き方”として確実に成果を出し始めています。改修工事施工管理の現場で実際に見てきた成功事例からも、その効果は明らかです。
施工写真だけでは届かない層にも、「人柄」や「現場のリアル」をストーリーとして届けることで、新しい集客・採用の道が開かれています。特に、従来のマーケティング手法では接触が難しかった30代以下の顧客層や職人候補者へのアプローチが可能になっています。
重要なのは、以下の3つのバランスを保ちながら運用することです:
- 専門性と親しみやすさ:技術力を見せつつ、人間味のある発信
- 継続性と無理のなさ:持続可能なペースでの情報発信
- SNSと他媒体:総合的なデジタル戦略の一環として位置づけ
無理なく、継続的に。SNSはこれからの建設業にとって、”必須のコミュニケーションツール”になるかもしれません。ただし、あくまでも「道具」であり、最終的に重要なのは提供するサービスの品質と顧客への誠実な対応であることを忘れてはいけません。
次のステップとして、まずは自社に適したプラットフォームを1つ選び、週1回の定期投稿から始めることをお勧めします。小さな一歩から始めて、徐々に地域で信頼される施工会社としてのデジタルプレゼンスを築いていきましょう。