ホームセンターのリフォームは失敗する?よくある後悔と業者選びの注意点

• ホームセンターリフォームの本当のメリット・デメリット
• 現場で実際に見た失敗事例と手抜き工事の実態
• 契約前に絶対確認すべき5つのチェックポイント
• 工事の種類別「使っていい/ダメ」の判断基準
• トラブルになった時の具体的な対処法
実家のトイレリフォーム、35万円が42万円になった日
5年前の春、母から「トイレが古くなったから新しくしたい」と相談されました。私が知り合いの業者に頼めば安く済むのに、母は「近所のホームセンターで見積もりしてもらったから」と、某大手ホームセンターに決めてしまっていたんです。
見積書を見せてもらったら、「TOTO製ウォシュレット一式工事 35万円」とだけ書いてある。「これ、詳細は?」と聞いたら、「店員さんが『全部込みです』って言ってた」との返事。
工事当日、来たのは50代くらいの職人さん一人。30分ほどして「ちょっといいですか」と呼ばれました。「既存の配管がかなり古くて腐食してます。このままだと水漏れのリスクがあるので、配管交換をお勧めします。材料費と工賃で12万円です」
正直、妥当な金額だと思ったけど、事前見積もりに入っていないのがおかしい。「現地調査の時に分からなかったんですか?」と聞いたら、「いや、僕は今日初めて来たので」との返事。つまり、見積もりを出した人と工事をする人が全く別で、情報が共有されていなかった。
ホームセンターに電話したら、「現場での追加工事については、お客様と施工業者様の間で直接ご相談ください。当社では責任を負いかねます」と言われました。結局、業者さんに事情を説明して多少値引きしてもらったけど、最終的に42万円。当初の見積もりより7万円も高くなってしまいました。

