ホームセンターのリフォームは失敗する?よくある後悔と業者選びの注意点

この記事を書いた人

建築施工管理技士/宅地建物取引士/Webエンジニア
・2級建築施工管理技士(取得年:2024年)
・宅地建物取引士(取得年:2020年)
・改修工事施工管理歴:6年(2018年〜現在)
・商業施設改修・修繕200件、マンション大規模修繕15棟
・不動産業務経験:買取再販・売買仲介 3年
・Mac活用13年

ホームセンターと提携している施工店さんのイラスト
この記事でわかること
• ホームセンターリフォームの本当のメリット・デメリット
• 現場で実際に見た失敗事例と手抜き工事の実態
• 契約前に絶対確認すべき5つのチェックポイント
• 工事の種類別「使っていい/ダメ」の判断基準
• トラブルになった時の具体的な対処法

実家のトイレリフォーム、35万円が42万円になった日

5年前の春、母から「トイレが古くなったから新しくしたい」と相談されました。私が知り合いの業者に頼めば安く済むのに、母は「近所のホームセンターで見積もりしてもらったから」と、某大手ホームセンターに決めてしまっていたんです。

見積書を見せてもらったら、「TOTO製ウォシュレット一式工事 35万円」とだけ書いてある。「これ、詳細は?」と聞いたら、「店員さんが『全部込みです』って言ってた」との返事。

工事当日、来たのは50代くらいの職人さん一人。30分ほどして「ちょっといいですか」と呼ばれました。「既存の配管がかなり古くて腐食してます。このままだと水漏れのリスクがあるので、配管交換をお勧めします。材料費と工賃で12万円です」

正直、妥当な金額だと思ったけど、事前見積もりに入っていないのがおかしい。「現地調査の時に分からなかったんですか?」と聞いたら、「いや、僕は今日初めて来たので」との返事。つまり、見積もりを出した人と工事をする人が全く別で、情報が共有されていなかった。

ホームセンターに電話したら、「現場での追加工事については、お客様と施工業者様の間で直接ご相談ください。当社では責任を負いかねます」と言われました。結局、業者さんに事情を説明して多少値引きしてもらったけど、最終的に42万円。当初の見積もりより7万円も高くなってしまいました。

トイレリフォームの様子

この経験から学んだのは、「一式○○万円」という見積もりの危険性と、大手だから安心というわけではないということです。

ホームセンターリフォームの実態

なぜ人気なのか

施工管理として5年間、様々なホームセンター案件を見てきました。実は、ホームセンター各社のリフォーム事業は年々伸びていて、業界全体で年間約2,000億円規模まで成長しています。

ホームセンターリフォームの魅力
  • 買い物ついでに気軽に相談できる
  • 土日も営業していて平日忙しい人には便利
  • 有名メーカーの展示があって実物を確認できる
  • パッケージ価格でわかりやすい
  • ポイント還元やキャンペーンでお得感がある

確かに、「わかりやすさ」や「気軽さ」は大きなメリット。でも、そこに落とし穴もあるんです。

「一式35万円」に隠された不透明さ

ホームセンターの見積書って、実家のトイレの時もそうでしたが、「トイレリフォーム一式 35万円」みたいな感じが多いんです。一見わかりやすそうですが、実は中身が全然見えない。

実家のトイレで実際にあった「え? これ別料金なの?」というのが、既存便器の撤去費用2万円、床の補修費用3万円、廃材処理費1.5万円、配管の延長工事4万円、電気工事2万円。合計で12.5万円の追加。最初の35万円が結局47.5万円になっていました。

項目ホームセンター地元工務店
見積書の詳細度「一式○○万円」のみ工程ごとに分離記載
材料費商品代のみ明記副資材まで明記
工事費詳細不明作業内容ごとに記載
諸費用何が含まれるか不明交通費・処分費など明記
工程表「○日間」程度詳細スケジュール付き

国土交通省の建設業の適正な施工確保でも、見積書の透明性が求められていますが、現場の実態はこんな感じです。

お金の流れを知ると見えてくる品質の理由

「ホームセンターって安いんでしょ?」よく聞かれますが、実はそう単純でもありません。お客様が100万円払っても、実際の工事に使われるのは65〜70万円程度。残りの30〜35万円は中間マージンなんです。

項目割合100万円の場合
商品代金40〜50%40〜50万円
ホームセンター取り分15〜25%15〜25万円
元請け業者取り分10〜15%10〜15万円
実際の施工費20〜35%20〜35万円

某大手ホームセンターの下請け業者をやっている職人さんから聞いた話では、「利益率5〜10%で受注する上に、副資材は自腹」とのこと。「丁寧にやりたくても、正直採算が合わない」というのが現場の本音だそうです。

これを知ると、品質に差が出るのも納得できます。実質的には「70万円の工事を100万円で買ってる」状態なんです。

ぱんたロイドプロフィール用
ホームセンターが仲介してるだけで、実際に工事するのは地元の業者だったりする。中間マージンが乗る分、職人さんに渡る金額は少なくなる。その分、丁寧な作業をする余裕がなくなるんだよね…