この経験から学んだのは、「一式○○万円」という見積もりの危険性と、大手だから安心というわけではないということです。
ホームセンターリフォームの実態
なぜ人気なのか
施工管理として5年間、様々なホームセンター案件を見てきました。実は、ホームセンター各社のリフォーム事業は年々伸びていて、業界全体で年間約2,000億円規模まで成長しています。
- 買い物ついでに気軽に相談できる
- 土日も営業していて平日忙しい人には便利
- 有名メーカーの展示があって実物を確認できる
- パッケージ価格でわかりやすい
- ポイント還元やキャンペーンでお得感がある
確かに、「わかりやすさ」や「気軽さ」は大きなメリット。でも、そこに落とし穴もあるんです。
「一式35万円」に隠された不透明さ
ホームセンターの見積書って、実家のトイレの時もそうでしたが、「トイレリフォーム一式 35万円」みたいな感じが多いんです。一見わかりやすそうですが、実は中身が全然見えない。
実家のトイレで実際にあった「え? これ別料金なの?」というのが、既存便器の撤去費用2万円、床の補修費用3万円、廃材処理費1.5万円、配管の延長工事4万円、電気工事2万円。合計で12.5万円の追加。最初の35万円が結局47.5万円になっていました。
| 項目 | ホームセンター | 地元工務店 |
|---|---|---|
| 見積書の詳細度 | 「一式○○万円」のみ | 工程ごとに分離記載 |
| 材料費 | 商品代のみ明記 | 副資材まで明記 |
| 工事費 | 詳細不明 | 作業内容ごとに記載 |
| 諸費用 | 何が含まれるか不明 | 交通費・処分費など明記 |
| 工程表 | 「○日間」程度 | 詳細スケジュール付き |
国土交通省の建設業の適正な施工確保でも、見積書の透明性が求められていますが、現場の実態はこんな感じです。
お金の流れを知ると見えてくる品質の理由
「ホームセンターって安いんでしょ?」よく聞かれますが、実はそう単純でもありません。お客様が100万円払っても、実際の工事に使われるのは65〜70万円程度。残りの30〜35万円は中間マージンなんです。
| 項目 | 割合 | 100万円の場合 |
|---|---|---|
| 商品代金 | 40〜50% | 40〜50万円 |
| ホームセンター取り分 | 15〜25% | 15〜25万円 |
| 元請け業者取り分 | 10〜15% | 10〜15万円 |
| 実際の施工費 | 20〜35% | 20〜35万円 |
某大手ホームセンターの下請け業者をやっている職人さんから聞いた話では、「利益率5〜10%で受注する上に、副資材は自腹」とのこと。「丁寧にやりたくても、正直採算が合わない」というのが現場の本音だそうです。
これを知ると、品質に差が出るのも納得できます。実質的には「70万円の工事を100万円で買ってる」状態なんです。
賢い使い方のコツ
工事の種類別「使っていい/ダメ」の判断基準
すべての工事がホームセンターに向いてないわけじゃありません。工事の種類によって使い分けるのが賢いやり方です。
| 工事の種類 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| トイレ・洗面台・給湯器の交換 (50万円以下) | ◎ | 標準的な住設機器交換、配管工事が最小限 |
| クロス張り替え・フローリング交換 (50万円以下) | ○ | 標準的な材料・工法での工事 |
| 水栓・シャワーヘッドの交換 | ◎ | 小規模な水回り工事 |
| システムキッチン・ユニットバス交換 (100万円前後) | △ | 配管工事が複雑、要注意 |
| 間取り変更を伴う工事 | △ | 技術的に複雑、慎重に |
| 外壁・屋根工事 | × | 高度な技術と長期保証が必要 |
| 基礎・構造補強工事 | × | 専門知識と経験が必須 |
| 全面リフォーム (150万円以上) | × | 工程管理が複雑、専門業者推奨 |
国土交通省の住宅リフォーム事業者団体登録制度も参考にしてみてください。
契約前に絶対確認すべき5つのポイント
現場経験から、「これを確認しておけばトラブルは避けられた」というポイントをまとめました。
- 実際に工事する業者の会社名・連絡先
「誰が工事するか」を必ず確認。「当日来る職人さんと事前に話したい」。この一言で、ホームセンターの対応がガラッと変わります。 - 見積書の詳細内訳
「リフォーム一式35万円」ではなく、商品代・工事費・処分費・諸経費まで分けてもらいましょう。 - 追加費用が発生する条件
どんな場合に追加費用が発生するのか、具体的に聞いてください。「一式」の中に何が含まれて、何が含まれないのか。 - 保証内容を書面で確認
口約束ではなく、必ず書面で。工事保証の期間と範囲、商品保証の期間と範囲、不具合時の連絡先と対応フロー。 - 工事スケジュールと各工程の内容
「○日間」だけでなく、各工程の詳細スケジュールを確認。近隣への配慮についても相談しておきましょう。
• 事前の現地調査を時間をかけて実施してくれる
• 質問に対して具体的で明確な回答がある
• 過去の施工実績を写真付きで見せてくれる
• 保証内容を文書で明確に提示してくれる
• 近隣への配慮について具体的に説明してくれる
アフターサービスの実態とトラブル対処法
アフターサービスの「たらい回し」
工事後に問題が起きた時の対応も、正直ひどいです。実家のトイレで、ある日「水が止まらない!」という電話がかかってきました。すぐにホームセンターに電話したら、「施工業者に確認します。折り返しご連絡します」との返事。1時間待っても連絡がない。
結局、施工業者から連絡があったのは翌日。「ホームセンター経由でないと対応できません」と言われました。ホームセンターに再度連絡したら、「業者が忙しくて来週になります」との返事。「え…今すぐ止めたいのに…」。結局、知り合いの水道屋さんに頼んで止めてもらいました。でも後日、ホームセンターから「第三者が修理したので、保証が適用できません」と言われたんです。
トラブルになった時は
万が一トラブルになった場合、まずホームセンターの担当窓口に連絡して、具体的な不具合を写真付きで報告。やり取りは記録に残します(メール・書面)。
それでも解決しなければ、国民生活センター(局番なし188)や住宅リフォーム・紛争処理支援センターに相談してください。
建設業法では工事規模に関わらず、適正な施工が義務付けられています(e-Gov法令検索|建設業法)。手抜き工事は明確な契約違反。泣き寝入りする必要はありません。
• 契約前に必ず複数社で比較検討
• 口約束は避け、すべて書面で確認
• 工事中も写真記録を残しておく
• 不明な点は遠慮なく質問する
• 完成検査は時間をかけて丁寧に
まとめ:使うなら「賢く」使おう
いろんなホームセンター案件を見てきて思うのは、「全部ダメ」でも「全部良い」でもないということ。使い方次第では、とても便利で満足度の高いリフォームができるのも事実です。
- ホームセンターもあり: 50万円以下の小規模工事、標準的な住設機器の交換、急ぎではない工事
- 専門業者を推奨: 100万円以上の中〜大規模工事、技術的に複雑な工事、長期保証・アフターフォローを重視する場合
最も大切なのは、どちらを選ぶにしても事前の確認。「知ってる会社だから安心」で決めず、実際に工事する人・保証内容・見積もりの中身をしっかりチェックすることが成功の鍵です。
私も実家のトイレで失敗した経験がありますが、その後は必ず複数社で比較検討するようになりました。面倒に感じるかもしれませんが、後悔するより100倍マシ。

契約前の比較検討と詳細確認が、満足いくリフォームの第一歩です。「安さ」や「手軽さ」も大切ですが、「安心」と「満足」を得られる業者選びを心がけてください。