賢い使い方のコツ

工事の種類別「使っていい/ダメ」の判断基準

すべての工事がホームセンターに向いてないわけじゃありません。工事の種類によって使い分けるのが賢いやり方です。

工事の種類判定理由
トイレ・洗面台・給湯器の交換
(50万円以下)
標準的な住設機器交換、配管工事が最小限
クロス張り替え・フローリング交換
(50万円以下)
標準的な材料・工法での工事
水栓・シャワーヘッドの交換小規模な水回り工事
システムキッチン・ユニットバス交換
(100万円前後)
配管工事が複雑、要注意
間取り変更を伴う工事技術的に複雑、慎重に
外壁・屋根工事×高度な技術と長期保証が必要
基礎・構造補強工事×専門知識と経験が必須
全面リフォーム
(150万円以上)
×工程管理が複雑、専門業者推奨

国土交通省の住宅リフォーム事業者団体登録制度も参考にしてみてください。

契約前に絶対確認すべき5つのポイント

現場経験から、「これを確認しておけばトラブルは避けられた」というポイントをまとめました。

契約前の必須チェックリスト
  1. 実際に工事する業者の会社名・連絡先
    「誰が工事するか」を必ず確認。「当日来る職人さんと事前に話したい」。この一言で、ホームセンターの対応がガラッと変わります。
  2. 見積書の詳細内訳
    「リフォーム一式35万円」ではなく、商品代・工事費・処分費・諸経費まで分けてもらいましょう。
  3. 追加費用が発生する条件
    どんな場合に追加費用が発生するのか、具体的に聞いてください。「一式」の中に何が含まれて、何が含まれないのか。
  4. 保証内容を書面で確認
    口約束ではなく、必ず書面で。工事保証の期間と範囲、商品保証の期間と範囲、不具合時の連絡先と対応フロー。
  5. 工事スケジュールと各工程の内容
    「○日間」だけでなく、各工程の詳細スケジュールを確認。近隣への配慮についても相談しておきましょう。
信頼できる業者の特徴:
• 事前の現地調査を時間をかけて実施してくれる
• 質問に対して具体的で明確な回答がある
• 過去の施工実績を写真付きで見せてくれる
• 保証内容を文書で明確に提示してくれる
• 近隣への配慮について具体的に説明してくれる

アフターサービスの実態とトラブル対処法

アフターサービスの「たらい回し」

工事後に問題が起きた時の対応も、正直ひどいです。実家のトイレで、ある日「水が止まらない!」という電話がかかってきました。すぐにホームセンターに電話したら、「施工業者に確認します。折り返しご連絡します」との返事。1時間待っても連絡がない。

結局、施工業者から連絡があったのは翌日。「ホームセンター経由でないと対応できません」と言われました。ホームセンターに再度連絡したら、「業者が忙しくて来週になります」との返事。「え…今すぐ止めたいのに…」。結局、知り合いの水道屋さんに頼んで止めてもらいました。でも後日、ホームセンターから「第三者が修理したので、保証が適用できません」と言われたんです。

施工管理者の本音:修理で呼ばれた時、「どこの下請けが施工したか分からない」「施工記録がない」という状況が本当に多い。原因究明に時間がかかって、本来1時間で終わる修理が半日〜数日かかる。結果的に費用も倍以上になってしまう。

トラブルになった時は

万が一トラブルになった場合、まずホームセンターの担当窓口に連絡して、具体的な不具合を写真付きで報告。やり取りは記録に残します(メール・書面)。

それでも解決しなければ、国民生活センター(局番なし188)や住宅リフォーム・紛争処理支援センターに相談してください。

建設業法では工事規模に関わらず、適正な施工が義務付けられています(e-Gov法令検索|建設業法)。手抜き工事は明確な契約違反。泣き寝入りする必要はありません。

トラブル予防の鉄則:
• 契約前に必ず複数社で比較検討
• 口約束は避け、すべて書面で確認
• 工事中も写真記録を残しておく
• 不明な点は遠慮なく質問する
• 完成検査は時間をかけて丁寧に

まとめ:使うなら「賢く」使おう

いろんなホームセンター案件を見てきて思うのは、「全部ダメ」でも「全部良い」でもないということ。使い方次第では、とても便利で満足度の高いリフォームができるのも事実です。

私なりの使い分け基準
  • ホームセンターもあり: 50万円以下の小規模工事、標準的な住設機器の交換、急ぎではない工事
  • 専門業者を推奨: 100万円以上の中〜大規模工事、技術的に複雑な工事、長期保証・アフターフォローを重視する場合

最も大切なのは、どちらを選ぶにしても事前の確認。「知ってる会社だから安心」で決めず、実際に工事する人・保証内容・見積もりの中身をしっかりチェックすることが成功の鍵です。

私も実家のトイレで失敗した経験がありますが、その後は必ず複数社で比較検討するようになりました。面倒に感じるかもしれませんが、後悔するより100倍マシ。

満足そうな施主-リフォーム完成イメージ

契約前の比較検討と詳細確認が、満足いくリフォームの第一歩です。「安さ」や「手軽さ」も大切ですが、「安心」と「満足」を得られる業者選びを心がけてください。

ChatGPT活用中のぱんたロイド
実家のトイレで失敗した時は本当に後悔した。「もっと事前に確認しておけば…」って。でもその経験があるから、みんなには同じ失敗をしてほしくない。少しでも参考になれば嬉しいです。

本記事の一部画像はAIによる自動生成(ChatGPT・DALL·E)を使用しています。著作権上問題のない範囲で掲載しています。
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